DOGE信託とX Money、USDCの提供予定|3月10日の暗号資産

2025年3月10日前後は、DOGEの投資商品や決済への期待、新しいミームトークン、国内でのUSDC提供準備が注目された。ただし、信託の設立はETF承認ではなく、X Moneyの送金機能もDOGE採用と同じではない。公式発表で確認できる内容と、その週の予定を整理する。

DOGE信託の登場とETFの承認は別の出来事

Grayscaleは2025年1月31日、Dogecoin Trustの設立と提供開始を発表した。DOGEだけを投資対象とする単一資産の信託で、購入の対象は条件を満たす個人や機関の認定投資家だった。一般の証券口座で誰でも購入できるETFが、その日に承認されたという発表ではない。

同社はDOGEの決済や金融アクセスへの可能性を評価していた。ただし、これは商品を提供する運用会社の投資上の見方である。信託が作られたという事実と、大規模な資金流入が実現したこと、価格の上昇が続くことは同じではない。

ETFに関するニュースにも、申請書の提出、取引所からの規則変更提案、審査、上場という段階がある。提出を伝える記事を読む際には、どの手続きが進んだのかを確認したい。運用会社の名前が知られていても、それだけで審査結果が決まるわけではない。

また、信託を通じて投資する場合と、自分のウォレットでDOGEを持つ場合とでは、保管や売却の条件が変わる。商品に投資することで秘密鍵の管理方法が変わっても、DOGE自体の価格変動がなくなるわけではない。商品化の意義と、保有する資産のリスクを分けて考える必要がある。

X MoneyのVisa提携をDOGE採用と読み替えない

Xの決済構想について確認できる当時の具体的な発表は、Visaとの提携だ。Visaの1月30日の決算説明では、年内を予定するX Money Accountに向けて、Visa Directを使ったデビットカードからの入金や、銀行口座への資金移動を説明していた。

この発表は、DOGEを決済通貨として採用したという内容ではない。送金サービスを作ること、金融関連の免許を得ること、特定の暗号資産を扱うことは別の判断である。マスク氏とDOGEの関係が注目されていても、実際に対応する資産はサービスの発表から確認する必要がある。

Teslaについても、確認できる公式の案内はTesla Shopの対象商品に対するDOGE決済だ。注文ボタン付近にDOGEの表示がある商品を選ぶ方式であり、この説明だけを根拠に、車両代金やすべての充電料金へ使えるとまではいえない。対象商品の範囲は利用時に確認する必要がある。

決済の利用例が増えることは、使い道を評価する材料になる。しかし、支払いの際にDOGEを取得してすぐ使う人と、長期間保有する人では需要の性質が違う。決済対応の件数だけから、長期保有者が同じ割合で増えると推測することはできない。

CocoroはDOGEとは別のトークン

3月8日には、Own The DogeによるCocoro(COCORO)の展開が報じられた。Decryptの同日記事は、かぼすの飼い主である佐藤敦子さんが新たに迎えた犬を題材とし、本人の了承を得てBase上で公開されたトークンと説明している。公式サイトも、佐藤さんからライセンスを得たIPトークンと案内している。

したがって、DOGEの元になった犬が再び登場した、あるいはDOGEそのものがBaseへ移ったという説明は適切ではない。名前、題材となる犬、運営主体、使うネットワークをそれぞれ区別したい。記事で使う銘柄表記もCOCOと省略せず、確認したCOCOROにそろえる。

公式ライセンスは、題材や肖像の扱いについて確認するうえで意味がある。一方、トークンの価格、売却しやすさ、購入者への収益分配まで保証するものではない。画像や名称の利用許諾と、金融商品としての権利を同じものとして捉えないことが重要だ。

新しいミームトークンは、似た名称の別コントラクトが作られる場合もある。購入対象を特定する際は、名称だけでなくネットワークとコントラクトを確認する必要がある。話題になった銘柄を見つけたつもりでも、同じ名前というだけでは同一の資産である証明にならない。

時価総額や大口の含み益は換金できる金額とは違う

Cocoroをめぐる当時の報道では、公開直後の急な評価額の変動も取り上げられた。こうした局面では、時価総額と、実際に市場へ入った資金を混同しやすい。時価総額は価格と供給量をもとに計算する指標であり、その金額がすべて購入資金として流入したとは限らない。

