9月27日暗号資産ニュース:USDtb計画・Retro9000・モロッコ戦略

2024年9月27日分では、新しいステーブルコイン、開発者への資金支援、モロッコのデジタル化戦略が取り上げられた。いずれも大きな資金に関わるが、準備資産、助成枠、政策予算は同じものではない。本稿ではEthena、Avalanche、モロッコの三つの話題を、発表の範囲と後日の情報を区別して整理する。

Ethenaの新商品は、後にUSDtbとして提供された

2024年9月のニュースでは、EthenaがSecuritizeと協力し、BlackRockのBUIDLファンドを裏付けに用いる新しいステーブルコインの計画が取り上げられた。旧記事ではUStbという名称で紹介している。その後の商品を確認する際は、USDtbという名称で公表された資料と対応させる必要がある。

後日の一次資料として、分散型取引所Curveの創設者Michael Egorov氏による2024年12月16日付の公式記事がある。同記事はUSDtbの提供開始と、Curve上のUSDC/USDtb、USDe/USDtbの二つのプールを紹介している。9月の発行計画と12月の提供開始は、異なる段階のニュースである。

同記事で説明された当初の裏付け構成は、約90%がBUIDL、約10%がUSDCだった。USDC部分は即時の償還や週末の流動性に対応する役割として紹介されている。米国債関連ファンドを裏付けに含めることと、すべての準備資産が同じ形で24時間利用できることは区別して理解したい。

BUIDLはBlackRockが関わるトークン化ファンドだが、これを準備資産に用いることを、BlackRockがUSDtb保有者の損失を無条件で保証するという意味に広げることはできない。発行する商品、裏付けのファンド、流通を支える取引の場というそれぞれの役割を分けて読むことが重要になる。

USDtbとUSDeの名称や流通経路を混同しない

USDtbとUSDeは同じ名前の商品ではなく、12月のCurve記事でも別々の資産として扱われている。USDtbとUSDeを交換するプールが用意されたこと自体、両者を同一のトークンとして扱っていないことを示す。新商品が登場しても、既存の商品が自動的に置き換わったと解釈するべきではない。

Curveの説明は、USDtbの発行・償還について、本人確認を終えて許可リストに登録された参加者が利用する仕組みを紹介している。分散型取引所でトークンを売買できることと、発行側に直接償還を請求できる資格は異なる。市場で保有できるというだけで、誰でも同じ条件の直接取引を利用できるとは限らない。

また、流動性プールができたという発表は、その後のすべての時点で十分な売買数量があるという保証ではない。取引時点の価格や流動性、利用するサービスの条件は別途確認する必要がある。1ドルに連動する設計と、市場で常に厳密に1ドルで売れることも同じではない。

旧記事にあったUSDeの時価総額や順位は、集計時点や比較対象が示されなければ変化を追いにくい情報である。本稿では順位を用いた評価を避け、新商品の裏付けと提供の段階に焦点を当てる。約90%という構成も12月の資料による説明であり、現在の固定比率として案内するものではない。

Retro9000は最大4,000万ドルの事後助成プログラム

Avalanche Foundationは2024年9月26日、Retro9000を発表した。公式ブログは最大4,000万ドルの事後助成プログラムと説明し、Avalanche9000のテストネットで専用のLayer 1や重要な開発ツールを構築し、本番へ展開する開発者を支援する方針を示している。

事後助成は、これから何かを作るという約束だけで資金を渡す方式と異なり、開発や公開などの成果を評価して支援する考え方だ。4,000万ドルという数字は用意する助成枠の上限を示す。発表日にその全額を特定の企業へ投資済み、あるいは全参加者へ送金済みとする報告ではない。

対象はAvalanche上の専用L1と、その開発に必要な基盤やツールだった。AVAXの保有者全員へ配る一般的な報酬でも、あらゆるアプリを無条件で採択する制度でもない。申請や評価の条件と対象範囲を確認しなければ、プロジェクトが助成を受けられるかは判断できない。

旧記事は開発期間を延長する制度のように説明していたが、公式発表の中心はテストと公開を促すインセンティブにある。予定が延期されたことを示す資料ではなく、開発者の参加を促し、新しいネットワークやツールを育てるための支援策として整理するのが適切だ。

