【2月18日】ビットコイン取引急減と「LIBRA」詐欺疑惑の衝撃――アルゼンチン大統領まで巻き込む仮想通貨市場の深層
- 2025/2/18
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【要約】
・ビットコイン(BTC)の取引活動が急減し、イーサリアム(ETH)は短期的に2800ドルを突破しづらい状況
・FTXの破産処理で大量のSOL(ソラナ)が2025年3月1日に解锁予定
・アルゼンチン大統領Javier Mileiが支持表明後に暴落した「LIBRA」トークンで詐欺疑惑が浮上
・メインネット上での“狙撃”(早期購入)や大口投資家の動きがmemeコイン市場に波紋
・Pump.Funが生み出すmemeトークンの台頭と詐欺リスクへの警戒
・企業や投資家がビットコインETF・イーサリアムETFなど複数ETFへシフトする動きも注目点
驚きのビットコイン取引量急減とイーサリアムの行方
暗号資産市場では、ビットコイン(BTC)の取引活動が急減していると報じられています。特に、ETH(イーサリアム)の短期的な2,800ドル復帰が難しいと指摘されており、市場全体の流動性やムードに大きな影響が見られます。OSLなどの取引所のレポートによれば、ビットコインは依然として世界的な注目を集める一方、ETFなど機関投資家向けの商品に資金が向かう構図が強まっているとのことです。
また、グレイスケール(Grayscale)のビットコイン信託や他社ETFから、ブラックロック(BlackRock)のビットコインETFに乗り換える機関投資家が増加傾向にあります。アブダビの政府系ファンドが数億ドル規模でブラックロックのビットコインETFを購入した動きも象徴的です。これにより市場は盛り上がりを見せるかと思われましたが、実際にはBTCの取引量自体は日を追うごとに減少し、値動きも停滞が続くという複雑な局面に陥っています。
FTX破産で大量SOLが3月1日に解锁へ
2022年に破綻し長期的に注目を集めているFTXですが、その破産処理の一環として保有していた1120万枚のSOL(約20.6億ドル相当)が2025年3月1日に解锁される見込みです。
過去にFTXは、保有していた約4100万枚のSOLを三度にわたるオークションで売却しています。具体的にはGalaxyが1枚64ドル、Panteraなどが1枚95ドル、Figureなどが1枚102ドルで取得し、それぞれ大きなリターンを得ていることが確認されています。
市場参加者の中には、この大量SOLがロック解除されることで、ソラナ価格に圧迫要因が及ぶのではないかと警戒する声もあります。一方、すでに破産管財手続きの中で売却先が決まる可能性もあり、市場がどう反応するかは解锁が近づくにつれ注目度が高まるでしょう。
LIBRAトークン騒動:大統領の支持から崩壊へ
アルゼンチン大統領と「LIBRA」疑惑
今回最も衝撃的だったニュースは、アルゼンチン大統領Javier Mileiが「LIBRA」と呼ばれるmemeコインを支持した直後に、そのトークンが大暴落し詐欺疑惑が持ち上がったことです。市場最高で一時40億ドルに達した時価総額が、数分で1.3億ドルへと急落したと言われ、約96%もの下落率を示しました。
さらに、Milei大統領自身は「プロジェクトを事前に詳しく知らなかった」と弁明しましたが、弁護士らが詐欺容疑で提訴したことで騒動は拡大。同国の金融当局や反マネーロンダリング機関が合同で調査に乗り出すことになりました。一部では、Milei大統領が周辺人物から500万ドルの賄賂を受け取り、プロモーション投稿を行ったのではないかという疑惑まで浮上し、政治的にも揺れています。
memeコイン特有の“狙撃”と内部者利益
Bubblemapsなどのブロックチェーン分析によれば、LIBRAをはじめ、MELANIAなど別のmemeコインと同じ仕掛け人がいる可能性も示唆されています。具体的には、複数の関連ウォレットがローンチ直後に膨大な量のトークンを“狙撃”(早期購入)し、価格が急上昇したタイミングで売り抜ける手口が確認されました。
YouTubeチャンネル「Coffeezilla」でのインタビューによると、LIBRAの顧問とされるHayden Davis氏は内部での狙撃を一部認めたものの、「プロジェクトの大規模な崩壊は計画失敗が原因であり、純粋な詐欺ではない」と主張しています。しかし、大口投資家が1億ドル以上の利益を確保しつつ、後から参入した投資家は大損失を被った構図は否定しづらい状況です。
「売り時」を見極める重要性とポートフォリオ戦略
「このサイクルほど厳しいものはなかった」と言われるように、過去の強気相場とは異なる値動きや詐欺まがいのプロジェクトが相次いでいます。とりわけ、Pump.Funのように誰でも数秒でmemeコインを発行できるプラットフォームが普及し、内部者が有利なポジションを取れる仕組みが一部で横行しているのが現状です。
著名トレーダーらは、あらかじめ「売却ポイント」を決めておかないと、一度の急騰で利益を得るどころか、急落で一気に資金を失いかねないと警鐘を鳴らしています。過去の周期と同じ感覚で持ち続けることは危険であり、市場参加者はより慎重な売買戦略を練る必要があるでしょう。
主要ETFの資金流入とビットコインの今後
機関投資家の関心が高まるETFセクターでは、ビットコインETFやイーサリアムETFへの資金流入が継続しています。例えば、2月16日(EST)時点では、ビットコインETFに2.15億ドル、イーサリアムETFに1.2億ドルが流入したデータが示されています。アメリカ証券取引委員会(SEC)におけるETF関連の規制緩和が進めば、さらに多くの企業や金融機関が参入し、市場の深みを増す可能性があります。
一方で、政治リスクや経済不透明感が依然として残り、ビットコインの価格が大幅に上昇する見通しは現段階では分かりません。NY証券取引所がイーサリアムETFへのステーキングサービス導入を提案するなど新たな動きもあり、投資家にとっては魅力的な可能性を秘めた領域です。
今後の注目点:memeコインの適正評価と政府の動き
- memeコインと内部者取引
TRUMP、MELANIA、LIBRAなど大統領や著名人の名前がついたmemeコインで大きなリターンを得た投資家もいる一方、流動性を奪われて暴落する例が後を絶ちません。Bubblemapsのような分析ツールを活用し、プロジェクトのウォレット挙動を見極める必要性が高まっています。 - 政府・規制当局の対応
アルゼンチンのLIBRA捜査、米国のSECや州レベルの規制強化、さらには香港証券先物委員会が示唆する仮想通貨取引所のライセンス発行など、各国で規制や法整備が進む兆しがあります。密歇根州のように州レベルでビットコイン備蓄を検討する動きがある一方、疑惑のトークンには厳しい姿勢を示す傾向です。 - Pump.Funなどのプラットフォームの今後
誰でも数秒でトークンを作れるという魅力は大きい反面、詐欺リスクも顕在化しています。プラットフォームが抱える手数料ビジネスや監査体制の不透明さをどう改善し、ユーザー保護を図るかが試金石となるでしょう。