NFTの税金|制作者の一次流通と転売の課税区分をまとめて解説

この記事の結論

  • 自分で組成したNFTを譲渡した一次流通は「デジタルアートの閲覧に関する権利」の設定に係る取引とされ、雑所得(または事業所得)に区分される(NFT FAQ 問1)。
  • 購入したNFTを転売した二次流通は同権利の譲渡に該当し、原則として譲渡所得に区分される(同 問4)。
  • 譲渡所得なら総合課税の特別控除50万円が使える一方、雑所得は他の所得との損益通算ができないという差がある。

本記事は国税庁「NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)」令和5年1月(令和5年1月1日現在の法令・通達等)にもとづく2026年9月時点の整理です。

結論:一次流通は雑所得、二次流通は譲渡所得が原則

国税庁のNFT FAQは、同じ「NFTを売って得た利益」でも、自分が組成したものを売る一次流通と、買ったものを売る二次流通で所得区分を分けています。区分が変われば計算式も、特別控除の有無も、損失の扱いも変わります。

一次流通と二次流通の比較

項目一次流通(組成して譲渡)二次流通(購入して転売)
取引の性質「デジタルアートの閲覧に関する権利」の設定に係る取引同権利の譲渡
所得区分雑所得(または事業所得)原則として譲渡所得
計算式譲渡収入 − 必要経費転売収入 − 取得費 − 譲渡費用 − 特別控除額
特別控除なし総合課税の譲渡所得の特別控除50万円(譲渡益が50万円以下ならその金額まで)
損益通算他の所得とは不可(雑所得内の通算は可)可能。ただし主として趣味・娯楽・保養・鑑賞目的で所有していた場合は不可

一次流通で見落としやすい「売上原価」

問1の注2は、NFTの売上原価はそのNFTを組成するために要した費用の額であり、デジタルアートの制作費は含まれないと明記しています。制作にかけた時間や画材費をそのまま原価に入れられる、という理解は誤りです。

トークンで受け取った場合の収入金額

譲渡収入をマーケットプレイス内で流通するトークンで受け取った場合は、そのトークンの時価が譲渡収入になります。ただしそのトークンが暗号資産などの財産的価値を有する資産と交換できないなどの理由で時価の算定が困難なときは、譲渡したNFTの市場価額(市場価額がない場合は売上原価等)をトークンの時価として扱って差し支えないとされています。

二次流通が譲渡所得にならないケース

問4の注記は、そのNFTの譲渡が棚卸資産もしくは準棚卸資産の譲渡、または営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡に該当する場合は、事業所得または雑所得に区分されるとしています。転売を反復継続している場合、譲渡所得の特別控除を前提にした計算はできません。

相続・贈与でNFTを取得した場合

問9は、経済的価値のあるNFTを贈与・相続・遺贈により取得した場合、その内容や性質、取引実態等を勘案して価額を個別に評価したうえで贈与税または相続税が課されるとしています。評価は評価通達135(書画骨とう品の評価)に準じ、売買実例価額や精通者意見価格等を参酌します。課税時期における市場取引価格が存在するNFTは、その価格で評価して差し支えありません。

暗号資産の所得区分とは別のルール

暗号資産取引そのものの所得区分は、暗号資産FAQ 2-2(令和7年12月更新)で、原則は雑所得(その他雑所得)、その年の収入金額が300万円を超える場合は帳簿書類の保存があれば原則事業所得、なければ原則として業務に係る雑所得、と整理されています。NFTの取引区分とは根拠となるFAQが異なるため、混同しないよう注意してください。

本記事は一般的な整理です。個別の取引の判定は税理士や所轄税務署にご確認ください。

よくある質問(FAQ)

自分で作ったNFTを売った利益は何所得ですか?

国税庁のNFT FAQ 問1では「デジタルアートの閲覧に関する権利」の設定に係る取引にあたるとされ、雑所得(または事業所得)に区分されます。

買ったNFTを転売した場合はどうなりますか?

問4により原則として譲渡所得です。ただし棚卸資産等の譲渡や、営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡に該当する場合は事業所得または雑所得になります。

NFTの譲渡所得に特別控除はありますか?

総合課税の譲渡所得の特別控除は50万円です。譲渡益が50万円以下のときは、その金額までしか控除できません。

出典(一次情報)

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言・税務助言ではありません。個別の判断は専門家や公的機関の一次情報をご確認ください。