米BTC準備金とManus、Uniswap予算案|3月7日のニュース

2025年3月7日前後は、Manusへの関心、米国のBTC準備金、Hyperliquidの取引量、Uniswapの大型予算案が話題になった。政府の命令は追加取得を全面禁止したものではなく、取引量や予算額も利益や支出と同じ数字ではない。発表の時点と、数字が表す対象をそろえて読み解く。

Manusは実務を進めるAIとして注目された

2025年3月上旬に登場したManusは、質問への回答だけでなく、一連の作業を進めて成果物を作るAIとして話題になった。3月7日付のTechNodeは、開発チームの説明と、履歴書の選別などを示すデモを紹介している。同記事によれば、当時は利用申請が必要なベータ版だった。

この段階で区別したいのは、開発側が示す利用例と、誰でも同じ条件で再現できる実績だ。よくできたデモがあることは、その作業の可能性を示す。一方で、入力が変わった場合や、情報が足りない場合にも安定して完了できるかは、別途確認しなければ分からない。

評価する際は、完成した文章の見栄えだけでなく、参照した資料、計算の根拠、処理に失敗した箇所まで確認する方がよい。例えば株価を分析するレポートなら、データの時点や単位を取り違えていないかが重要になる。プログラムが動くことと、その結論が正しいことも別である。

複数のエージェントが作業を分担するという説明も、速さや正確さの保証にはならない。分担の途中で条件が抜けたり、同じ情報を何度も調べたりすれば、手間が増える場合もある。当時の注目を理解するには、万能という評価を先に置かず、どの作業をどこまで任せられるのかを具体的に見る必要があった。

米国のBTC準備金は追加取得を全面禁止していない

トランプ大統領が戦略的ビットコイン準備金を設ける大統領令に署名したのは、米国時間2025年3月6日だ。日本では7日のニュースとして受け止められた。命令はBTCの準備金と、それ以外のデジタル資産を保管する備蓄を別々に設ける方針を示した。

準備金の基礎となるのは、財務省が保有する、最終的な没収などの要件を満たしたBTCである。捜査で一時的に押収された資産が、無条件ですべて政府の自由な資産になるという意味ではない。法に基づく処理や、被害者への返還などの扱いも命令に含まれている。

重要なのは、追加購入を一切しないという内容ではなかったことだ。財務長官と商務長官には、納税者へ追加負担を課さない予算中立的な方法でBTCを追加取得する戦略の検討が求められた。ただし、これは特定の日に特定額を買うという執行計画そのものではない。

この違いは、ニュースの需給への影響を考える際に大きい。保有方針を変える発表、追加取得の方法を検討する指示、実際の市場注文はそれぞれ別の段階だ。政府が保有するという見出しだけから、新しい買い需要が直ちに生まれると判断することはできない。

政府保有の方針は価格の公的保証ではない

大統領令は準備金に入ったBTCを売却しない方針を定めた。一方、BTC以外の備蓄資産を追加取得するには、没収などを除き、新たな行政上または立法上の措置を必要とした。複数の暗号資産を同じ条件で買い集める仕組みとして読むのは正確ではない。

保有資産の管理方針と、民間投資家に対する価格保証も分ける必要がある。政府がBTCを保有していても、個人の購入価格で買い戻す義務を負う制度になったわけではない。市場での価格変動や取引相手の問題は、保有者にとって引き続き別の論点となる。

過去に売却したBTCを持ち続けていればいくらになったか、という計算にも注意したい。それは仮定を置いた機会損益であり、その額が現金として国庫から流出したことを示す数字ではない。比較する価格と時点によって結果が変わるため、会計上の損失と混同すると政策評価を誤る。

Hyperliquidの累計取引量と市場シェアを読み分ける

PANewsのFrank氏による3月6日付記事は、Hyperliquidの累計取引量が5日に1兆ドルを超えたと伝えた。また、約60%というシェアについては、分散型の永続先物市場をめぐる2月8日の分析値を紹介している。3月7日の全先物市場のシェアを直接示す数字ではない。

累計取引量には同じ資金による繰り返しの売買も含まれる。1兆ドルが新たに預けられたことや、同額の資産が保管されていることを意味しない。預かり資産、未決済の建玉、一定期間に成立した取引の総額は、同じ市場でも異なる指標になる。

