2022年に推された「NFT・P2E銘柄5選」は4年後どうなったか

2022年9月、旧版の記事は「2022年に投資する価値のあるNFTのトップ5」として、MetaBlaze、Battle Infinity、Tamadoge、Silks、Souls of Natureの5つを紹介しました。いずれも、NFTと独自トークンを組み合わせ、遊んで稼げる(Play to Earn)とうたうゲーム系の案件です。

当時の記事は、特定の案件を購入に値すると勧める内容でした。この記事では同じ5つを取り上げますが、目的は投資先を勧めることではありません。4年後の2026年9月時点で、価格の推移や運営の状況を公開データで確かめ、こうした「おすすめ銘柄」の記事を読むときに何を確認すべきだったのかを振り返ります。

5つの案件の4年後:一覧

価格データの提供サイトや各プロジェクトの公式サイトで確認できた範囲を、表にまとめます。

案件 当時の概要 2026年9月時点で確認できたこと
Tamadoge(TAMA) イーサリアム上のミームコインと育成型NFTゲーム 価格は2022年10月の高値から99.9%下落。主要な価格サイトで追跡対象外に
Battle Infinity(IBAT) BNBチェーン上の対戦ゲームとメタバース 価格は2022年9月の高値から約99.8%下落。公式サイトは接続エラー
MetaBlaze(MBLZ) BNBチェーン上のゲームとMetaGoblin NFT トークンが上場・売買されたかは確認できず。公式サイトは中身が空
Silks 実在の競走馬と連動するNFTゲーム 2024年に配当の支払いが止まったと報じられ、公式ドメインは駐車ページに
Souls of Nature 動物の魂を育てるメタバースゲーム 運営元や公式サイトを特定できず、その後を確認できなかった

5つのうち、2026年時点でゲームとして動いていることを確認できたものはありませんでした。

Tamadoge:高値から99.9%下落

Tamadogeは、仮想のペットを育てて戦わせるゲームと、そのゲームで使うトークン「TAMA」を組み合わせた案件です。総供給量20億枚の半分をプレセール(上場前の先行販売)に充てていました。米Motley Foolの2022年9月28日の記事によると、プレセールでは1,900万ドルを集め、9月27日に1枚0.03ドルで取引が始まっています。

CoinMarketCapの過去データでは、終値の最高は2022年10月3日の0.117ドルでした。最後に記録が残る2025年12月24日の価格は約0.0000864ドルで、高値から99.9%、取引開始時の価格からも約99.7%下がっています。現在は同サイトで追跡対象外となり、当時の取扱取引所の一部でも取引ペアが見当たりません。

公式サイトは2026年6月の時点ではまだ公開されていたことがWeb Archiveの記録から分かりますが、9月の確認時には通常のページを表示できませんでした。

集めた金額の推移も参考になります。2022年8月26日のプレスリリースでは850万ドルとされ、そこから1か月ほどで1,900万ドルに達したことになります。短期間に資金が集まったことと、その後の価格の動きは、まったく別の話だったといえます。

Battle Infinity・MetaBlaze・Silks・Souls of Nature

Battle InfinityはBNBチェーン上のトークン「IBAT」を使う対戦ゲームで、2022年8月末に取引が始まりました。CoinMarketCapの記録では、2022年9月1日の終値0.004536ドルが最高で、2025年11月の最後の記録は約0.0000099ドル、下落率は約99.8%です。プレセールで集めた金額は、信頼できる資料で確認できませんでした。

MetaBlazeは2022年3月にプレセールを始めたゲーム案件です。2023年6月の提供記事には、400万ドル分のプレセールを売り切り、2023年9月にトークンを上場させる予定と書かれていましたが、実際に上場したかどうかは主要な価格サイトで確認できませんでした。

