米BTC準備金とSECの対応、Solanaの論点|3月8日の暗号資産

2025年3月8日の日本時間朝までに、米国ではBTC準備金をめぐる大統領令とサミットでの説明がそろった。追加取得は禁止されたのではなく、条件を付けて検討する方針だった。SECの対応やSolanaの議論も含め、決定したことと今後の見通しを区別して整理する。

大統領令は米国時間3月6日、サミットは翌7日

戦略的ビットコイン準備金を設ける大統領令は、米国時間2025年3月6日に署名された。翌7日にはホワイトハウスでデジタル資産サミットが開かれ、トランプ大統領が前日に署名した命令を説明した。日本時間でニュースを読む際には、この二つの出来事を同じ日付にまとめない方が経緯を追いやすい。

後日公開された政府の発言記録は、大統領の発言時刻を7日午後3時45分としている。ワシントンは当時まだ冬時間で、日本時間では8日午前5時45分に当たる。したがって、元記事が公開された8日午前11時30分には、会合をこれから開く予定として紹介する段階ではなかった。

サミットでは、既存の政府保有BTCを準備金の土台にすることや、追加取得の方法を検討する方針が説明された。また、ステーブルコインとデジタル資産市場に関する立法への支持も表明された。政府の発言記録は、会合の主題を確かめる資料になるが、そこで述べた希望がすべて成立済みの制度になるわけではない。

政策を読むときには、署名された命令、会合での発言、今後の立法要望を分けておきたい。例えば議会に法案の成立を求めた発言は、その日に法律が変わったことを意味しない。発言の勢いよりも、どの機関にどの手続きが残っているかを確認する必要がある。

BTC準備金とその他の備蓄は取得条件が異なる

命令は、BTCを管理する戦略的準備金と、BTC以外の政府保有デジタル資産を扱う備蓄を設けた。BTC側では、最終的な没収などの条件を満たす財務省保有分を基礎とし、準備金に入ったBTCは売却しない方針を示した。捜査で押収した資産がすべて無条件に使えるという仕組みではない。

追加のBTCについては、財務長官と商務長官に、納税者の負担を増やさない予算中立的な取得戦略の検討を求めている。これは追加取得の全面禁止ではなく、同時に具体的な購入額や発注日を決めた内容でもない。方法を検討する権限と、資金を使って購入する段階を区別したい。

その他のデジタル資産については、没収等による取得を別にすると、買い増しには追加の行政上の措置か立法が必要とされた。ETH、SOL、XRPなどの名前が話題になったからといって、政府が同じ条件で一斉に買い付ける制度になったわけではない。

この差は市場への影響を考えるうえで重要だ。保管先をまとめる処理だけなら、それまで市場に存在しなかった買い注文が生まれるとは限らない。反対に、将来の取得戦略が具体化すれば、その内容を改めて評価する必要がある。制度の名称だけで需要増加を織り込むと、実際の処理とのずれが生じる。

政府の保有量と準備金へ移せる数量を混同しない

大統領令は各省庁に対し、30日以内に政府保有デジタル資産の数量や保管口座などを報告するよう求めた。これは保有状況を把握するための指示であり、命令が出た時点ですでに独立監査が終わり、利用可能な数量が確定したという意味ではない。

政府に関連するとされるアドレスにBTCがあっても、その全量が自由に使える準備金とは限らない。被害者へ返すべき資産、裁判所の命令や法律に従って処理する資産などがあるためだ。アドレス上の残高から、法的に移管できる数量を直接求めることはできない。

このため、推定保有量から特定事件の押収分を差し引くだけで、準備金に使える枚数を確定するのは慎重であるべきだ。差し引く数量が正しくても、返還の条件、対象となる資産、他の法的な負担が確認できなければ、計算結果は仮定のまま残る。

残高の報告と、資産の評価にも違いがある。BTC建ての数量が変わらなくても、ドル換算額は相場によって動く。政府の保有資産を比較する場合は、数量、評価日、換算価格、処分可能性をそろえることが、単一の大きな金額を追うより役立つ。

Coinbaseの訴訟とRobinhoodの調査は別の手続き

SECは2月27日、Coinbaseと共同で、継続していた民事執行訴訟を取り下げる合意を提出したと発表した。SECは、暗号資産に対する規制の見直しを進める判断に基づくもので、訴えの内容が正しかったかを評価して決めたのではないと説明している。

