この記事の結論
- HYPEのステーキングはHyperCore内で行われ、スポット口座からステーキング口座への移動は即時だが、逆方向には7日間のアンステーキング待ち行列がある。
- 各バリデータへの委任には1日のロックアップがあり、それを過ぎれば部分的にも全部でも解除でき、解除分は即座にステーキング口座残高に反映される。
- ステーキング量に応じて6段階の手数料割引ティアがあり、10 HYPE超のWoodで5%、500,000 HYPE超のDiamondで40%の取引手数料割引になる。
本記事は2026年9月時点の Hyperliquid 公式Docs(HyperCore/Staking、Trading/Fees)の記載に基づきます。仕様は変更されることがあります。
結論:ステークは「報酬」と「手数料割引」の二重取り
HyperliquidのHYPEステーキングは、バリデータへの委任による報酬と、取引手数料の割引という2つの効果を同時に持ちます。ただし、スポット口座へ戻すときの7日間の待ち行列など、把握しておくべき制約もあります。この記事では公式Docsの記載を整理します。
ステーキングの基本
HYPEのステーキングはHyperCore内で行われます。USDCがパープ口座とスポット口座の間で移動できるのと同じように、HYPEはスポット口座とステーキング口座の間で移動できます。ステーキング口座の中では、任意の数のバリデータにHYPEを委任できます。Hyperliquidは委任型プルーフ・オブ・ステークのみをサポートするため、公式Docsでは delegate と stake が同じ意味で使われています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| スポット口座 → ステーキング口座 | 即時 |
| ステーキング口座 → スポット口座 | 7日間のアンステーキング待ち行列 |
| 待ち行列の同時保有数 | 1アドレスあたり最大5件 |
| バリデータへの委任のロックアップ | 1日 |
| ロックアップ後の解除 | 部分的にも全部でも可能。解除分は即座にステーキング口座残高へ反映 |
| バリデータの自己委任要件 | 10,000 HYPE(1年間ロック) |
| 自動スラッシング | 現時点では実装されていない |
公式Docsの例では、3月11日08:00:00 UTC に100 HYPE、3月12日09:00:00 UTC に50 HYPE のステーキング→スポットの移動を開始した場合、それぞれ3月18日08:00:01 UTC と3月19日09:00:01 UTC に確定するとされています。
報酬レートの決まり方
ステーキング報酬レートの算式はEthereumに着想を得たもので、報酬レートはステークされたHYPEの総量の平方根に反比例します。公式Docsは、総ステーク量が4億HYPEのとき報酬レートは年率およそ2.37%になると記載しています。
- 報酬の原資は将来の排出リザーブ(future emissions reserve)。
- 報酬は毎分積み上がり、毎日ステーカーへ分配される。
- 報酬は委任先のバリデータへ自動的に再委任され、複利で回る。
- 報酬は各ステーキングエポック(100,000ラウンド)中の最小委任残高を基準に計算される。
バリデータは委任者に対してコミッションを課すことができます。ただし、コミッションの引き上げは新しい値が1%以下である場合に限られます。これは、大量のステークを集めた後にコミッションを大幅に引き上げるという事態を防ぐための仕組みだと説明されています。バリデータの自己委任が10,000 HYPEを下回ると、そのバリデータは undelegate-only モードに入り、以後の新規委任が無効化されます。
ステーキングティアと手数料割引
| ティア | ステーク量(HYPE) | 取引手数料の割引 |
|---|---|---|
| Wood | 10 超 | 5% |
| Bronze | 100 超 | 10% |
| Silver | 1,000 超 | 15% |
| Gold | 10,000 超 | 20% |
| Platinum | 100,000 超 | 30% |
| Diamond | 500,000 超 | 40% |
この割引は、ボリュームに基づく手数料ティアの上に重ねてかかります。たとえばパープの基本レートはティア0でTaker 0.045%/Maker 0.015%ですが、Diamondではそれぞれ0.0270%/0.0090%になります。ティア6(14日加重出来高70億ドル超)ではTaker 0.024%が、Diamondで0.0144%になります。
手数料ティアの数え方
手数料は直近14日間の出来高に基づき、毎日UTCの終わりに評価されます。パープとスポットの出来高は合算してティア判定に使われますが、スポットの出来高はティア判定において2倍としてカウントされます(14日加重出来高=14日パープ出来高+2×14日スポット出来高)。サブアカウントの出来高はマスターアカウントに合算され、すべてのサブアカウントが同じ手数料ティアを共有します。Vaultの出来高はマスターアカウントとは別扱いです。
紹介報酬はユーザーの最初の10億ドルの出来高まで、紹介による割引は最初の2,500万ドルの出来高まで適用されます。Makerリベートは各取引ごとに取引ウォレットへ継続的に支払われます。
手数料の行き先
公式Docsは「他の多くのプロトコルではチームやインサイダーが手数料の主な受益者だが、Hyperliquidでは手数料はすべてコミュニティ(HLP、アシスタンスファンド、デプロイヤー)に向けられる」と記載しています。アシスタンスファンドはシステムアドレス 0xfefefefefefefefefefefefefefefefefefefefe を使い、取引手数料をL1の実行の一部として自動的にHYPEへ変換します。アシスタンスファンドのHYPEはバーンされ、循環供給および総供給から恒久的に取り除かれます。
実務上の注意点
- 7日間の待ち行列があるため、急に売りたくなっても即座には動かせない。相場変動リスクを引き受ける前提で量を決める必要がある。
- 報酬レートは総ステーク量に反比例するため、参加者が増えれば下がる。過去の年率をそのまま将来に当てはめられない。
- ステーキング報酬の日本の税務上の取扱いは、暗号資産の取得タイミングと評価の問題になる。詳細は当サイトのステーキング報酬の課税タイミングの記事を参照。
よくある質問(FAQ)
HYPEをアンステークするのにどれくらいかかりますか。
ステーキング口座からスポット口座への移動には7日間の待ち行列があります。1アドレスにつき最大5件まで同時に待ち行列に入れられます。スポット口座からステーキング口座への移動は即時です。
どれだけステークすると手数料割引になりますか。
6段階のティアがあり、10 HYPE超のWoodで5%、100超のBronzeで10%、1,000超のSilverで15%、10,000超のGoldで20%、100,000超のPlatinumで30%、500,000超のDiamondで40%の取引手数料割引になります。
ステーキングの利回りはどう決まりますか。
報酬レートはステークされたHYPEの総量の平方根に反比例する算式で、公式Docsは総ステーク量4億HYPEのときに年率およそ2.37%と記載しています。参加が増えればレートは下がります。
出典(一次情報)
- Hyperliquid Docs — HyperCore / Staking
- Hyperliquid Docs — Trading / Fees
- Hyperliquid Docs — Trading / Margining
- 金融庁 暗号資産関係
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言・税務助言ではありません。個別の判断は専門家や公的機関の一次情報をご確認ください。




