9月24日暗号資産ニュース:IBITオプション・Sygnum・Celestia

2024年9月24日分のニュースには、金融商品の取引拡大、欧州への事業展開、ブロックチェーン基盤への資金調達が並んだ。本稿ではIBIT、Sygnum、Celestiaの三つを取り上げる。何が承認・登録され、どこまでが将来計画だったのかを、発表日と後日の経緯を分けて整理する。

SECが承認したのはIBITのオプションを上場する規則変更

米証券取引委員会(SEC)は2024年9月20日、Nasdaq ISEがiShares Bitcoin Trust(IBIT)を対象とするオプションを上場・取引するための規則変更を承認した。9月24日付のニュースとして紹介された出来事だが、承認文書の日付は20日である。今回、新しくビットコイン現物ETFそのものを承認したわけではない。

IBITは、ビットコインを保有する上場商品の持分を証券市場で取引する仕組みだ。一方、そのオプションは、所定の条件でIBITの持分を売買する権利を扱う契約である。ビットコイン、IBITの持分、その持分を対象とするオプションという三つの層を分けると、承認の対象が明確になる。

SECの文書では、対象商品の取引状況、市場監視、ポジションや権利行使の上限などが検討されている。当初の承認は2万5,000契約の上限を設けた内容だった。この数値は2024年9月の承認条件であり、将来も変わらない現在の取引条件として利用するものではない。

旧記事の「ベライダー」や「期権」は、日本語の読者に意味が伝わりにくい表記だった。ここではBlackRockとオプションに統一する。また、規制上の承認は、価格上昇や投資収益を保証する評価ではない。どの商品を、どの市場の規則の下で扱えるようにしたかという事実を確認するニュースである。

承認日と取引開始日、持分の受渡しとBTCの送付は別

Nasdaqは後日の2024年11月20日付発表で、前日の19日にBlackRockとともにIBITのオプションを上場したと報告した。したがって、9月20日に規則変更が承認されたことを、同日にオプション取引が始まったという意味で紹介してはいけない。承認と実際の市場での提供には時間差があった。

2024年の上場対象は、現物受渡し方式で米国式の権利行使を採用するオプションとして説明された。ここで受け渡す対象はIBITの持分であり、オプションを行使した投資家のウォレットへビットコインが直接送付されるという意味ではない。商品がBTCを保有していることと、オプションの決済対象を混同しないようにしたい。

オプションは、買う側にとって一定条件で売買できる権利を確保する仕組みで、通常は対価となるプレミアムを支払う。IBITの値動きに備える用途が考えられる一方、期限や行使価格によって結果は変わる。「ヘッジ手段が増えた」という説明だけで、どの取引にも損失を減らす効果があるとはいえない。

このニュースを後から参照するときは、ETFの提供開始、オプションの承認、オプションの取引開始を別々の日付として記録するとよい。本稿が確認した11月の取引所発表は、実際に上場した時点を補う資料であり、9月時点ですでに利用できた機能として扱わない。

Sygnumの2024年発表は、リヒテンシュタインでの登録

Sygnumは2024年9月23日、現地子会社をリヒテンシュタインの金融市場監督機構(FMA)に登録したと発表した。同社は、この登録によりリヒテンシュタイン市場で、仲介、保管、B2Bの銀行関連サービスを含むデジタル資産サービスを提供できると説明している。

発表の見出しや本文は、この動きを欧州展開に向けた段階として位置付けていた。EUの暗号資産市場規則であるMiCAに対応し、2025年第1四半期にEU・欧州経済領域(EEA)の30市場へ進出することを目指すという計画も記載されていたが、その目標を9月時点の達成済みの権限と読むことはできない。

旧記事は、CASPライセンスの取得によってすでにEEA内でサービスを提供できるようになったと説明していた。今回確認した当時の公式発表に合わせ、現地登録による提供範囲と、その後の制度に対応した域内展開を分けて書き直した。地理的な拡張の予定と、営業できる範囲の確定は別の情報である。

また、Sygnumというグループ名だけでは、顧客がどの法人と契約するかは分からない。ある国の子会社の登録を、グループ内の全法人や全商品に自動的に及ぶ認可として扱わないことが重要だ。制度のニュースでは、会社名、認可主体、対象地域、提供サービスを組にして確認したい。