コミュニティ投票と助成決定、アップグレードの実装を分ける

公式発表によると、提出されたプロジェクトは公開ランキングに掲載され、コミュニティの投票が事後助成の配分の参考になる。開発過程を公開し、支持を集め、テストと本番展開を進める流れが想定されていた。ただし、投票数だけで受取額が自動確定するとまでは説明されていない。

Avalanche9000は、専用L1の構築に伴う経済的な参入障壁を下げる取組みとして紹介された。公式資料は、EtnaアップグレードやACP-77、開発ツール、インセンティブなど複数の要素を挙げている。助成プログラム一つがプロトコル変更の全体を表すわけではない。

9月26日の記事では、L1の検証者がPrimary Networkを検証する要件をなくし、専用チェーンの運営負担を下げるという今後の変更が説明されていた。これはその時点で示された設計と方針である。記事の発表だけで、すべての変更が本番に適用されていたと扱うことはできない。

資金を受ける開発者の立場では、ネットワークの稼働状況、助成の募集条件、審査と支払いの進捗を別々に追う必要がある。テストで機能したこと、正式に採択されたこと、助成金を受領したことは、それぞれ異なる記録で確認される。この区別は支援プログラムの成果を見る際にも役立つ。

Digital Morocco 2030は、国全体のデジタル化戦略

モロッコのデジタル移行・行政改革を担当する省は、2024年9月25日にDigital Morocco 2030の紹介と関連資料を公開した。公式説明は、モロッコを地域のデジタル分野の拠点へ発展させ、社会・経済の変化を促す戦略として位置付けている。

同省が紹介する関連施策には、デジタル人材、スタートアップ、アウトソーシングとデジタル輸出などが含まれる。行政のデジタル化や産業育成を含む幅広い政策であり、暗号資産プロジェクトだけを対象にした投資基金の発表ではない。

首相の発表を伝えたモロッコ公共放送SNRTの同日報道では、2024年から2026年に110億ディラームを投じる計画が示されている。旧記事の約11億ドルは換算値として理解すべきで、現地通貨の予算額と対象期間を併記する方が、政策の規模を正確に捉えられる。

この資金を「AIとブロックチェーンの発展に全額投資する」と限定する根拠は、今回確認した政策紹介にはない。デジタル化の方針に高度な技術の活用が含まれ得ることと、予算の全額が特定技術へ割り当てられたことは別である。本稿では国家のデジタル化戦略全体への計画として説明する。

24万人の雇用は目標で、発表時点の実績ではない

SNRTが伝えた首相の説明には、デジタル分野で24万人の雇用を生み出すという目標がある。この数字は、政策発表時点ですでに新たに雇われた人数を報告したものではない。予算の確保、施策の実施、企業の成長、雇用の実現という過程を経て評価される目標である。

国家戦略の紹介では、投資予定額、目標年、雇用目標などが並ぶため、数字の種類を取り違えやすい。110億ディラームは2024〜2026年の計画として示された金額であり、2030年までの目標をすべて達成した費用の実績とは違う。通貨換算額を用いる場合も、換算時点によって変わることに注意したい。

本稿では、元記事にあった5Gや輸出収入の細かな数値を、対象範囲の確認なしに再掲しない。たとえば通信のカバー率には人口と面積の違いがあり、輸出にも対象産業の区分がある。指標の定義が分からないまま数値だけを並べると、政策が目指す内容を誤って伝えることになる。

今回の三つのニュースは、商品を裏付ける資産、開発者向けの助成枠、政府による複数年の政策予算という異なる種類の資金を扱っている。金額や著名企業の名前だけで評価せず、誰が何のために用意し、どの段階まで進んだのかを確認することで、計画と実績を読み分けられる。

よくある質問

Q. UStbとUSDtbはどの時点の名称ですか?

A. 元の9月記事は計画をUStbと紹介しています。後日の2024年12月16日のCurve公式記事ではUSDtbの提供開始が説明されています。

Q. Retro9000の4,000万ドルは支払い済みですか?

A. 2024年9月の公式発表では最大4,000万ドルの事後助成枠です。発表時点で全額を支払い終えたという意味ではありません。

Q. モロッコの予算はすべてブロックチェーン向けですか?

A. 確認した政策は人材や企業、デジタル輸出などを含む広いデジタル化戦略です。全額がブロックチェーン専用の予算とは確認できません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。