4月2日の暗号資産:ACT急落調査とGrayscale申請、ドルの議論

2025年4月2日朝までの暗号資産ニュースでは、ACTの急落をめぐる取引所の説明と、金融大手によるデジタル資産への取り組みが並んだ。BlackRockのLarry Fink氏は米国の財政とドルの地位について論じ、Grayscaleは複数の暗号資産を保有するファンドの上場に向けた登録書類を提出した。KERNELの配布計画や強気な価格予測も含め、調査中の事実、手続き、将来の見通しを区別して整理する。

ACT急落の説明はBinanceの初期調査として読む

ACTを含む一部の小型暗号資産が急落した問題で、Binanceは4月1日から2日にかけて初期調査の説明を行った。Odailyが引用したBinance Help Deskの発言によると、現物市場でVIP利用者3人による約51万4,000USDT相当のトークン売却があり、別の一般利用者が外部から送金したACTを約54万USDT相当売却したという。これらの売りと一部の先物清算が連鎖したと説明している。

二つの金額を足すと約105万4,000USDTになる。ただし、これは報道で説明された売却の規模であり、市場全体の損失額や清算された証拠金の合計ではない。現物の売却代金と、先物ポジションの名目額、利用者が失った資金を同じ数字として扱うと、何が起きたかを見誤る。

取引所は、当該事象によって単一のアカウントが多額の利益を得た事実は見つかっていないとも説明した。これはその時点の調査結果であって、すべての売買の意図や関係が最終的に解明されたという意味ではない。説明の主体と調査段階を示すことで、未確認の共謀を決めつけることも、疑問が完全に解消したと断定することも避けられる。

売却金額が比較的小さく見えても、買い注文が薄い市場では大きな値動きにつながり得る。さらに先物で担保が不足すると、清算に伴う注文が加わる場合がある。BinanceはACTの無期限先物のレバレッジ引き下げなどにも言及したが、そうした措置は保有資産の価格や損失の回復を保証するものではない。

Fink氏のドルへの警告は米財政を条件とした議論

BlackRockのLarry Fink氏は2025年の年次書簡で、米ドルが長年享受してきた準備通貨としての地位は永続を保証されないと述べた。重要なのは、その説明に米国の債務と財政赤字の拡大という条件が付いている点だ。財政を制御できず赤字が膨らみ続ければ、ビットコインのようなデジタル資産にその立場を脅かされる可能性がある、という趣旨である。

書簡は、すでにビットコインがドルを置き換えたと宣言したわけではない。投資家がドルより安全な選択肢と考えるようになれば、米国の経済的な優位が損なわれ得るという見方を示している。準備通貨の地位に関する長期的な議論と、翌日のBTC価格を予測する話は分けて読む必要がある。

同氏はデジタル資産への否定的な姿勢を示すためだけにこの論点を取り上げたわけでもない。書簡では、株式や債券などをトークン化し、決済や保有権の管理を効率化する将来像にも期待を示した。一方で、広く利用するにはデジタル上の本人確認という課題を解く必要があるとしている。

トークン化は、既存の資産に関する権利をデジタルに扱う仕組みを変える話だ。BTCを価値の保存先として選ぶ議論とは対象が異なり、同じ年次書簡で述べられていても一つの投資判断にはまとめられない。Fink氏の発言は、デジタル資産の発展への期待と米国の財政への懸念を併せて示したものとして捉えたい。

GrayscaleのS-3提出はETF化への手続きの一段階

SECの公開システムEDGARでは、Grayscale Digital Large Cap Fund LLCのForm S-3が4月1日付で提出されたことを確認できる。書類の表紙や署名は3月31日付だが、提出日欄は4月1日である。日付の違いだけで別の申請と考える必要はなく、どの欄の日時を扱っているかを明確にすることが大切だ。

登録書類は、GDLCというティッカーでNYSE Arcaへの上場を目指す内容となっている。ただし冒頭の説明には、NYSE Arcaが2024年10月に提出した上場規則に関する申請は、書類作成時点でSECに承認されていないと明記されている。承認が得られるか、いつ得られるかについて保証はないとも記載されていた。

