2025年3月29日朝までの暗号資産ニュースでは、Coinbaseの無期限先物の追加予定と、米国の物価統計が話題になった。中国の投資詐欺事件に関する判決報道、大口のLINK送金、ビットコインのオプション取引にも動きがある。取引開始の予定、実際に公表された統計、分析者の見方を分けて読むと、それぞれのニュースが示す範囲がわかる。
CoinbaseはL3・FAI・BNBの無期限先物を追加予定
Coinbaseの国際取引所は、Layer3とFreysaを対象とする無期限先物を追加すると告知した。公式投稿を転載したBWEnewsによれば、対象はL3-PERPとFAI-PERPで、Coinbase Advancedでも取り扱う予定だ。開始時刻は4月3日9時30分UTC以降で、日本時間では同日18時30分以降に当たる。日本から告知を読む際は、UTC+8の17時30分と混同しないようにしたい。
BNB-PERPについても、両サービスで同じ日時以降に市場を開く予定がOdailyで報じられている。3月29日時点では、いずれも将来の開始予定である。「以降」という告知を、指定時刻に必ず注文が成立するという意味には取れない。実際の稼働状況は、その後の取引所の案内で確認する必要がある。
ここで追加されるのは、現物のBNBなどを購入して保有する市場ではなく、価格に連動するデリバティブだ。無期限先物には満期がなく、担保に対して大きな取引をすれば利益と損失の振れ幅も増える。必要な担保を維持できない場合には清算が起こり得る。銘柄追加の告知だけで、現物への資金流入額まで判断することはできない。
また、国際向け商品の取り扱いと、日本居住者への提供は別の話だ。Coinbaseの国際デリバティブには地域や利用資格の条件がある。今回の発表を「日本でも利用可能になった」と読み替える根拠はなく、取引所名だけで対象商品や契約主体を省略すると意味が変わってしまう。
2月の米コアPCEは前年比2.8%、前月比0.4%
米商務省経済分析局(BEA)は3月28日、2月の個人所得・支出統計を発表した。食品とエネルギーを除くコアPCE物価指数は、前年同月から2.8%、前月から0.4%上昇した。総合のPCE物価指数は、それぞれ2.5%と0.3%の上昇だった。ここで扱うのは、この日に発表された推計値であり、後日改定された時系列とは区別する。
前年比は前年の同じ月との比較、前月比は直前の月との比較だ。コアの0.4%を、そのまま年間の物価上昇率と読むことはできない。また、食品とエネルギーを除く数字は基調を見るための一つの尺度であり、家計が実際に負担する品目すべての値動きを示すものではない。
同じ資料では、名目の個人消費支出が前月比0.4%増、物価の影響を除いた実質消費が0.1%増と公表された。「PCEが0.4%」という表現だけでは、消費額を指すのか、コア物価を指すのかが曖昧になる。支出と物価は別の項目として読む必要がある。暗号資産市場との関係では、消費の勢いとインフレの持続性を併せて考える材料になる。
物価統計の公表は新たな利上げ決定ではない
PCEが注目されるのは、今後の金融政策に対する見方を変え得るためだ。ただし、統計発表そのものに政策金利を変更する効力はない。直近の3月19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、政策金利の誘導目標を4.25~4.50%に維持していた。3月29日時点の説明として「利上げが続いている」と書くと、この決定内容と食い違う。
同会合では、保有する証券を減らす方針も維持された。ただし4月以降、国債の償還に伴う保有減少の上限は月50億ドルとなり、それまでの月250億ドルから縮小する。政府機関債および住宅ローン担保証券については、月350億ドルという上限を変更しない。これは保有資産を減らす速度の調整であり、政策金利の引き下げや新たな資産購入と同じ措置ではない。
物価上昇が根強ければ、早い利下げを見込んでいた参加者が想定を見直す可能性がある。しかし、FOMCは雇用、物価、経済見通し、リスクの変化を踏まえて判断するとしている。一つの月の数字から次回会合の結論を確定させたり、ビットコインの値下がりを必然としたりするのは飛躍だ。取引所の新銘柄に関するニュースとは、影響する経路も異なる。
鄂州では二つの詐欺事件の判決が報じられた
3月28日のOdailyは、鄂州市中級人民法院の公式アカウントによる公表を引用し、暗号資産取引を装った二つの詐欺事件の審理が終わったと伝えた。報道上の規模は、被告人34人、被害者約3万人、事件に関わる金額4億6,000万元である。34人には3年から12年の懲役と罰金が言い渡され、判決は確定したとされる。
