Lady Ape Club(LAC)のSTRMNFT販売|2022年の経緯とその後

2022年7月、ドバイを拠点とするStreamCoin(STRM)のNFTマーケットプレイス「STRMNFT」で、女性の猿をモチーフにした1万点のNFTコレクション「Lady Ape Club(LAC)」の一般販売が始まりました。旧版の記事は、発表時点のプレスリリースをもとに「7月6日にパブリックミント開始」と紹介していました。

しかし実際の販売は予定どおりには進まず、事前予約の延長をはさんで7月18日にずれ込んでいます。また旧版には「2022年6月7日に開始」という日付の誤りや、機械翻訳のまま意味の通らない箇所もありました。この記事では、公表資料と当時の報道で経緯を確かめ直し、プロジェクト独自のトークンでNFTを買う仕組みにどんな注意点があるのかを、2026年の視点で整理します。

何が発表されたか:9,000点をSTRMで販売する計画

2022年7月5日前後に配信されたプレスリリースによると、Lady Ape Clubは1万点の図柄がすべて異なるNFTで、制作はドバイのブロックチェーン企業TNCグループのアート部門「TNC Art Team」です。販売の中心はStreamCoinが運営するSTRMNFTで、ここに9,000点を割り当て、7月6日12時(湾岸標準時)に一般販売を始める計画でした。

STRMNFTでの価格は1点あたり1,500STRMです。STRMはBNBスマートチェーン(BSC)上で発行されたトークンで、購入者はウォレットのMetaMaskにSTRMと、手数料の支払いに使うBNBを用意する必要がありました。1回の取引でかかる手数料は1.5〜2ディルハム(約0.41〜0.54ドル)程度と案内されていました。旧版にあった「ペトロフィー」という言葉は、このネットワーク手数料(ガス代)を指していたと考えられます。

このほか700点をNFTマーケットプレイスのOpenSeaで1点0.1ETHで販売すること、特別版90点をオークションにかけること、STRMNFTに登録した先着1万人に「Aurora Cat」というNFTを無料で配ることも発表されていました。1アカウントあたりの購入数に上限は設けないとされていました。

実際にはどう進んだか:販売は7月18日に

予定日の7月6日に一般販売は始まりませんでした。7月13日ごろの発表では、事前予約(プレブッキング)の期限を7月16日まで延ばし、正式な販売を7月18日に行うと告知されています。予約の対象は、TNCグループのホワイトリストに入った人や、StreamCoinのトークン販売(ICO)やステーキングに参加した人たちでした。

StreamCoin側の発表と各メディアの報道によると、7月18日の販売は湾岸標準時の午前9時に始まり、午後1時11分に9,000点がすべて売り切れました。翌19日には特別版90点のオークションも完売したとされています。

OpenSeaでの700点も7月19日に48時間のオークション形式で出品され、完売したと報じられました。その約1週間後の7月25日には、OpenSeaでの24時間取引額が210ETHを超え、取引額ランキングで上位10位に入ったとも伝えられています。ただし、これらの数字の多くは運営側の発表を元にした記事で、第三者が独自に集計したものではない点は割り引いて読む必要があります。

背景:StreamCoinとTNCグループの関係

StreamCoinは、ライブ配信の視聴者と配信者をトークンで結びつけることを掲げて2018年に設立されたプロジェクトです。2022年に入ってからは動画や画像をNFTにして売買できるSTRMNFTを公開し、しばらくは無料でNFTを作れるようにして利用者を集めていました。

TNCグループはStreamCoinの主要な提携先で出資者でもあり、StreamCoinのトークン販売にも企業として参加したと公表されています。2022年3月にドバイで開かれたライブ配信者向けの会議も、TNCグループが主催し、StreamCoinが協賛する形で行われました。Lady Ape Clubは、STRMNFTで最初に販売された本格的なコレクションという位置づけでした。

つまりこの販売は、制作者・販売の場・支払いに使うトークンの発行元が同じ企業グループの中で結びついた構造でした。買い手が増えればSTRMの需要も生まれるため、NFTの販売はトークンの利用を広げる施策の意味も持っていたと言えます。

