Hyperliquidの清算の仕組み|維持証拠金と清算価格の計算

この記事の結論

  • Hyperliquidの清算は、口座のエクイティ(純資産)が維持証拠金を下回った時点で始まります。維持証拠金は最大レバレッジ時の当初証拠金の半分で、最大レバレッジが3倍から40倍の範囲なので、資産により1.25パーセントから16.7パーセントです。
  • まず全数量の成行注文を板へ出して閉じにいきます。板で閉じ切れず、エクイティが維持証拠金の3分の2を下回ると、liquidator vault(HLPの構成戦略のひとつ)によるバックストップ清算に移ります。
  • バックストップ清算では維持証拠金は返りません。回避するには、マーク価格が清算価格に達する前にストップロス注文を置くか、自分でポジションを閉じる必要があります。

本記事は2026年9月10日時点のHyperliquid公式ドキュメントの記載にもとづきます。仕様は変更されることがあります。

清算(リキデーション)が始まる条件

Hyperliquidの清算は、口座のエクイティが維持証拠金(maintenance margin)を下回ったときに発生します。維持証拠金は「最大レバレッジ時の当初証拠金の半分」と定義されており、資産ごとの最大レバレッジが3倍から40倍の範囲であることから、維持証拠金率は1.25パーセント(最大40倍の資産)から16.7パーセント(最大3倍の資産)の間になります。

エクイティが維持証拠金を下回ると、まずポジション全数量の成行注文が板に送られます。全部または一部が約定して維持証拠金の要件を満たせば、残った証拠金はトレーダーの手元に残ります。

清算の主要パラメータ

項目公式ドキュメントの記載
維持証拠金最大レバレッジ時の当初証拠金の半分。資産により1.25パーセントから16.7パーセント
一次清算エクイティが維持証拠金を下回った時点で、全数量の成行注文を板へ送る
バックストップ清算エクイティが維持証拠金の3分の2を下回り、板で清算できなかった場合にliquidator vaultへ移管
部分清算清算対象ポジションが10万USDCを超える場合、板へ送られるのは20パーセントのみ(テストネットは1万USDC)
クールダウン部分清算が起きたブロックの後、30秒間はその利用者の清算注文が全数量になる
清算手数料CEXと異なり清算手数料(clearance fee)は徴収されない
参照価格マーク価格(外部CEX価格とHyperliquidの板の状態を組み合わせたもの)

バックストップ清算とliquidator vault

維持証拠金の3分の2を下回ったポジションは、liquidator vaultが引き受けます。これはHLPの構成戦略のひとつで、多くの取引所では取引所運営者や一部のマーケットメイカーに入る清算の損益が、Hyperliquidでは HLP を通じてコミュニティへ流れる設計になっています。

クロスマージンのポジションがバックストップ清算されると、そのトレーダーのクロスポジションとクロス証拠金がすべてliquidatorへ移ります。分離マージン(isolated)のポジションの場合は、その分離ポジションと分離証拠金だけが移り、クロス側は影響を受けません。

この局面では維持証拠金が返還されません。liquidator vaultが平均的に採算を取れるようにするためのバッファとして扱われるからです。

清算価格の計算式

公式ドキュメントは清算価格の式を次のように示しています。

liq_price = price - side * margin_available / position_size / (1 - l * side)

ここで l = 1 / MAINTENANCE_LEVERAGEside はロングが1、ショートがマイナス1です。margin_available はクロスの場合が「口座価値 – 必要維持証拠金」、分離の場合が「分離証拠金 – 必要維持証拠金」です。マージンティアがある資産では、清算価格でのポジション価値に対応するティアの維持レバレッジが使われます。

クロスマージンでは、実際の清算価格は設定したレバレッジに依存しません。低いレバレッジのクロスポジションは、単に使う担保が増えるだけです。一方、分離マージンでは割り当てられる証拠金額が当初証拠金の設定で決まるため、清算価格はレバレッジ設定に依存します。

清算を避けるためにできること

画面に表示される清算価格は目安です。建てる前の推定値は板の流動性の変化で実際とずれ得ますし、建てた後の表示価格も、資金調達(ファンディング)の支払いや、クロスマージンにおける他ポジションの含み損益の変化でずれます。正確に監視したい場合は、上の式を自分で計算するよう公式が推奨しています。

維持証拠金を失わないための現実的な手段は2つです。マーク価格が清算価格に達する前にストップロス注文を置くこと、そして自分でポジションを閉じることです。ボラティリティが高い局面や高レバレッジのポジションでは、マーク価格と板の価格が大きく乖離することがある点にも注意してください。

よくある質問(FAQ)

Hyperliquidの維持証拠金は何パーセントですか?

維持証拠金は最大レバレッジ時の当初証拠金の半分と定義されています。資産ごとの最大レバレッジが3倍から40倍なので、維持証拠金率は1.25パーセント(最大40倍の資産)から16.7パーセント(最大3倍の資産)の範囲になります。

清算されると証拠金は全部なくなりますか?

板への成行注文で維持証拠金の要件を満たせた場合は、残った証拠金はトレーダーの手元に残ります。ただし維持証拠金の3分の2を下回ってバックストップ清算になった場合、維持証拠金は返還されません。

大きなポジションは一度に全部清算されますか?

されません。清算対象のポジションが10万USDCを超える場合、板へ送られるのは20パーセントのみです。部分清算が起きたブロックの後は30秒間のクールダウンがあり、その間の清算注文は全数量になります。

出典(一次情報)

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言・税務助言ではありません。個別の判断は専門家や公的機関の一次情報をご確認ください。