報じられた手口は、取引プラットフォームを用意し、ビットコインの相場を参考に作ったチャートと、架空の9種類の暗号資産によって取引をしているように見せるものだった。価格の上下が画面に表示されることと、利用者が実際の市場で資産を取得していることは、同じではない。この事件はその違いを示している。
本稿では法院の公表を引用した報道として紹介する。サービス名が一致するだけで、別の運営会社や現在のサイトに同じ判決を当てはめることはできない。また、事件に関わる総額は、各被害者に返還された金額を表すものでもない。被告人への刑事処分、被害の規模、資産の回収は、それぞれ別の事実として扱う必要がある。
約65.9万LINKの入金と売却益は区別する
Onchain Lensの観測を引用したOdailyの3月28日報道によると、大口アドレスからCoinbaseへ65万9,415LINKが送られた。送金時点の評価額は約942万ドル、含み益は約353万ドルと報じられている。ただし、これらは分析者によるアドレスの特定や価格評価を前提とした数字である。
ブロックチェーンで確認できる資産移動と、取引所内で行われる売買は別の記録だ。取引所への入金は売却の準備である可能性がある一方、保管先の変更など別の用途も考えられる。入金だけでは注文の有無、約定価格、売却数量を確認できず、「353万ドルを稼いだ」と実現利益に置き換えることはできない。
含み益の推計にも、取得時点や取得原価をどう置くかという問題がある。過去の出金時の評価額が、その保有者の実際の購入代金と一致するとは限らない。資産が複数のアドレスを経由していれば、観測できる履歴だけで全体を再現することも難しい。今回の数字は大口移動の規模を示す参考情報として扱い、市場で同額の売り注文が成立した証拠とは分けておきたい。
8.1万ドルのプット観測は下値保証を意味しない
Bitgetの3月28日のニュース欄は、Greeks.liveのアナリストAdam氏による市場観測を紹介した。それによると、同氏が見ているグループでは慎重から弱気の姿勢が多く、8万1,000ドルの権利行使価格でプットを売る取引が注目されていた。これは一部の参加者の取引姿勢を伝える情報であり、市場全体で底値が合意されたという意味ではない。
プットは、定められた条件で原資産を売る権利に関わる商品だ。その売り手はプレミアムを受け取る一方、価格が大きく下落すれば損失を負う可能性がある。特定の権利行使価格で売り手がいることは、その価格を割り込まない保証にならない。満期やほかの保有ポジションが異なれば、同じプット売りでも全体の損益は変わる。
同報道はマイナスの資金調達率やDVOLの上昇にも触れた。DVOLはオプション価格から読み取れる予想変動率の指標で、過去に実現した値動きそのものではない。これらを併せて読むと、当時の市場に不確実性への警戒があったことはうかがえる。それでも、取引の方向を一つに決める材料にはならず、3月29日時点の市場観測として位置づけるのが適切だ。
よくある質問
Q. Coinbaseの新しい先物は日本時間でいつ開始予定ですか。
A. L3-PERP、FAI-PERP、BNB-PERPは、当時の告知・報道では2025年4月3日18時30分以降の開始予定です。現物上場や日本居住者への提供を告知したものではありません。
Q. 2月のPCE発表でFRBは利上げしたのですか。
A. 統計の発表と金利決定は別です。直近の3月19日のFOMCでは、政策金利の誘導目標は4.25~4.50%に維持されました。
Q. LINKを取引所へ送ったら利益確定と判断できますか。
A. 入金だけでは判断できません。売買が成立したか、どの価格で何枚売れたかを確認できなければ、送金時の含み益を実現利益として扱うことはできません。
この記事の出典
- Coinbase International Exchange:L3・FAIの告知
- BWEnews:Coinbase公式告知の転載
- Odaily:BNB無期限先物の追加予定
- Coinbase:国際デリバティブの利用資格
- Coinbase:証拠金不足時の清算
- BEA:2025年2月の個人所得・支出統計
- FRB:2025年3月19日のFOMC声明
- Odaily:鄂州の二つの詐欺事件に関する判決報道
- Odaily:Onchain LensによるLINK入金観測
- Bitget News:Greeks.liveのオプション市場観測
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