流動性の薄い市場では、少額の取引で表示価格が大きく動くこともある。その価格で全保有者が売れるとは限らず、大口が売却すれば価格自体が変わり得る。残高に表示価格を掛けた評価額と、実際に売却して得られる金額は分けて見る必要がある。

大口アドレスの含み益も同様だ。購入履歴が見えていても、すべての保有分を売却した記録がなければ、利益が確定したとはいえない。手数料や別アドレスでの取引まで含めた運用成績を示しているかも確認したい。注目を集めた一つの成功例だけで、後から参加する人の結果を予測することはできない。

3月10日の週はCPIが12日、PPIが13日

米労働統計局の公表日程では、2025年2月分の消費者物価指数(CPI)は3月12日、生産者物価指数(PPI)は13日が発表日だった。いずれも米東部時間午前8時30分で、日本時間では午後9時30分に当たる。3月15〜16日の週末に発表されるという予定ではない。

3月10日から見ると、これらは同じ週に予定されている指標だ。翌週という表現では確認する日がずれてしまう。また、米国は3月9日から夏時間へ移っているため、冬時間と同じ換算で日本の時刻を案内しないよう注意が必要だった。

CPIとPPIは、物価の異なる段階を測る指標である。発表前の予測と実際の結果の差、全体と個別項目の動きによって、市場の受け止め方は変わる。どちらか一つが低ければ、暗号資産が必ず上がるという決まりがあるわけではない。

BTCの8万2,000ドル付近を支持線とする見方も、価格の予想に属する。分析する期間や取引所、終値と瞬間的な価格のどちらを使うかで意味が変わる。特定の価格帯が注目されることと、その水準より下がらないことは別であり、予定表と価格の見通しを一緒に確定情報として扱わないようにしたい。

USDCの3月12日は利用者限定のベータ版予定

SBI VCトレードは3月4日、電子決済手段等取引業者の登録を完了したと発表した。同じ告知で、12日のシステムメンテナンス後から、利用者を限定したUSDCベータ版を予定していた。3月10日時点の案内としては、全顧客に向けた取引開始と書くのは正確ではない。

後日の確認として、同社は3月12日の告知でも対象者を限定していることを明記し、一般の顧客は取引できないと説明した。画面上に銘柄が表示されることと、自分の口座で利用できることは同じではない。登録の取得、試験提供、一般向けの提供にはそれぞれ段階がある。

米ドル連動の資産を国内で扱えるようになることは、アクセスの面で意味がある。ただし、円建ての元本が固定されるわけではない。ドルに対する価値が安定していても、円へ戻す際の為替や取引条件によって、円換算の受取額は変わる。

また、ステーブルコインの供給増加を比べる場合には、対象の銘柄と集計日をそろえる必要がある。ある銘柄から別の銘柄への移行による増減と、市場全体への新しい資金流入は区別したい。個別銘柄の増加率だけでは、利用者全体の需要がどれほど増えたかまでは分からない。

WLFIとSuiの提携は米政府の準備金ではない

Suiは3月6日、World Liberty Financialとの協力を発表した。内容は、製品開発の機会を探ることと、WLFIが自身の戦略的なトークン準備資産であるMacro StrategyへSuiの資産を加える計画だった。これは民間プロジェクトの発表であり、米財務省によるSUI購入の決定ではない。

米政府のBTC準備金と、民間企業が使う準備資産という言葉は、名称が似ていても管理主体が違う。トランプ氏や家族との関係がある事業であっても、その資金が政府資金になるわけではない。誰が資産を保有し、誰の責任で運用するのかを確かめる必要がある。

3月10日前後の材料は、DOGEに投資する商品、決済サービス、新規トークン、物価指標、USDCの試験提供と幅広かった。これらをすべて価格上昇の根拠にまとめるより、利用できるようになったもの、申請や準備の途中にあるもの、将来の期待を分ける方が、当時の状況を正確に捉えられる。

よくある質問

Q. X Moneyはこの時点でDOGE対応を発表していましたか?

A. 確認したVisaの発表はデビットカードによる入出金などの送金機能です。DOGE採用の発表として読むことはできません。

Q. 3月12日からSBI VCトレードの全顧客がUSDCを使えましたか?

A. 当時の予定は利用者を限定したベータ版です。12日の告知でも一般顧客は取引できないと説明されました。

Q. CPIとPPIの発表は3月15〜16日ですか?

A. 2025年2月分のCPIは3月12日、PPIは13日で、いずれも日本時間午後9時30分でした。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。