この記事の結論
- 国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」の問1-7は、マイニング・ステーキング・レンディングなどにより暗号資産を取得した場合、その取得に伴い生ずる利益は所得税または法人税の課税対象になると答えています。
- 課税されるのは「取得した暗号資産の取得時点の価額(時価)」で、この金額が所得の金額の計算上の総収入金額(法人税では益金の額)に算入されます。売却した時ではなく、受け取った時点が基準です。
- 一方、マイニング等に要した費用は必要経費(法人税では損金の額)に算入されます。関係法令として所得税法27条・35条・36条・37条、法人税法22条・22条の2が挙げられています。
本記事は2026年9月10日時点で公開されている国税庁の資料にもとづきます。制度は改正されることがあります。
課税されるのは「受け取った時点」
ステーキング報酬の扱いで最も誤解が多いのが、課税のタイミングです。国税庁のFAQ問1-7は、マイニング、ステーキング、レンディングなどにより暗号資産を取得した場合について、取得した暗号資産の取得時点の価額(時価)が所得の金額の計算上の総収入金額に算入される、と説明しています。
つまり、報酬として受け取った時点で、その時の時価に相当する所得が発生します。日本円に換えていなくても、売っていなくても発生します。そのあとで価格が下がっても、受け取った時点の時価が課税の基礎になる点が実務上の負担になりやすいところです。
FAQ問1-7の要点
| 項目 | 国税庁FAQの記載 |
|---|---|
| 対象 | マイニング、ステーキング、レンディングなど(FAQでは「マイニング等」と総称) |
| 課税関係 | 取得に伴い生ずる利益は所得税または法人税の課税対象 |
| 収入の金額 | 取得した暗号資産の取得時点の価額(時価)を総収入金額(法人税では益金の額)に算入 |
| 費用 | マイニング等に要した費用を必要経費(法人税では損金の額)に算入 |
| 関係法令 | 所得税法27条・35条・36条・37条、法人税法22条・22条の2 |
| 改訂 | 問1-7は令和3年12月更新 |
受け取ったあとに売ったらどうなるか
受け取った時点で計上した時価が、その暗号資産の取得価額の基礎になります。その後に売却や交換をした場合は、売却価額から取得価額を差し引いた部分が、あらためて所得として計算されます。
取得価額の計算方法は、総平均法か移動平均法のいずれかです。選ぶには「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を所轄税務署長に提出します。届出をしない場合、個人は総平均法、法人は移動平均法になります。
ロックアップ中の期末評価(法人の場合)
FAQには、ステーキングのためロックアップした暗号資産の期末時価評価に関する項目(問3-1-6、令和6年12月更新)もあります。法人がステーキング報酬を得るために暗号資産を他へ移転できない状態に置いている場合の取扱いを扱ったもので、個人の所得計算とは別の論点です。法人で運用している場合は、こちらもあわせて確認してください。
記録として残しておきたいもの
実務でいちばん困るのは、報酬を受け取った日時と、その時点の時価が後から分からなくなることです。ステーキング報酬は少額が高頻度で入ることが多く、あとからまとめて再現するのは手間がかかります。
受け取りの履歴は定期的にエクスポートし、日時・数量・その時点のレートを残しておいてください。取引所のステーキングであれば履歴を出力できますが、オンチェーンで直接受け取っている場合は自分で記録を作る必要があります。判断に迷う場合は税務署や税理士に確認してください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務判断を行うものではありません。
よくある質問(FAQ)
ステーキング報酬は売らなければ課税されませんか?
課税されます。国税庁のFAQ問1-7は、ステーキングなどにより暗号資産を取得した場合、取得した暗号資産の取得時点の価額(時価)が総収入金額に算入されると説明しています。日本円に換えていなくても受け取った時点で所得が生じます。
ステーキングにかかった費用は差し引けますか?
国税庁のFAQは、マイニング等に要した費用は所得の金額の計算上の必要経費(法人税では損金の額)に算入されるとしています。費用として計上するには、根拠となる明細を残しておく必要があります。
受け取ったあとに値下がりしたらどうなりますか?
受け取った時点の時価で計上した所得は変わりません。その後の売却や交換では、売却価額から取得価額を差し引いた部分をあらためて計算します。取得価額の計算は総平均法か移動平均法のいずれかです。
出典(一次情報)
- 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(PDF・問1-7)
- 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について」
- 国税庁 タックスアンサー No.1524「暗号資産を売却または使用した場合の課税関係」
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言・税務助言ではありません。個別の判断は専門家や公的機関の一次情報をご確認ください。




