マイニング・ステーキングの計上時点|4つの取得事由を比較する

この記事の結論

  • マイニング・ステーキング・レンディングで暗号資産を取得した場合、取得時点の時価が総収入金額に算入され、要した費用が必要経費になります(国税庁FAQ 1-7)。
  • 一方、分裂(分岐)で新たに誕生した暗号資産は、取得時点に取引相場が存在しないため所得が生じず、取得価額は0円になります(FAQ 1-6)。
  • 分かれ目は「取得した時点に取引相場(時価)があるかどうか」で、相場がなければ課税は取得時ではなく売却・使用の時点にずれます。

本記事は国税庁の公表資料にもとづく2026年9月時点の整理です。個別の判断は税務署等でご確認ください。

分かれ目は「取得時に相場があるか」

暗号資産をもらったとき、いつ・いくらで所得に計上するのか。国税庁のFAQを読むと、判断の軸はひとつに絞れます。取得した時点に取引相場(時価)があるかどうかです。

相場があれば、その時点の時価が総収入金額に入ります。相場がなければ、その時点では所得が生じず、取得価額0円のまま売却や使用の時点まで課税が繰り延べられます。

取得事由別の比較表

取得事由収入に計上する時点計上する金額取得価額根拠
マイニング取得した時点取得時点の時価計上した時価FAQ 1-7
ステーキング取得した時点取得時点の時価計上した時価FAQ 1-7
レンディング取得した時点取得時点の時価計上した時価FAQ 1-7
分裂(分岐)で誕生した暗号資産取得時は計上なし。売却・使用の時点売却価額等の全額(取得費0円)0円FAQ 1-6

マイニング等については、取得時点の時価を総収入金額に算入すると同時に、マイニング等に要した費用を必要経費に算入します(所法27・35・36・37)。取得時に計上した時価がそのまま取得価額になるため、その後の値上がり分だけが売却時の損益になります。

エアドロップをどう当てはめるか

国税庁FAQには「エアドロップ」という項目名の設問はありません。実務では、上の2つの型のどちらに当たるかで判断することになります。

受け取った時点で取引所に上場していて相場がついているトークンは、経済的価値のあるものを取得したことになるため、その時点の時価を計上する型に近づきます(所法36)。逆に、分裂(分岐)で誕生したトークンのように取得時点で取引相場が存在しないものは、FAQ 1-6の考え方どおり取得価額0円として、売却・使用の時点まで所得が生じません。

受け取った日の相場の有無と、その根拠となる価格を後から示せる記録を残しておくことが、どちらの型で申告するかを説明する材料になります。

計上のあとに必要になる記録

取得時点の時価で計上するということは、その時価を後から証明できる必要がある、ということでもあります。国税庁FAQ 2-7は、取得価額や売却価額が分からない場合について、国内交換業者経由なら年間取引報告書、それ以外は銀行口座の出入金状況や取引履歴と交換業者が公表する取引相場から確認する方法を示しています。

ステーキング報酬のように少額かつ高頻度で発生するものは、後からまとめて再現するのが難しくなります。受領のたびに数量と日時が残るCSVを取得しておくのが現実的です。

所得区分は原則として雑所得

計上した所得の区分は、国税庁FAQ 2-2により原則として雑所得(その他雑所得)です。ただし収入金額が300万円を超える場合は、帳簿書類の保存があれば原則として事業所得、保存がなければ原則として業務に係る雑所得と整理されています。雑所得である限り、その計算上生じた損失を他の所得と通算することはできません。

よくある質問(FAQ)

ステーキング報酬はいつ課税されますか?

国税庁FAQ 1-7は、ステーキングにより暗号資産を取得した場合、その取得した暗号資産の取得時点の価額(時価)を総収入金額に算入するとしています。売却した時点ではなく、報酬を取得した時点が計上時期です。

ハードフォークでもらったコインはすぐ課税されますか?

されません。国税庁FAQ 1-6は、分裂(分岐)時点では取引相場が存在せず価値を有していなかったと考えられるため、その取得時点では所得が生じないとしています。取得価額は0円となり、売却または使用した時点で所得が生じます。

マイニングにかかった電気代は経費になりますか?

国税庁FAQ 1-7は「マイニング等に要した費用については所得の金額の計算上必要経費に算入される」としています。ただし家事用と共通する支出の按分など、必要経費の一般的なルールに従う必要があります(FAQ 2-3)。

出典(一次情報)

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言・税務助言ではありません。個別の判断は専門家や公的機関の一次情報をご確認ください。