2026年のCASPに関する発表を、2024年へさかのぼらせない

その後、Sygnumは2026年6月30日の公式発表で、Sygnum EuropeがリヒテンシュタインのFMAによるMiCARに基づくCASP認可を活用し、EUの顧客基盤を拡大する方針を説明している。この資料は、後の時点で新しい制度下の認可を利用する段階に進んだことを示す。

2024年9月の現地登録と2026年6月の説明は、同社の欧州事業の経緯を追ううえで別々の記録になる。後日の発表が見つかったからといって、2024年に同じ認可と同じ対象範囲をすべて取得していたことにはならない。本稿では2026年の情報を補足として明示し、当時のニュースと区別する。

なお、6月30日は引用した発表の公表日であり、本稿はこの日を認可そのものの交付日と断定していない。企業の発表日、監督当局による認可日、サービス提供開始日は一致するとは限らない。利用可能なサービスの判断には、その時点の契約法人と利用条件を確認する必要がある。

Celestia Foundationは1億ドル調達を発表、累計は1億5,500万ドル

Celestia Foundationは2024年9月23日、Bain Capital Cryptoが主導する1億ドルの資金調達を発表した。参加者としてSyncracy Capital、1kx、Robot Ventures、Placeholderなどが挙げられている。財団の説明によると、プロジェクトの累計調達額は1億5,500万ドルになった。

今回の1億ドルと累計1億5,500万ドルは、別々に追加された二つの調達額ではない。累計に今回分を含めて読む必要がある。また、資金調達の発表は、同額の利用料収入が発生したことや、ネットワーク上の資産残高が増えたことを示すものではない。

Celestiaは、ブロックチェーンで利用するデータを公開・検証可能にするための基盤を提供するプロジェクトだ。2023年10月にMainnet Betaを公開し、アプリ側の実行環境を一つに固定せず、複数のロールアップなどがデータ基盤を利用する構成を進めてきた。資金調達はこの開発や普及の文脈で発表された。

財団の資料は当時の初期エコシステムの成長も紹介しているが、開発者が導入したことと、継続的な需要や採算が確立したことは別になる。調達額だけからトークンの将来価値を計算することもできない。資金の確保と利用実績は、異なる指標として追う必要がある。

1GBブロックは開発目標で、当時の本番性能ではない

Celestiaの開発コミュニティは2024年9月5日のロードマップで、1GBのブロックへ拡張することを中心目標に掲げた。9月23日の調達発表もこの目標を紹介している。したがって、「1GB対応を目指す」と「すでに本番ネットワークが1GBで稼働している」は分けなければならない。

ロードマップは、単にブロックを大きくするだけでなく、データの伝播やサンプリングなどの改善を挙げていた。多くのデータを運べても、利用者がそれを確かめる負担が大きすぎれば、検証できる参加者が限られる。容量の拡張と検証のしやすさをあわせて扱う構想として読むのが適切だ。

後日の2024年10月22日には、Mammoth Miniという概念実証ネットワークの初期結果が公開された。記事では平均27MB毎秒のデータ処理を報告する一方、公開テストネットや本番へ提案する改善を試すネットワークだと説明している。この実験結果を、そのまま当時の本番性能として記載してはいけない。

ブロックあたりの容量、1秒あたりのデータ量、アプリが処理する取引件数は、それぞれ測っているものが違う。1GBという数値だけで、すべてのアプリが同じ速度で動くと予測することはできない。今回の三つの話題では、承認、登録、資金調達、開発目標という発表の種類を見分けることが、ニュースの誤読を防ぐ手掛かりになる。

よくある質問

Q. SECは2024年9月にIBIT自体を初承認したのですか?

A. 今回の発表は、Nasdaq ISEでIBITを対象とするオプションを上場・取引するための規則変更の承認です。ETF自体の承認と区別します。

Q. Sygnumは2024年9月にEU全域でのサービス提供を完了しましたか?

A. 当時の発表はリヒテンシュタインでの登録と、その後のEU・EEA展開の計画を説明しています。計画を達成済みとして扱うことはできません。

Q. Celestiaの1GBブロックは資金調達時点で実現していましたか?

A. 引用した2024年9月の資料ではロードマップ上の目標です。後日の実験ネットワークの結果も、本番での稼働実績とは区別されます。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。