2022年8月、ゲーム開発のKingdomverseは、最初のスマートフォン向けタイトル「Defend The Kingdom」のクローズドα版を、NFTコレクション「Monkey Kingdom」のコミュニティに向けて公開しました。NFTの保有者を最初のテストプレイヤーに迎え、ゲームの成績に応じてNFTの強化などの報酬を出すという、当時のブロックチェーンゲームらしい設計です。
旧版の記事は、プレイヤーが自分の「王国」を築いて戦うという構想と、GameFi(ゲームと金融を組み合わせた仕組み)の説明が中心でした。この記事ではα版の中身を報道で確かめ直し、Monkey Kingdomというコレクションの成り立ちと、その後の動き、NFTを使ったゲームに参加するときの注意点を整理します。
何が起きたか:タワーディフェンスのα版をNFT保有者に先行公開
NFT専門のニュースサイトNFT News Todayや暗号資産メディアのU.Todayが2022年8月17日に伝えたところでは、Defend The Kingdomは手軽に遊べるタワーディフェンス型のゲームです。プレイヤーは「Legends」と呼ばれる5人の英雄でチームを組み、敵と戦います。
- 2つのモード:他のプレイヤーと対戦するPvPと、友人と協力するCo-opがあります。
- 7日間のランキング:両方のリーダーボードの上位プレイヤーに、Kingdomverse内の土地や限定のNFT装備などの賞品が用意されました。
- NFT保有者への報酬:「Monkey Legend」のNFTを持つ人は、見た目の強化や実物のグッズ、公式のコレクターアイテムなどを受け取れる可能性があるとされました。
α版はMonkey Kingdomのコミュニティに限って配布され、正式版の前に仕組みを試す位置づけでした。正式版では、2種類のトークンを使った「遊んで稼ぐ(Play to Earn)」要素を入れる計画も示されています。
「クローズドα版」は、限られた参加者だけに開発初期の版を遊んでもらい、不具合やゲームバランスを確かめる段階を指します。一般公開前のため、データの消去や仕様の大幅な変更が前提で、ここで得たアイテムが正式版に引き継がれるとは限りません。NFTの保有者を最初のテスターにしたのは、熱心なファンから意見を集めると同時に、NFTを持つ意味を早くから示す狙いがあったとみられます。
Kingdomverseが目指した「王国」の構想
Kingdomverseの最高戦略責任者ジョシュ・コバック氏は発表で、同社の世界が「初めてのクロスプラットフォームのメタバース体験」になると述べ、最初のカジュアルゲームがより大きなKingdomverseの世界とつながることへの期待を語りました。
構想の中心にあるのは、プレイヤーが持つ「王国」です。王国はゲームの本拠地のような役割を持ち、Defend The Kingdomのような個別のゲームで得たアイテムが、王国どうしの競争で有利に働くよう設計されていました。複数の小さなゲームを一つの世界観とNFTでつなぎ、遊ぶほど自分の王国が強くなるという考え方です。
旧版は「初のクロスプラットフォームのメタバース」と断定的に書いていましたが、これは開発会社自身の説明です。同様の構想を掲げたプロジェクトは当時ほかにも多く、第三者が「初」と認めたものではありません。
正式版で予定された「2種類のトークン」は、当時のブロックチェーンゲームで広く採られていた形です。多くの場合、一方は運営方針の投票などに使う発行上限のあるトークン、もう一方はプレイの報酬として日々配られるトークンという役割分担になっています。後者は遊ぶ人が増えるほど供給も増えるため、使い道や回収の仕組みが弱いと値下がりが続きやすく、報酬の実質的な価値が目減りします。2021年から2022年にかけて流行したAxie Infinityでも、報酬用トークンの価格が大きく下がり、プレイヤーの収入が細ったことが知られています。
Monkey Kingdomとはどんなコレクションか
Monkey Kingdomの公式ドキュメントによると、最初のコレクションは2021年にソラナ(Solana)で発行されました。構成は次のとおりです。
| 世代 | 内容 | 発行数 |
|---|---|---|
| Gen 1 | 32×32ピクセルの猿のキャラクター「Wukong」 | 2,222 |
| Gen 2 | 女性キャラクター「Diamond Baepe」 | 2,221 |
| Gen 3(Monkey Legends) | メタバースでの利用を想定した3Dアバター | 10,000(イーサリアムで発行) |
Gen 1の名前は西遊記の孫悟空(Wukong)を思わせるもので、2022年3月にはサザビーズとフィリップスという2つの大手オークションハウスで作品が紹介されました。Monkey Legendsをイーサリアムで出したことについて、公式はソラナからイーサリアムへまたがった最初のプロジェクトだと説明しています。
