Aave買い戻し案と米国の準備金政策|3月6日の暗号資産

2025年3月6日は、Aaveの買い戻し案と米国の暗号資産政策への期待が重なった。一方で、予算の提案が購入の実行を意味するわけではなく、政府の保有方針も市場での買い付けとは異なる。当時の発表を整理し、原記事の公開後に判明した大統領令とREDの上場時刻変更は追記として分けて紹介する。

Aaveの週100万ドル買い戻しは承認を求める段階

2025年3月4日、Aave Chan InitiativeのMarc Zeller氏は、Aavenomics更新の第一段階をガバナンスに提案した。柱の一つが、最初の6カ月間、毎週100万ドル相当のAAVEを市場から買い戻す計画だった。3月6日の段階で、予定された購入がすべて実行されたという発表ではない。

当日のThe Blockの報道でも、コミュニティの意見集約、Snapshot投票、オンチェーンの提案と実行という手順が説明されている。予備的な方針への賛同と、資金を動かす権限が成立したことは区別が必要だ。提案者自身の見通しが明るくても、投票結果が事前に決まるわけではない。

背景として挙げられた1億1,500万ドルは、DAOが持つ資金の残高を表したものだ。過去2年間の売上や、毎年自由に使える利益と同じ意味ではない。資金の残高が大きくても、開発費、運営費、利用者への報酬などの支出を引き受ける必要がある。

買い戻しの継続性を見るには、毎週の金額だけでなく、その後の収入と予算配分を確認したい。一定期間の購入枠が設定されても、同じペースが将来にわたって続く保証にはならない。買い戻し額と市場の売却量の関係も変わるため、発表額だけから価格を計算することはできない。

買い戻したAAVEは必ず焼却されるわけではない

提案の名称は買い戻しと分配を組み合わせたもので、購入したAAVEをエコシステムの準備資産へ移す設計が示された。トークンを誰も利用できない状態にする焼却とは異なる。市場から購入されることと、供給が永久に減ることを同じ出来事として扱わないようにしたい。

例えば、DAOが購入したトークンを後に報酬として配れば、受取人は保有や売却を選べる。市場で一度買われたという事実だけでは、その後の流通を説明できない。購入先、保管先、配布の対象と時期まで追うことで、資金の循環が見える。

旧LENDからAAVEへの移行についても、残っていた約32万AAVEを準備資産に戻し、移行を終了する案が盛り込まれた。これは32万枚を新規発行する計画ではない。また、提案された段階と移行手続きが実際に終了した段階は異なるため、旧トークンの保有者にとっては実施日や手続きの確認が重要になる。

分配という言葉にも幅がある。すべての保有者に現金が等しく支払われる制度なのか、特定のステーキング参加者に報酬が付く制度なのかでは、受取条件が違う。トークンを買えば自動的に配当を受け取れるという読み方では、制度の対象を取り違えかねない。

Umbrellaと財務委員会は収益と安全性をどう結ぶか

更新案では、Umbrellaを利用した保護の仕組みと、資金や予算を扱うAave Finance Committeeの設置も扱われた。貸付で発生する不良債務への備え、参加者への報酬、財務管理を一緒に見直す構想だ。買い戻しだけを独立した施策として見ると、他の予算との関係を見落とす。

保護のために資産を預ける仕組みは、一般の預金保険と同一ではない。対象となる損失、負担する資産、引き出しまでの条件などを確認する必要がある。報酬が付く場合も、その対価としてどのような役割やリスクを引き受けるのかが判断の出発点になる。

財務委員会へ権限を渡す方式では、市場の変化に対応しやすくなる一方、使える金額や報告の仕組みが重要になる。委員会を置くという宣言だけで資金管理の適切さが証明されるわけではない。誰が決め、どこで承認され、実際の送金をどう確認できるかを追う必要がある。

米国の暗号資産サミット前は期待と決定を分ける

3月6日の日本時間午後は、米国で7日に予定されていたホワイトハウスの暗号資産サミットを前に、政府の保有政策に関心が集まっていた時期に当たる。政策への期待が強まっていても、会合の開催予定と、政府による市場購入の決定は同じではない。

ここでは後日の確認として、米国時間3月6日の大統領令を区別して記す。同令は、戦略的ビットコイン準備金と、BTC以外のデジタル資産を管理する備蓄を別々に設けた。原記事が公開された日本時間3月6日午後に、すでにこの命令の内容が判明していたようには扱えない。