Silksは実在のサラブレッドの成績とNFTの馬を連動させる構想で、2022年12月には米ニューヨーク競馬協会(NYRA)の関連会社との提携も発表していました。競馬専門メディアのBloodHorseによると、2024年7月までにシーズン1の賞金の支払いが止まり、2025年2月には米フロリダ州の連邦裁判所で集団訴訟が起こされています。訴えの内容は原告側の主張で、裁判所が認定したものではありません。

Souls of Natureは、運営元や公式サイトを特定する資料が見つからず、その後の状況を確認できませんでした。

背景:2022年のプレセール案件はどう広まったか

2022年は、NFTゲームとトークンを組み合わせた新しい案件が、上場前のプレセールで資金を集める例が相次ぎました。こうした案件の紹介記事は、暗号資産メディアに「Sponsored(提供)」や「Press Release(プレスリリース)」の表示つきで数多く掲載されています。たとえばTamadogeやBattle Infinityを「上場前に買うべきトークン」として並べた記事は、Bitcoinistの「Press Releases」欄などに載っていました。

Tamadogeの2022年9月時点の公式サイトには、暗号資産メディアに取り上げられたことを示す「Featured in」の欄や、インフルエンサーを使った宣伝をロードマップに含める記述もありました。旧版の記事が、どのような情報をもとに5つを選んだのかは分かりませんが、紹介の多さが案件の実力を示すわけではないことは、4年後の結果が示しています。

なお、この記事は各案件が不正を目的としていたと判断するものではありません。事業がうまくいかなかった理由は、市場環境の悪化を含めてさまざまに考えられます。

当局は有料の宣伝をどう見ているか

海外の当局は、暗号資産の宣伝に対する規制を強めています。米証券取引委員会(SEC)は2022年10月3日、報酬を受け取ったことを明かさずに暗号資産を宣伝したとして、タレントのキム・カーダシアン氏が126万ドルを支払って和解したと発表しました。SECは、有名人が勧めているからといって、その商品がすべての投資家に適しているわけではないと注意を促しています。

英国の金融行為規制機構(FCA)は、2023年10月8日から暗号資産の広告に新しいルールを適用しました。はっきりしたリスク警告の表示、投資を促す特典の禁止、初めての購入者への24時間の熟慮期間などが柱です。FCAは暗号資産への投資について、すべてを失う覚悟が必要だと繰り返し警告しています。

「おすすめ銘柄」記事を読むときの確認点

同じような紹介記事は、2026年の今も形を変えて出回っています。読むときには次の点を確認すると、判断を誤りにくくなります。

  • 記事の表示:「Sponsored」「PR」「Press Release」などの表示がないか。提供記事なら、書き手は案件側から報酬を受けている可能性があります。
  • プレセールの条件:上場の時期や取引所が確約されているか。上場されなければ、買ったトークンは売れないことがあります。
  • 製品の実物:ゲームが実際に遊べるか、利用者の数を外部のデータで確かめられるか。
  • 売買の場所:日本の登録業者で取り扱われているか。海外の業者やプレセールサイトは、日本の利用者保護の対象外です。

登録業者の調べ方は暗号資産交換業者の登録確認方法に、金融庁の警告を受けた業者の一覧は無登録業者の警告一覧の記事にまとめています。NFTを使った被害の型はNFT詐欺の手口の解説も参考にしてください。

よくある質問

Q. Tamadogeは今も取引できますか?

A. CoinMarketCapでは追跡対象外になっており、当時の取扱取引所の一部でも取引ペアが見当たりません。最後に記録が残る2025年12月の価格は、2022年10月の高値から99.9%下落していました。

Q. この記事は5つの案件が詐欺だったと言っているのですか?

A. いいえ。この記事は公開データで確認できた価格や運営の状況をまとめたもので、各案件の意図を判断するものではありません。Silksの訴訟についても、訴えの内容は原告側の主張です。

Q. プレセールのトークンは日本から買ってもよいのですか?

A. 海外のプレセールは日本の登録業者を通さない取引で、日本の利用者保護の対象外です。上場されないまま売れなくなる例もあります。購入を判断する前に、運営元、上場の条件、日本の登録状況を確かめてください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。