日本で初めて、保有している仮想通貨を担保に、別の仮想通貨や法定通貨などの融資を受けられる金融サービスである、デジタルアセット担保ローンの新しい取り組みがFintertech株式会社によって提供されています。2022年5月には、日本初の暗号資産を担保にした不動産ローンを個人向けに提供開始し、その後も注目されています。
デジタルアセット担保ローンとは
デジタルアセット担保ローンは、海外で始まったサービスですが、日本でも大和証券グループとクレディセゾンが株を保有しているFintertech社によって導入されました。一言で言えば、保有している仮想通貨を担保にして別の仮想通貨や法定通貨などの融資を受けられるという、新しいタイプの金融サービスです。
例えば、長期的な運用目的で仮想通貨を保有していて大きな含み益が発生しているような場合、売却して利益が出れば当然手数料や税金がかかります。しかし、デジタルアセット担保ローンを利用すれば、手持ちの仮想通貨を担保として差し入れることで資金の調達が可能となります。
保有する仮想通貨を活用する手段としては、他にもレンディングやステーキングなどのサービスがすでに存在しますが、それらのサービスと比較すると、デジタルアセット担保ローンは法定通貨の調達が可能であるという点が大きな特徴となっています。ローンであるため年利はかかってしまいますが、当面動かしたくない仮想通貨をこのような形で運用できるのは、人によっては大きなメリットでしょう。
また、暗号資産を売却しないため、含み益の利益確定を伴わずに保有する暗号資産を有効活用できます。返済期日までは月々の元本返済、利息支払いのいずれも不要です。
Fintertech社について
Fintertech株式会社は、大和証券グループ本社とクレディセゾンの合弁会社です。( 出資比率:株式会社大和証券グループ本社 80%、株式会社クレディセゾン 20%)
ローン契約詳細
1. 事業者向け
ご利用対象者 法人、個人事業者
担保暗号資産 BTC(担保掛目 50%)・ETH(担保掛目 50%)
借入利率実質年率 4.0%~8.0%
ご融資額 500 万円以上 最大 5 億円まで
資金使途 原則自由
契約期間 1 年(ロールオーバーあり)
追加借入 担保率 200% 以上で追加借入可能 / 担保率:借入額に対する担保評価率
返済方式 元利一括返済方式(返済回数 1 回) / 期中全額返済可能
担保差入方法 弊社指定アドレスへの暗号資産送付
契約形態 極度方式基本契約
保証人 不要
遅延損害金年率 15.0%
オプション担保 暗号資産による返済も可能(弁済後の残数量は返還します)
2. 個人向け
ご利用対象者 個人
担保暗号資産 担保暗号資産BTC(担保掛目 50%) / ETH(担保掛目 50%)
借入利率実質年率 4.0%~8.0%
ご融資額 200 万円以上 最大 5 億円まで(総量規制対象。不動産購入目的を除く)
資金使途 原則自由
契約期間 1 年(ロールオーバーあり)
追加借入 担保率 200% 以上で追加借入可能 / 担保率:借入額に対する担保評価率
返済方式 元利一括返済方式(返済回数 1 回) ※延長時は利息のみ返済 / 期中全額返済可能
担保差入方法 弊社指定アドレスへの暗号資産送付
契約形態 極度方式基本契約
保証人 不要
遅延損害金年率 15.0%
オプション担保 暗号資産による返済も可能(弁済後の残数量は返還します)
デジタルアセット担保ローンのメリット
- 保有している仮想通貨を利確せずに現金を調達できます。
- 月々の元本返済、利息支払いが不要です。
元本と利息を契約期日にまとめて返済する元利一括返済方式で、契約期日までの1年間は元本返済も利息支払いも不要となっています。また、担保率や極度額などの条件を満たしている場合は利息を含めた借り換え(ロールオーバー)も可能です。 - 担保率120%までは担保処分はありません。
担保率が一定の割合(150%、140%、120%)に達すると連絡があり、担保追加も可能です。 - 基本契約後は電話一本で借入れ申し込みできます。
基本契約の締結から最短で3営業日後に借入金受け取り可能です。 - 眠っている仮想通貨を活用できます。
- 代表者個人の仮想通貨を法人の担保として活用できます。
第三者担保差入スキームにて、法人借入のための担保差入を代表者個人が行うことが可能です。 - 現金がなくても担保資産で返済できます。
差し入れた仮想通貨の一部で債務と相殺する代物返済オプションを利用可能です。ただし、代物返済は暗号資産の譲渡に当たるため課税対象になると考えられます。
おわりに
もちろん、デジタルアセット担保ローンには、
- 仮想通貨が大幅に値下がりした場合、担保の追加が必要になる可能性がある
- 通常の通貨の金利よりも高い
- 仮想通貨で代物返済すると、課税対象になる
などのリスクは想定されます。しかし、現状売却すると損になってしまう暗号資産や、長期保有したい暗号資産を売却せずに、日本円や他法定通貨の融資を受けられる再投資に回せる選択肢は、投資家にとって「お金を働かせる」ことができる機会を劇的に増やした画期的な金融サービスではないだろうか?