暗号資産の申告漏れ|加算税と延滞税の金額を計算例で確認する方法

この記事の結論

  • 無申告加算税の率は「いつ申告したか」で変わる。調査の事前通知の前に自主的に期限後申告をした場合は5%、事前通知の後で決定を予知する前なら10%(50万円超の部分は15%、300万円超の部分は25%)、調査を受けた後なら15%(同20%・30%)となる。
  • 延滞税は本税だけを対象とし、加算税には課されない。令和8年1月1日から12月31日までの期間は、納期限の翌日から2か月までが年2.8%、それ以後が年9.1%。
  • 期限後申告でも、法定申告期限から1か月以内の自主的な申告など一定の要件をすべて満たす場合は無申告加算税はかからない。

本記事は2026年9月11日に国税庁のタックスアンサーおよび「延滞税の割合」ページを取得して作成しました。割合は年ごとに告示で変わるため、実際の申告時は最新の公表値をご確認ください。

無申告加算税は「いつ申告したか」で率が変わる

暗号資産の利益を申告していなかった場合、まず問題になるのが無申告加算税です。国税庁のタックスアンサー「確定申告を忘れたとき」は、期限後申告のタイミングごとに率を分けて示しています。以下は令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)の区分です。

期限後申告のタイミング50万円までの部分50万円超300万円までの部分300万円を超える部分
調査の事前通知の前に自主的に申告5%5%5%
事前通知の後・決定を予知する前に申告10%15%25%
調査を受けた後に申告(決定を予知)15%20%30%
国税庁タックスアンサーNo.2024「確定申告を忘れたとき」より作成。令和5年分以降の区分。

さらに加算される場合があります。前年および前々年の所得税について無申告加算税や重加算税が課されたことがあるときなどは、納付すべき税金に10%を乗じた金額が上乗せされます。また、調査で帳簿の提示等をしなかった場合や、帳簿への売上金額の記載等が本来記載すべき金額の2分の1未満だった場合も10%、3分の2未満だった場合は5%が上乗せされます。暗号資産の取引は取引所ごとに記録が分散しやすく、帳簿の整備状況がそのまま率に響く点に注意が必要です。

延滞税は本税だけを対象とし、2か月で率が変わる

延滞税は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課されます。国税庁は「延滞税は本税だけを対象として課されるものであり、加算税などに対しては課されません」と明記しています。割合は年ごとに告示され、令和3年1月1日以後は次のとおりです。

期間納期限の翌日から2か月まで2か月を経過した日以後
令和8年1月1日〜令和8年12月31日年2.8%年9.1%
令和4年1月1日〜令和7年12月31日年2.4%年8.7%
令和3年1月1日〜令和3年12月31日年2.5%年8.8%
国税庁「延滞税について」および「延滞税の割合」より作成。原則は年7.3%と年14.6%で、特例基準割合により上表の割合が適用されます。

ここでいう納期限は、期限内に申告した場合は法定納期限、期限後申告または修正申告の場合は申告書を提出した日、更正・決定の場合は通知書を発した日から1か月後の日です。期限後申告では申告書を出した日が納期限になるため、その日に納付しないと延滞税が積み上がります。

計算例:本税100万円を法定納期限の90日後に納付した場合

期限内に申告したものの納付が遅れ、令和8年中に法定納期限の翌日から90日後に本税100万円を納付したとします。最初の2か月(61日)は年2.8%、残りの29日は年9.1%で計算します。

区間割合計算式金額
納期限の翌日から61日年2.8%1,000,000円 × 2.8% × 61 ÷ 3654,679円
62日目から90日(29日)年9.1%1,000,000円 × 9.1% × 29 ÷ 3657,230円
合計11,909円
令和8年の割合を用いた概算です。実際の納付額は端数処理を行うため、国税庁「延滞税の計算方法」の手順で計算してください。

同じ本税100万円について、調査の事前通知の後・決定を予知する前に期限後申告をした場合の無申告加算税は、50万円までの部分が10%で5万円、50万円超の部分が15%で7万5,000円、合わせて12万5,000円です。事前通知の前に自主的に申告していれば5%で5万円ですから、申告のタイミングだけで7万5,000円の差が生じます。

無申告加算税がかからない場合

期限後申告であっても、次の要件をすべて満たす場合には無申告加算税はかかりません。

  • その期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること。
  • 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること(納付すべき税金の全額を法定納期限までに納付しており、かつ提出日の前日から起算して5年前までの間に無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、この不適用を受けてもいないこと)。

なお、暗号資産の利益は原則として雑所得に区分され、雑所得の損失は他の所得と通算できません。取得価額の計算方法や所得区分の判定は国税庁の暗号資産FAQに整理されています。加算税と延滞税の話に入る前に、そもそもの所得計算を確認しておくほうが早い場合もあります。

この記事で扱っていないこと

過少申告加算税および重加算税の率、地方税(住民税)の取扱い、納税の猶予制度については、本記事で一次情報を確認できた範囲を超えるため記載していません。個別の事案については税務署または税理士にご確認ください。

よくある質問(FAQ)

暗号資産の利益を申告し忘れた場合、無申告加算税は何%ですか?

令和5年分以降は、調査の事前通知の前に自主的に期限後申告をした場合は5%です。事前通知の後で決定を予知する前の申告は50万円までの部分が10%、50万円超300万円までが15%、300万円超が25%。調査を受けた後の申告はそれぞれ15%・20%・30%になります。

令和8年の延滞税の割合はいくらですか?

令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、2か月を経過した日以後が年9.1%です。原則は年7.3%と年14.6%ですが、延滞税特例基準割合による低いほうの割合が適用されます。

延滞税は加算税にもかかりますか?

かかりません。国税庁は「延滞税は本税だけを対象として課されるものであり、加算税などに対しては課されません」と明記しています。

出典(一次情報)

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言・税務助言ではありません。個別の判断は専門家や公的機関の一次情報をご確認ください。