同じ発表では、この事件の取り下げが他の事件に対する立場を示すものではないとも述べた。したがって、Coinbaseの訴訟が終わることから、すべての取引所やトークンの法的な扱いが一括して確定したと結論することはできない。

Robinhood Cryptoについては、会社が2月24日に調査終了を公表した。会社によれば、SECから21日に届いた書簡で、調査を終え、執行措置へ進む予定がないと通知された。2024年5月のWells通知に続く手続きであり、Coinbaseと同様の2023年の訴訟が取り下げられたという説明とは異なる。

Uniswap Labsも2月25日、SECが執行措置を取らずに調査を終了したと発表していた。調査終了、訴訟の取り下げ、裁判で争点について判決が出ることは、それぞれ意味が違う。規制姿勢の変化を伝える場合も、各社に対して何が行われたかを正確に記す必要がある。

業界支援の発言と規制の変更を分けて読む

サミットで大統領は、暗号資産企業への銀行サービスをめぐる従来の対応を批判し、Operation Choke Point 2.0を終わらせると述べた。これは政権の方針を示す発言として読むべきもので、すべての銀行口座の制限がその場で解除されたことを確認する資料ではない。

銀行が口座や送金に条件を設ける背景には、個々の顧客の確認、資金移動の監視、事業上の判断などもある。政策の変更が示された場合にも、実際にどの指針が変わり、各金融機関がどう対応したかを別に追う必要がある。

税制についても、会合の主題と法的な変更を混同しないようにしたい。暗号資産への支持が表明されたことだけで、個人の売買益が免税になったり、申告の義務が消えたりするわけではない。発言の中で重点が置かれなかった分野を、制度上の決着がついた分野として扱うこともできない。

SolanaのDEX減速は取引量と利回りを分けて見る

VanEckが3月5日に公表した2月の月次報告は、SolanaのDEX取引量が前月比で55%減り、手数料などの活動指標も弱まったと分析した。これは取引の減速を示す同社の集計であり、すべての利用者が撤退したことや、ネットワークの機能が失われたことを意味しない。

取引量は、利用者数だけでなく、同じ利用者がどれほど頻繁に売買したかにも左右される。ミームコインの売買が急増した月を基準にすれば、その後の減少率は大きく見える。比較する期間と活動の内訳を確認しなければ、一つの数字から利用基盤全体を評価することは難しい。

また、ステーキングの報酬が高いからDeFiへ資金が流れない、という説明は一つの仮説だ。運用先を選ぶ際には、利回り以外に引き出し条件、価格変動、仕組みの理解しやすさなども関係する。数字の高低だけで資金移動の理由を一つに決めることはできない。

同じ年率でも、SOLで増える報酬と、ドルや円で測った収益は異なる。保有枚数が増えても、SOL価格が下がれば換算後の評価額が減ることがある。ステーキングと他の運用を比べる場合には、どの通貨で利回りを示しているかもそろえる必要がある。

SIMD-0228からDeFiへの資金移動はまだ予測

当時議論されていたSIMD-0228は、ステーキング参加率に応じてSOLの発行を調整する提案だった。VanEckもその仕組みと影響を分析していたが、提案に関する予測は、変更後の結果を観測した報告ではない。低い発行量を前提とした計算と、実際に利用者が受け取る報酬率は分けて考える必要がある。

発行による報酬が減れば、別の運用を検討する参加者が出る可能性はある。しかし、その資金がSolana上の貸付や取引へ必ず移るとは限らない。現金化や他の資産への移動、保有の継続など、参加者には複数の選択肢がある。

検証者にとっても、発行報酬だけが採算を決めるわけではない。運用費用や手数料収入、委任される資産の規模が異なれば、同じ制度変更でも影響は違う。DeFiの成長を期待する議論と、ネットワークを支える検証者の持続性を検討する議論の両方が必要だった。

よくある質問

Q. サミットは日本時間3月8日の夜に予定されていたのですか?

A. 政府の記録では大統領の発言は米東部時間7日午後3時45分、日本時間8日午前5時45分です。元記事の公開時には発言済みでした。

Q. RobinhoodもCoinbaseと同じ訴訟取り下げですか?

A. Robinhood Cryptoの会社発表は調査終了と執行措置へ進まない旨の通知です。Coinbaseへの民事訴訟の取り下げとは手続きが異なります。

Q. SOLの発行報酬が減ればDeFiへ資金が移りますか?

A. 移動する可能性はありますが、保有継続や現金化、他の資産への移動も考えられます。DeFiへの流入を確定した結果として扱うことはできません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。