さらにシェアを比べるには、分母をそろえる必要がある。分散型取引所だけの比較に、中央集権型の大手取引所を加えれば、割合は変わる。日次、月次、累計という集計期間も一致させなければ、数字の大小だけで順位を決めることはできない。

取引の活発さは利用状況を知る材料にはなるが、参加者が利益を得たことの証明にはならない。売買が増えるほど手数料収入が増える設計であっても、トレーダーの損益やトークン保有者への還元は、それぞれ別に確認する必要がある。

清算額の大きさと大口の利益をそのまま比べない

同じPANews記事は、Hyperliquidで大規模な清算が発生していたことも取り上げた。ただし、比較に使われた集計先へ清算データをすべて提供していない取引所がある、と記事自身が注意を添えている。公開データの金額が小さいことだけで、その取引所の清算が少ないとは断定できない。

清算された建玉の額は、利用者が現金で失った額と必ずしも一致しない。証拠金を使う取引では、建玉の大きさと自己資金の大きさが違うためだ。数字を伝える際は、何が清算され、どの金額が集計されているのかを確認する必要がある。

大口アドレスの含み益にも同様の問題がある。保有中の評価益は、決済までに変わり得る。別の場所に反対方向の取引があれば、一つのアドレスだけで運用者全体の成績は分からない。公開された成功例から、同じ売買をすれば同じ成果になると考えることはできない。

レバレッジの上限や清算条件は、銘柄や時期によって変更されることもある。現在の仕様を使って2025年3月の取引を再計算する際には、当時の条件と一致しているかの確認が必要だ。特定の高倍率だけを強調するより、証拠金と建玉の関係を読む方が実態を理解しやすい。

Uniswapの1.655億ドルは二つの予算案の合計

Uniswap Foundationが2月14日に示したUniswap Unleashedでは、助成向け9,540万ドルと、2年間の運営向け2,510万ドルを求めた。これとは別の流動性インセンティブ案が4,500万ドルで、合計すると1億6,550万ドルになる。すべてを開発者への直接投資とまとめると、使途の違いが見えなくなる。

対象にはUniswap v4とUnichainの成長支援が含まれた。3月7日の記事で扱うべきなのは、この予算を求める計画であり、全額がその日に支出されたという話ではない。ガバナンスで方向性が支持された段階、資金移動が承認された段階、実際に配布された段階は分けて追う必要がある。

流動性の提供を報酬で促す施策は、取引しやすい市場を作る狙いを持つ。一方、報酬がなくなった後も資金が残るか、利用が続くかは別の評価になる。配布額だけで成功を決めず、施策の前後で利用状況や費用がどう変わったかを見ることが大切だ。

また、プロトコルの利用が増えることと、UNI保有者が自動的に収益を受け取ることも同一ではない。どの手数料を誰が受け取り、保有者への分配にどの決定が必要なのかを確かめたい。他のDeFiで買い戻し案が出たことだけでは、Uniswapの仕組みが同じになったとはいえない。

SECは証券としての扱いを議論する場を予告

米SECは3月3日、暗号資産タスクフォースによる公開討論のシリーズを発表した。初回は3月21日に予定され、暗号資産が証券に当たるかという論点を扱うとした。会場での参加に加え、主要な討論をオンラインで配信する予定も案内された。

ここで確認できるのは、規制上の扱いを検討し、意見を聞く機会が設けられるということだ。会合を開くという告知だけで、すべての暗号資産の分類が決まったり、既存の義務がなくなったりするわけではない。議論の予定と、拘束力を持つ規則や法律の変更を区別する必要がある。

3月7日前後のニュースは、AIのデモ、取引の統計、政府の命令、DAOの予算案という異なる性質の情報が重なっていた。それぞれについて、誰が示した情報か、何日時点か、決定や実行がどこまで進んだかをそろえると、話題の大きさだけに左右されずに内容を比較できる。

よくある質問

Q. 米国はBTCを追加取得しないと決めたのですか?

A. 大統領令は、納税者への追加負担を生じさせない予算中立的な取得戦略の検討を求めました。追加取得の全面禁止とは異なります。

Q. Hyperliquidの累計取引量は預かり資産の額ですか?

A. 異なります。同じ資金で繰り返す売買も取引量に含まれるため、保管資産や純流入を示す数字としては使えません。

Q. Uniswapの1.655億ドルはすべて支出済みでしたか?

A. 取り上げた金額は助成、運営、流動性支援の予算案を合わせたものです。3月7日時点で全額を支出したという意味ではありません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。