この記事の結論
- HIP-1は供給量に上限のある代替性トークンの規格で、HIP-1トークン同士のオンチェーン現物板もあわせて提供されます。
- HIP-1トークンの発行コストは31時間のダッチオークションで決まります。価格はinitial_priceから500 HYPEまで直線的に下がり、初期価格は前回が不成立なら500 HYPE、成立していれば前回価格の2倍です。
- HIP-2(Hyperliquidity)はブロック遷移ロジックに組み込まれた完全オンチェーンの戦略で、運営者が存在しません。3秒ごとに0.3%のスプレッドを保証します。
仕様は2026年9月11日にHyperliquid公式Docsを取得して確認した内容です。仕様は変更されることがあるため、実際の利用前に公式Docsをご確認ください。
HIP-1:Hyperliquidのネイティブトークン規格
HIP-1(Native token standard)は、供給量に上限のある代替性トークンの規格です。トークンの発行(genesis)トランザクションの送信者は、次のパラメータを指定します。
| パラメータ | 内容 |
|---|---|
| name | 人が読める名称。最大6文字。一意性の制約はない |
| weiDecimals | 最小整数単位から人が解釈できる小数への変換レート(例:EVM上のETHは18、BitcoinネットワークのBTCは8) |
| szDecimals | 現物板で取引可能な最小の小数桁。ロットサイズは 10^(weiDecimals – szDecimals) になる。szDecimals + 5 <= weiDecimals が必須 |
| maxSupply | 最大かつ初期の供給量。現物板の手数料や将来のバーン機構により減少しうる |
| initialWei | 送信者が指定する任意の初期残高(マルチシグのトレジャリー、初期ブリッジミント等) |
| anchorTokenWei | 既存のHIP-1トークンを指定し、その保有比率に応じて初期残高を配分できる |
| hyperliquidityInit | USDC現物ペアのHyperliquidity初期化パラメータ(HIP-2で使用) |
デプロイのトランザクションはグローバルに一意なハッシュを生成し、実行ロジックはそのハッシュでトークンを索引します。
発行コストは31時間のダッチオークション
デプロイのガスコストは、継続時間31時間のダッチオークションで決まります。この期間中、デプロイ用のガスはinitial_priceから500 HYPEまで直線的に低下します。initial_priceは、直前のオークションが成立しなかった場合は500 HYPE、成立していた場合は直前のガス価格の2倍です。
アンカートークン保有者への配分には下限がある
アンカートークン保有者への初期配分は、genesis時点の「balance – 1e-6 × anchorTokenMaxSupply」に比例します。この値が負になる場合、初期トークンは受け取れません。つまり配分を受けるには、genesis時点でアンカートークンの最大供給量の0.0001%以上を保有している必要があります。
時間的に重要なのは最初の1ステップだけ
公式Docsは、この工程で時間に追われるのは最初のステップ(name・szDecimals・weiDecimalsを指定してトークンをデプロイする段階)だけだと明記しています。ガスが課金されトークンが確定するのがこの時点で、以降は時間制限がありません。またデプロイは複数段階の複雑な処理で、Hyperliquidityと総供給量が両立しないなど、途中で詰まる状態になりうるとも書かれています。デプロイ担当者は同じ設定をテストネットで先に試すことが推奨され、詰まった場合でもガスは返金されません。
HIP-2:Hyperliquidity
HIP-1だけでも許可不要のトークン規格としては十分ですが、実際には流動性の立ち上げが重要になります。HIP-2(Hyperliquidity)はそのための仕組みで、Uniswapに着想を得つつ、ネイティブのオンチェーン板と相互運用する設計です。
最大の特徴は、これがHyperliquidのブロック遷移ロジックの一部であり、運営者(オペレーター)が存在しない点です。戦略のロジックは、板そのものを動かしているのと同じコンセンサスによって保護されます。なおHyperliquidityは現時点でUSDC建ての現物ペアでのみ利用できます。
パラメータと動作
- spot:HIP-1のデプロイが返すUSDC建ての現物板の資産
- startPx:価格レンジの初期価格
- nOrders:レンジ内の注文数
- orderSz:レンジ内の1注文あたりのサイズ
- nSeededLevels:アスクではなくビッドとして開始するレベル数
nSeededLevelsを1つ増やすごとに、デプロイ担当者はpx × sz 相当のUSDCをHyperliquidityに拠出する必要があります。nOrdersが固定なら、シード済みレベルを増やすほどHyperliquidityのgenesis供給が減るため、総供給量も減ります。
価格レンジは再帰的に定義されます。px_0 = startPx、px_i = round(px_(i-1) × 1.003)。戦略は、直前の更新ブロックから3秒以上経過したブロックごとに更新されます。この結果、3秒ごとに0.3%のスプレッドが保証されます。
汎用チェーン上のスマートコントラクト型プールと同様、Hyperliquidityはユーザーのトランザクションによる保守を必要としません。改善点として、Hyperliquidityは汎用の板に参加するため、アクティブな流動性提供者がいつでも並んで流動性を供給でき、流動性需要の増加に市場が適応できると説明されています。
HIP-3・HIP-4もある
公式DocsのHIPセクションには、HIP-1・HIP-2のほかにHIP-3(Builder-deployed perpetuals)とHIP-4(Outcome markets)が並んでいます。本記事はトークン規格と流動性の2本に絞っています。
よくある質問(FAQ)
HIP-1トークンを発行するといくらかかりますか?
31時間のダッチオークションで決まります。価格はinitial_priceから500 HYPEまで直線的に低下し、initial_priceは前回のオークションが不成立なら500 HYPE、成立していれば前回価格の2倍です。
Hyperliquidityの0.3%スプレッドとは何ですか?
価格レンジが px_i = round(px_(i-1) × 1.003) で定義され、戦略が3秒以上の間隔で更新されることにより、3秒ごとに0.3%のスプレッドが保証される仕組みです。
Hyperliquidityの運営者は誰ですか?
存在しません。公式Docsは、HIP-2がHyperliquidのブロック遷移ロジックの一部である完全に分散化されたオンチェーン戦略で、オペレーターがいないと明記しています。
出典(一次情報)
- Hyperliquid Docs — HIP-1: Native token standard
- Hyperliquid Docs — HIP-2: Hyperliquidity
- Hyperliquid Docs — Hyperliquid Improvement Proposals (HIPs)
- Hyperliquid Docs — HyperCore / USDC
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言・税務助言ではありません。個別の判断は専門家や公的機関の一次情報をご確認ください。




