ANNINと3社の基本合意とは|次世代アーティスト構想とその後

アソビシステム、Activ8、KDDIの2023年の基本合意は、リアルとバーチャルの両方で活動するアーティストを育て、海外へ展開する構想でした。その後、共同プロダクションANNINの人材募集や米国拠点の設立、Activ8のグループ参画が発表されています。当初の合意と後続の動きを、当事者と時期を分けて整理します。

2023年3月7日に3社が合意したこと

アソビシステムホールディングス、Activ8、KDDIは2023年3月7日、次世代型アーティストの創出と関連コンテンツの開発、海外展開に向けた基本合意を発表しました。ここでいう次世代型とは、実際のステージなどでの活動に加え、バーチャルヒューマンやアバターによる表現も使うアーティストを指します。

基本合意は、発表されたすべてのライブや海外進出がその日に実現したという報告ではありません。3社は、アソビシステムとActiv8によるANNINを通じて、目的を実現するための検討を進めると説明しています。企画、育成、制作、公開という段階のうち、協力の方針を共有した時点のニュースです。

対象には、新たに育成する人材だけでなく、両社に既に所属しているアーティストも含まれました。そのため、既存アーティストが新しい映像表現を使うことと、新規VTuberがデビューすることの両方を視野に入れた発表と読めます。特定のグループ名やデビュー日を、この基本合意から推測することはできません。

育成・バーチャル制作・発信の役割分担

発表では、アソビシステムが人材の発掘、プロデュース、マネジメントを担当し、Activ8が次世代型アーティストのプロデュースやバーチャルコンテンツの制作・開発を担うと整理されています。KDDIの役割は、αUなどのサービス提供とプロモーションです。各社が同じ制作工程を担当する構成ではありません。

人を育てる仕事と、画面に登場するモデルを作る仕事、作品を届ける場を用意する仕事は、つながっていますが別の工程です。例えば、歌やダンスの表現が成立しても、アバターの動きや映像演出を整える作業が必要になる場合があります。発信先を用意しただけで、継続的に出演する人材や作品がそろうわけでもありません。

今回の合意は、こうした複数の工程を協力して進める構想として理解できます。ただし、役割分担が公表されたことから、制作費の負担割合、個々の楽曲の権利、タレントとの契約条件まで読み取ることはできません。活動を応援する人にとっても、所属先と配信先を分けて知ることで、作品やイベントの正式な案内元を確認しやすくなります。

ANNINの発表時期とオーディションの動き

ANNINについては、公式資料の時点を分けて読む必要があります。アソビシステムは2022年9月14日に、Activ8とキャラクタータレント事務所ANNINを立ち上げたと公表しました。一方、2023年3月のKDDIの発表では、2023年2月に立ち上げたプロダクションと説明されています。

両資料にはこの日付の違いがあるため、本稿では2022年の発表の存在を省かず、2023年の説明と併記します。事務所の活動開始と法人の成立など、異なる段階を指す可能性はありますが、今回の資料だけでその理由を断定していません。登記上の設立日を独自に確認した記事でもありません。

その後、アソビシステムは2023年11月29日に、ANNINによる新規VTuberプロジェクトのオーディションを告知しました。画面内での配信に加えて、実際のステージでのパフォーマンスを目指す内容で、募集期間は同年12月22日まででした。ここでは、当初の方向性が具体的な人材募集へ進んだことを確認できます。

ただし、募集の告知と選考結果は別の資料です。募集人数、応募者数、合格後の活動実績などを、告知文だけで補うことはできません。現在の応募先を探す場合も、2023年の日程を現行募集として使わず、新しい募集要項を確認する必要があります。

2025年にはロサンゼルスにANNIN USを設立

2025年5月1日のアソビシステムの発表では、ANNINが同年4月にロサンゼルスでANNIN USを設立したと報告されています。PONYCANYON USAがオフィススペースの利用環境を提供し、活動を支えるパートナーとして参加しました。海外展開について、拠点づくりという具体的な進展を確認できる資料です。

発表が今後の方向性として挙げたのは、海外市場を意識したアーティストやIPの企画、現地の文化に合うコンテンツづくり、現地のクリエイターなどとの協業でした。海外に拠点を持つことと、海外で売上や人気を獲得したことは同じではありません。設立発表にない観客数や契約件数を、成果として付け加えるべきではありません。

また、この発表の中心はANNIN、アソビシステム、Activ8、PONYCANYON USAの関係です。2023年の基本合意にKDDIが参加していたからといって、米国拠点の運営も同じ3社の共同事業だと決めることはできません。複数の協業を追うときは、各発表の当事者と対象事業をその都度確認する必要があります。

2026年8月、Activ8がアソビシステムグループへ

2026年8月6日、アソビシステムはActiv8が同社グループに参画すると発表しました。Activ8はグループ会社として独立した経営体制で事業を続けるとされ、子会社のKizuna AI株式会社もプロデュース事業を継続すると説明されています。ANNINの共同展開は、それまでの協業例の一つとして挙げられました。

この資料によって、2023年の基本合意以降も両社が協力を重ね、組織上の関係を深めたことが分かります。一方、グループ参画を、Activ8という会社が消滅したことや、すべての所属者の活動が同一になったことと読み替えてはいけません。発表は事業継続と各社の独自性にも触れています。

ここでもKDDIとの関係を自動的に補うことはできません。2026年のグループ参画と、2023年の3社の基本合意は対象の異なる発表です。今回確認した資料では、基本合意の各施策がどこまで実施されたかをまとめた最終報告や、現在の契約関係の全体像までは確認できませんでした。

バーチャル表現とNFTの販売を区別して読む

2023年の基本合意では、KDDIのメタバース・Web3サービスαUも紹介されました。ただし、アバターによるライブ、動画配信、NFTの発行・販売はそれぞれ異なる活動です。Web3という言葉が含まれていても、すべての公演でNFTの購入が必要になる、すべてのタレントが独自トークンを発行する、といった意味ではありません。

ファンがイベントの参加方法を調べるなら、公演ごとの日時、会場や配信先、チケット、アカウントの要否を確認するのが出発点になります。制作や事業の提携発表だけでは、個別の視聴方法までは分かりません。同様に、アーティストの所属情報から楽曲や映像を自由に二次利用できると判断することもできません。

本稿は2026年9月27日時点で、基本合意、事務所の発表、募集、米国拠点、グループ参画の一次資料を照合しました。確認できたのは、それぞれの段階で公表された活動と方針です。今後のデビューや公演、海外での成果は、新たな個別発表で確かめる必要があります。リアルとバーチャルをまたぐ表現を追う際も、何を計画し、何を実施したかを分けると、取り組みの進み方が見えやすくなります。

よくある質問

Q. 基本合意の日に新しいアーティストがデビューしたのですか?

A. 基本合意は協力の方針についての発表です。個別のデビューや公演を実施した報告とは区別する必要があります。

Q. ANNIN USはKDDIとの共同運営ですか?

A. 確認した2025年の設立発表だけでは、そのようには判断できません。2023年の基本合意の参加企業を、別の拠点の運営会社として自動的に当てはめることはできません。

Q. Activ8はグループ参画で事業を終了したのですか?

A. 2026年8月の発表は、独立した経営体制で事業を継続すると説明しています。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。