この記事の結論
- 暗号資産の売却や使用で生じた利益は、原則として雑所得に区分されます。計算の出発点になるのが、暗号資産交換業者から送られてくる「年間取引報告書」です。
- 国税庁は、年間取引報告書をもとに「暗号資産の計算書(総平均法用・移動平均法用)」を作成すれば計算を簡便に行えると案内しています。計算書は国税庁ホームページに掲載されています。
- 評価方法を選ぶには「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を所轄税務署長へ提出します。届出がない場合、個人は総平均法、法人は移動平均法で計算することになります。
本記事は2026年9月10日時点で公開されている国税庁の資料にもとづきます。制度は改正されることがあります。
まず用意する書類のチェックリスト
暗号資産の確定申告でつまずくのは、たいてい「数字を作る材料が揃っていない」ことが原因です。先に材料を並べてから計算に入ると迷いません。
| 書類 | 入手先・作成元 | 役割 |
|---|---|---|
| 年間取引報告書 | 暗号資産交換業者から送付 | 1年分の取引の集計。計算の出発点になる |
| 暗号資産の計算書(総平均法用・移動平均法用) | 国税庁ホームページ | 年間取引報告書の数字を入れて所得金額を算出する |
| 所得税の暗号資産の評価方法の届出書 | 所轄税務署へ提出 | 総平均法か移動平均法かを選ぶための届出 |
| 海外取引所・DEXの取引履歴 | 各サービスからエクスポート | 年間取引報告書が出ない取引を自分で集計する |
| 送金手数料・取得に要した費用の記録 | 取引所の明細やウォレット履歴 | 必要経費として計上する根拠になる |
| 確定申告書と各種控除の証明書 | 国税庁の確定申告書等作成コーナーなど | 申告そのものに必要 |
年間取引報告書と計算書の関係
国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」は、暗号資産の所得金額の計算について、交換業者から送付される年間取引報告書をもとに「暗号資産の計算書(総平均法用・移動平均法用)」を作成することで簡便に行える、と説明しています。計算書は国税庁ホームページに掲載されています。
逆に言えば、年間取引報告書が出ない取引(海外の取引所やDEX、ウォレット間の交換など)については、自分で履歴を集めて同じ形に整える必要があります。年をまたぐ前にエクスポートしておくと、サービス終了や仕様変更で履歴が取り出せなくなる事故を避けられます。
評価方法の届出は「その年の3月15日まで」
暗号資産の1単位あたりの取得価額は、総平均法か移動平均法のいずれかで計算します。どちらを使うかを選ぶには、所轄税務署長に対して「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を提出します。
届出をしなかった場合、個人は総平均法、法人は移動平均法によって計算することになります。国税庁のFAQには、同じ設例で総平均法の譲渡原価が3,106,000円、移動平均法が3,080,200円になるという計算例が示されています。方法が違えばその年の所得金額も変わります。
申告が必要になるかどうかの目安
給与所得者で、給与以外の所得の合計が年間20万円を超える場合には、確定申告が必要になります。暗号資産の利益だけで判断せず、他の副収入と合算して考えてください。
なお、暗号資産を売却して日本円にしたときだけでなく、暗号資産同士の交換や、商品の購入に使った場合にも所得が生じ得ます。国税庁のFAQでは、マイニング・ステーキング・レンディングなどで取得した場合も、取得時点の時価が総収入金額に算入されると説明されています。
提出前に確認したいこと
提出の直前に慌てないよう、次の3点を先に潰しておくと安全です。1つ目は、すべての取引所とウォレットの履歴が揃っているか。2つ目は、選んだ評価方法が届出の内容と一致しているか。3つ目は、必要経費として計上した費用に根拠となる明細が残っているかです。
判断に迷う取引がある場合は、国税庁のFAQで同じ類型の設例を探すか、税務署や税理士に確認してください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務判断を行うものではありません。
よくある質問(FAQ)
暗号資産の確定申告に年間取引報告書は必須ですか?
法律上の添付義務ではありませんが、国税庁は年間取引報告書をもとに「暗号資産の計算書」を作成することで所得金額の計算を簡便に行えると案内しています。報告書が出ない海外取引所やDEXの取引は、自分で履歴を集めて集計する必要があります。
評価方法の届出をしないとどうなりますか?
届出をしなかった場合、個人は総平均法、法人は移動平均法によって計算することになります。国税庁のFAQの設例では、同じ取引でも総平均法の譲渡原価が3,106,000円、移動平均法が3,080,200円と差が出ています。
いくらから確定申告が必要になりますか?
給与所得者の場合、給与以外の所得の合計が年間20万円を超えると確定申告が必要です。暗号資産の利益だけでなく、他の副収入も合算して判断してください。
出典(一次情報)
- 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(PDF)
- 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について」
- 国税庁 タックスアンサー No.1524「暗号資産を売却または使用した場合の課税関係」
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」等の特集ページ
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言・税務助言ではありません。個別の判断は専門家や公的機関の一次情報をご確認ください。




