SEcondは2023年3月、ITエンジニアの採用を強化し、年度内に50人の採用を目指すと発表しました。年収倍増や還元率の向上も掲げましたが、いずれも計画や方針と実績を分けて読む必要があります。当時の発表と現在閲覧できる公式情報を照合し、募集条件を判断するためのポイントを整理します。
2023年の50人採用は計画として発表された
SEcondは2023年3月8日、自社サイトの公開とITエンジニアの積極採用を発表しました。当時掲げた年度の採用目標は50人です。発表には5年後の200人規模や売上15億円ほどを目指す構想もありますが、これは採用や売上の達成を報告する決算資料ではありません。
SEcondが行うのは、技術者と技術支援を必要とする企業を結び付けるシステムエンジニアリングサービス、いわゆるSES事業です。開発やインフラなどのプロジェクトを支援すると説明されています。このニュースは採用と事業運営についての発表であり、NFTの販売や暗号資産による報酬制度の開始を知らせたものではありません。
人数の数字を読む際は、その年度に入る予定の人数、実際に入社した人数、ある時点の在籍者数を区別します。採用が進んでも退職者がいれば在籍者数は変わりますし、採用計画の存在だけで将来の会社規模は確定しません。今回確認した公式資料では、2023年の50人という目標に対する最終結果は確認できませんでした。
年収倍増という方針と、個人に提示される給与
発表で強調されたのは、エンジニアの平均年収を倍にするという目標です。これは企業のビジョンとして示された言葉であり、転職した人全員の給与を一律に2倍にする約束として扱うことはできません。平均値の変化と、ある個人の給与の変化も同じものではありません。
2023年の募集には月給30万〜90万円に賞与を加える記載があり、経験やスキルなどに応じて相談のうえ決めると説明されていました。幅のある募集額から、応募者が上限額を受け取れると判断することはできません。また、当時の給与レンジを2026年の募集条件としてそのまま掲載すると、読者に誤解を与えるおそれがあります。
実際の提示を比較する際は、月額だけでなく、賞与の条件、各種手当、想定される勤務時間などをそろえて見る必要があります。現在の年収との比較にも、同じ期間と同じ項目を使います。企業が将来に掲げる方針を知ることと、個人の勤務条件を確認することは、別々に行う作業です。
還元率75%を手取りの割合と読み替えない
同社は2023年の発表でエンジニア単価の還元率を75%と説明し、2025年には78〜80%を目指すとしていました。一方、今回閲覧した公式トップページには2028年までに80%を目標とする注記があり、採用ページの比較表には75%が掲載されています。過去の目標だけから、2025年に80%へ到達したとは記載できません。
還元率を比較する際に必要なのは、どの売上や単価を分母にし、どの費用や報酬を分子に含めているかです。基本給だけを指すのか、賞与や手当などを含むのかで、同じ割合でも給与との関係は変わります。数字を掛け算する前に、会社の計算方法を確認する必要があります。
とりわけ「還元率75%」を、顧客が支払う金額の75%がそのまま銀行口座へ振り込まれるという意味に置き換えることはできません。本稿では、確認した資料で詳細が明確でない計算内訳を補わず、手取り額の試算も行いません。数字の高さだけでなく、説明の対象が総報酬なのか個別の給与なのかを把握することが重要です。
Fairgritと案件選択の仕組みをどう読むか
SEcondは、報酬や案件、勤怠などをFairgritという社内システムで管理すると説明しています。公式の働き方紹介では、メンタル面の確認を含めて管理をまとめることで、運営コストを減らし、エンジニアへの還元につなげるという考え方が示されています。
管理画面で条件を見られることと、すべての条件を本人だけで変更できることは別です。案件を選択する仕組みがあっても、実際には業務内容、開始時期、求められる経験、取引先との調整などを確認する必要があります。公開説明だけで、希望する案件へ必ず参画できる制度と断定することはできません。
同社の働き方ページには、技術を深めるケース、プロジェクト管理に進むケース、育児と両立するケースが紹介されています。これらは検討の参考になりますが、全員に同じ案件や勤務形態が用意される保証ではありません。例えばリモート勤務を重視するなら、選べる案件の数だけでなく、出社の頻度や案件変更時の扱いも具体的に確認したいところです。
報酬や勤怠の情報が見えることには、認識の違いを早く見つけやすくする意味があります。ただし、システムの導入自体を残業削減や給与上昇の実績と同一視はできません。その効果を評価するには、導入後に何が変わったかという別のデータが必要です。
2024年の社長就任と現在の採用案内
2024年3月25日、同社は田所靖智氏の新社長就任を発表しました。2026年9月27日に確認した公式の会社紹介でも、田所氏が社長としてメッセージを掲載しています。2023年の立ち上げ時の紹介を、そのまま現在の経営体制の説明として使わず、後続発表を併せて確認する必要があります。
現在閲覧できる採用ページには、エンジニアと営業メンバーの募集案内があり、カジュアル面談にも触れています。掲載されている選考の流れは、Web書類選考、オンライン面接、内定です。ただし、Web上の案内を確認したことと、個別の応募が受理されること、特定の職種で採用枠が残っていることは別です。
採用ページの比較表には待機時の月額保証などの項目もあります。実際にどの給与項目を対象とし、どのような条件が付くかは、募集要項や面談で確認する必要があります。会社間で比較するときも、表の割合だけを取り出さず、適用される期間と対象者をそろえると条件の違いが見えやすくなります。
2026年に確認できたことと、残る確認事項
今回の見直しでは、2023年の公式発表、後年の社長就任告知、公式の採用案内と働き方紹介を照合しました。採用を始めた経緯と、その後も募集情報が公開されていることは確認できます。一方、当初目標の達成率、全社員の平均年収の推移、5年後の計画の進捗をまとめた実績資料までは確認できていません。
そのため、「エンジニアファースト」や「平均年収倍増」は同社が掲げる方針として紹介し、第三者が効果を保証した評価とは分けています。社員の体験談が掲載されていても、個別の経験と会社全体の平均値は異なります。好条件に見える一例だけで、応募者自身にも同じ結果が出ると予測するのは適切ではありません。
応募を検討する場合に整理しておきたいのは、希望する業務、使いたい技術、働く場所、想定する報酬、次の案件へ移る際の相談方法です。これらを現在の募集条件と照らし合わせることで、企業の理念が自分の働き方にどう関係するかを考えやすくなります。古い採用ニュースは会社の出発点を知る資料として使い、具体的な条件は新しい案内で確認してください。
よくある質問
Q. 2023年に50人を採用した会社なのですか?
A. 発表は50人を目指すという採用計画です。今回確認した資料だけでは、その年度の最終採用実績を確認できませんでした。
Q. 還元率75%なら単価の75%が手取りになりますか?
A. そのようには判断できません。還元率の計算対象と給与に含む項目を確認する必要があり、手取り額とは区別されます。
Q. 現在もエンジニアを募集していますか?
A. 2026年9月27日の確認時には公式採用ページに募集案内が掲載されていました。個別の採用枠や提示条件は最新の案内で確認してください。
この記事の出典
- SEcond:2023年3月8日の採用開始発表
- SEcond:公式トップページ
- SEcond:採用情報
- SEcond:働き方と管理システム
- SEcond:2024年3月25日の新社長就任
- SEcond:会社紹介
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