その後どうなったか:チェーンの移動と正式版の行方
Monkey Kingdomはその後、所属するブロックチェーンを何度か変えています。公式ドキュメントによると、Gen 1とGen 2は2023年2月27日から3月15日にかけてイーサリアムへ移されました。さらに公式サイトには、2024年3月31日にソラナへ戻ったという案内があります。
一方、Defend The Kingdomの正式版がいつ公開されたのか、計画されていた2種類のトークンが実際に発行・流通したのかについては、公式の発表や主要な報道を確認できませんでした。Kingdomverseのゲームが2026年時点で遊べる状態にあるかどうかも分かっていません。
2022年以降、NFTやトークンで報酬を出すブロックチェーンゲームの多くは、暗号資産相場の下落とともに利用者が減り、計画の縮小や終了が相次ぎました。当サイトでも、GameFiの課題を論じた記事でこの流れを取り上げています。
読者が知っておくべきこと:NFTゲームに参加する前の確認点
NFTの保有者に先行してゲームを公開するやり方は、コミュニティを盛り上げる一方で、ゲームの完成やトークンの発行が「予定」にとどまることも少なくありません。参加や購入を考えるときは、次の点を見ておくと判断しやすくなります。
- ゲームが実際に遊べるか:予告映像やロードマップではなく、ストアで配信されているか、利用者がどれだけいるかを確かめます。
- 報酬の出どころ:プレイで得られるトークンが、新しい参加者の資金だけで支えられていないか。報酬を出し続けられる収益の仕組みがあるかを見ます。
- チェーンの移動への対応:Monkey Kingdomのようにチェーンを移すと、手続きをしなかったNFTの扱いが変わることがあります。公式の告知を追える状態にしておきます。
- 偽のゲームや偽のミント:人気コレクションの名前を使った偽サイトで、ウォレットを接続させて資産を抜き取る手口があります。
遊びながら報酬を得るゲームの具体例は2023年のブロックチェーンゲームの紹介でも取り上げています。
日本の読者にとっての意味
Kingdomverseのような海外のブロックチェーンゲームは、日本語に対応していなかったり、日本の暗号資産交換業者で扱っていないトークンを使ったりすることが多く、参加のハードルは高めです。ゲーム内で得たトークンを日本円に換えるには、国内で登録を受けた交換業者で扱いがあるかどうかが一つの目安になります。
ゲームの報酬として受け取ったトークンやNFTは、受け取った時点や売却した時点で所得として扱われる場合があります。税の考え方はNFTの課税区分の解説を、ウォレットを守る基本はシードフレーズ管理の基本を参照してください。
よくある質問
Q. Defend The Kingdomはどんなゲームですか?
A. スマートフォン向けのカジュアルなタワーディフェンスゲームです。5人の英雄でチームを組み、対戦(PvP)か協力(Co-op)のモードで戦います。2022年8月にMonkey Kingdomのコミュニティ向けにクローズドα版が公開されました。
Q. Monkey Kingdomはどのブロックチェーンのコレクションですか?
A. 2021年にソラナで発行され、2023年2月から3月にかけてイーサリアムへ移りました。公式サイトの案内では、2024年3月31日にソラナへ戻っています。3DアバターのMonkey Legendsはイーサリアムで発行されました。
Q. Defend The Kingdomの正式版は公開されましたか?
A. 正式版の公開時期や、計画されていた2種類のトークンが発行されたかどうかは、公式の発表や主要な報道で確認できませんでした。
Q. 日本からKingdomverseのゲームに参加できますか?
A. 2026年時点で遊べる状態にあるかどうかは確認できていません。海外のブロックチェーンゲームに参加する場合は、利用規約で日本からの利用が認められているか、報酬のトークンを国内で扱えるかを事前に確かめてください。
この記事の出典
- NFT News Today:Kingdomverse Draws Near As First Mobile Game Receives Closed Alpha Launch
- U.Today:Kingdomverse Introduces Closed Alpha Version of Defend The Kingdom Game with NFTs
- Monkey Kingdom 公式ドキュメント
- Monkey Kingdom 公式サイト:Back to Solana
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