命令が準備金の基礎に置いたのは、法的な要件を満たす没収済みなどの政府保有BTCだった。準備金へ入ったBTCは売却しない方針を示し、追加取得については納税者の負担を増やさない予算中立的な方法の検討を求めた。被害者への返還などに関する例外も定めている。

すでに保有している資産の管理先を変更することと、市場に新しい買い注文を出すことでは、需給への作用が違う。準備金という名称だけから、直ちに特定額の購入が始まると推測することはできない。発表文の中で、保有、取得、処分がそれぞれどう扱われるかを読むことが必要だった。

XRPへの言及と大口送金は別の材料

米国の政策をめぐる話題では、BTC以外の銘柄にも注目が向かった。ただし、後日の大統領令では、BTC以外の備蓄資産を追加取得する場合、没収などを除いて新たな行政措置または立法措置を必要とした。複数の銘柄が政治的な発言に登場することと、それらの購入予算が成立することは区別される。

企業幹部の会合への参加も、政府がその企業に関連するトークンの価格を支える約束とは限らない。参加者の顔ぶれは対話の相手を知る材料になるが、具体的な制度の内容は文書や実施措置によって確かめる必要がある。

同時期に話題となった取引所から外部アドレスへの大口送金についても、移動額だけから購入や長期保有の意思を決めることはできない。取引所内の保管先の変更や、利用者の出庫である可能性もある。所有者が分からないアドレスへの移動を、政府の準備金政策と直接結び付ける根拠にはならない。

M2やETFフローだけで買い時とは判断できない

当時の強気な説明には、世界のマネーサプライ、現物ETFの資金フロー、CME先物の価格差が並べられた。しかし、これらは違う対象を測る指標だ。一つが改善したからといって、他の条件もそろい、BTCの底値が確定するわけではない。

特に世界のM2を一つの数字にまとめる場合、国ごとの通貨供給統計と換算に使う為替の影響を分ける必要がある。価格との連動を見る期間や時差を後から選ぶと、見かけ上よく一致する線を作れてしまう。40〜70日後に必ず反映されるといった固定的な予測には、検証条件が欠かせない。

ETFの流出が小さくなったことも、直ちに継続的な純流入へ変わったという意味ではない。1日だけの集計と数週間の合計では、受ける印象が違う。さらにETFは市場の一部であり、他の売買や先物のポジションまで表す数字ではない。

先物の休場を挟んだ価格差についても、対象の限月、時間帯、比較する価格を指定しないと、同じ現象を比較できない。仮に過去の価格帯へ戻っても、その後の下落を防ぐ仕組みにはならない。複数の指標を並べる際は、確かめられた変化と、そこから導く予想を分けたい。

REDの現物上場は予定と変更後の時刻を確認

Binanceの3月5日の告知では、REDのプレマーケットを翌6日午前9時UTCに終了し、午後1時UTCに現物取引を始める予定だった。日本時間では同日午後10時で、元記事の公開時点ではまだ先の予定に当たる。現物への移行は、それ以前に取引の機会が全くなかったことを意味しない。

その後の追記として、Binanceはコミュニティ向け配布割合の変更を理由に開始をいったん見合わせ、再開時刻を3月6日午後4時UTCへ変更すると告知した。日本時間は3月7日午前1時になる。最初の告知だけを残すと、日本の読者には実際の案内とのずれが生じる。

この出来事は、上場日が決まっていても、開始直前に条件が変わり得ることを示している。入金、売買、出金の開始時刻はそれぞれ別に確認したい。取引所が取引の場を提供することと、トークンの将来価値を保証することも同じではない。

よくある質問

Q. Aaveは3月6日に買い戻しを完了していたのですか?

A. 取り上げたのは3月4日に提示された計画です。週100万ドルという金額は最初の6カ月間の提案で、購入完了の発表ではありません。

Q. 米国の準備金は新しいBTC購入と同じですか?

A. 後日の大統領令は政府保有BTCを基礎とし、追加取得には予算中立などの条件を置きました。保有資産の移管と市場での購入は別です。

Q. REDの現物開始予定は変更されましたか?

A. 当初は日本時間3月6日午後10時でしたが、その後の告知で3月7日午前1時へ変更されました。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。