さらに、目論見書には承認が得られたという前提で用意された記述が含まれる。そのため、本文の一部に上場後の運用や売買についての説明があっても、それだけを抜き出して取引開始済みとは判断できない。提出、登録の効力発生、上場の承認、実際の取引開始は、進行段階を分けて追う必要がある。

同ファンドは単一の暗号資産だけを保有する商品ではなく、一定の基準に沿った主要銘柄の値動きへの投資機会を提供する構想だ。証券口座で保有できる形になっても、組み入れ資産の価格変動がなくなるわけではない。運用費用や市場価格と純資産価値の差も関わるため、ETF化を目指すことと、元本の安全性が認められたことは同義ではない。

KERNELはMegadrop第4弾、上場時刻は別途告知へ

Binanceは4月1日、Megadropの第4弾としてKernelDAO(KERNEL)を発表した。公式告知は、Kernel、Kelp、Gainを支えるリステーキングのプロジェクトとして紹介している。最大供給量と総供給量は10億KERNELで、このうち4%に当たる4,000万枚がMegadropの報酬枠とされた。

これとは別に、同じ4,000万枚を現物上場から6カ月後に始まるマーケティング施策へ、分割して割り当てる計画も示された。二つの枠は用途と時期が違う。両者を合算して、今回のMegadropで8,000万枚が一度に配布されると読むことはできない。また、枠の大きさから一人当たりの受取額が確定するわけでもない。

当初告知では、詳細なクエストや上場計画などは約1週間後の別の案内で示すとされ、現物取引の開始時刻も別途告知する扱いだった。4月2日朝の記事で、後日の正式な上場日時を発表済みの情報として混ぜることはできない。今回はプロジェクト選定と報酬枠の発表として位置づける。

参加条件にも制限がある。公式告知の対象外地域には、BNBのロック商品経由とWeb3クエスト経由の両方で日本が含まれている。海外向けの配布ニュースを、そのまま日本居住者への参加案内にはできない。配布の存在、利用資格、取引開始、受取後の価格は、それぞれ異なる条件に依存する。

Hayes氏の25万ドル予測とFRBの決定を区別する

Arthur Hayes氏は3月31日付の論考「The BBC」で、自身の金融政策の解釈が正しければ、ビットコインが2025年末に25万ドルへ向かうという見通しを示した。中心にあるのは、政府債務の資金繰りが中央銀行の判断を制約する「財政支配」という考え方と、通貨供給がデジタル資産の評価を押し上げるという仮説だ。

Hayes氏は米国債に関する金融環境の変化を、量的引き締めから量的緩和への転換として強く解釈している。しかし、これは筆者の評価であって、FRBが同じ表現で政策を決定したことを示すものではない。論考にある政治的圧力の描写や歴史との比較も、中央銀行内部の意思決定を直接確認した記録とは分ける必要がある。

公式の3月19日のFOMC声明では、政策金利を4.25~4.50%に維持し、4月から国債の償還に伴う保有減少の上限を月50億ドルへ縮小するとされていた。保有証券を減らす速度を緩めることと、新たな資産購入によって残高を増やすことは同じではない。したがって、当時の確定情報として「QE再開が決まった」とするのは適切でない。

25万ドルという数字にも、政策と市場の反応について複数の前提がある。Hayes氏自身も厳密な科学ではないと断り、運用ではレバレッジを使わず小分けに資金を投入していると説明した。強気な目標値を示すことと、その結果が保証されることは別だ。Fink氏の長期的なドルの議論やGrayscaleの手続きと並べても、三者が同じ価格予測に合意したことにはならない。

よくある質問

Q. Grayscaleはこの時点でETF上場の承認を得たのですか。

A. いいえ。今回確認したS-3には、上場に関するNYSE Arcaの申請が未承認と明記されています。書類提出と承認、取引開始は別の段階です。

Q. KERNELの4,000万枚は二つの配布枠を合わせた数字ですか。

A. Megadrop枠が4,000万枚で、別のマーケティング施策にも4,000万枚が予定されています。実施時期と用途が異なるため、今回一度に8,000万枚を配るという意味ではありません。

Q. Fink氏はビットコインが必ずドルに代わると言ったのですか。

A. 年次書簡の議論は、米国が債務や拡大する財政赤字を制御できない場合という条件付きです。すでに置き換わったとも、必ずそうなるとも述べていません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。