名前は似ていてもBAYCとは別のコレクション

Lady Ape Clubは、猿のNFTとして有名なBored Ape Yacht Club(BAYC)を強く意識した作品です。当時の紹介記事でも「Bored Apeの女性版」といった書き方が見られ、BAYCの保有者向けに一部を取り置くことも告知されていました。

一方で、制作はTNCグループのアートチームであり、BAYCを手がけるYuga Labsがこのコレクションに関わったという発表は確認できませんでした。人気作品に似た名前や図柄のNFTは数多く出回っており、公式との関係は見た目や名前だけで判断できません。

NFTを買うときは、マーケットプレイスに表示されるコントラクトアドレスや、公式サイト・公式SNSからのリンクを照らし合わせて、どの発行元の作品なのかを確かめるのが基本です。同じ名前のコレクションがOpenSea上に複数並ぶこともあるため、認証バッジの有無も目安になります。

2026年時点:STRMの価格と取引の状況

その後の暗号資産市場の冷え込みの中で、STRMの価格は大きく下がりました。CoinMarketCapの表示では、2022年5月につけた高値は約0.30ドルでしたが、2026年9月時点では0.0002ドル前後で推移しており、時価総額は30万ドルに届かず、1日の取引額も千ドル台にとどまっています。

単純に計算すると、1,500STRMは2022年の高値の水準なら数百ドル相当でしたが、2026年の水準では1ドルにも満たない金額です。NFTの価格を独自トークンで決める仕組みでは、トークンそのものの値動きが、NFTを買った人の損益に直接影響することがわかります。

StreamCoinの公式サイトは2026年9月時点でも表示されていますが、STRMNFTでLady Ape Clubがどの程度取引されているか、コレクションの運営が続いているかは確認できませんでした。OpenSeaには同じ名前のコレクションページが複数あり、どれが正規のものかも含めて、外部から判断するのは難しい状況です。

独自トークン建てのNFT販売で気をつけたい点

今回のように、マーケットプレイスが自前のトークンでしか支払いを受け付けない場合、買い手はまずそのトークンを手に入れる必要があります。取り扱う取引所が少ないトークンだと、売買の板が薄く、少しの注文でも価格が動きやすくなります。NFTを手放してトークンに戻せても、そのトークンを円に替えにくいという問題も起こりえます。

また、ホワイトリストやICO参加者向けの事前予約が用意されると、一般販売の前に多くが売れてしまい、「数時間で完売」という結果が見た目ほど幅広い需要を示していない場合もあります。完売の速さやランキング入りといった数字は、誰が集計したものかを確認して読むのが安全です。

購入前に見ておきたいのは、支払いに使うトークンの取引額と取扱取引所、NFTのコントラクトがどのチェーンにあるか、そして運営が公開している販売数や取り置き分の内訳です。今回は、STRMNFT分がBSC、OpenSea分がイーサリアムと、同じコレクションでも販売経路によってチェーンが分かれていた点にも注意が必要でした。

日本の読者向け:税金と手数料の考え方

日本の居住者が暗号資産でNFTを買う場合、支払いに使った暗号資産は、その時点で手放したものとして扱われます。STRMのようなトークンで支払うと、取得したときより値上がりしていればその差額が所得として計算の対象になりうるため、購入の記録と当時の時価を残しておくことが大切です。

無料配布(エアドロップ)で受け取ったNFTにも、受け取った時点の価値に応じて課税関係が生じる場合があります。取扱いの考え方はエアドロップの税金に関する解説で国税庁の資料をもとにまとめています。個別の判断が難しいときは税理士や税務署に相談してください。

BSCやイーサリアムで取引すると、そのたびにネットワークの手数料がかかります。仕組みはガス代の基本を説明した記事が参考になります。STRMNFTのような海外のサービスは日本の暗号資産交換業の登録を受けておらず、トラブルが起きても国内の制度による保護は期待しにくい点も覚えておきましょう。

よくある質問

Q. Lady Ape Clubの販売は本当に7月6日に始まったのですか?

A. いいえ。7月6日は発表時点の予定日で、実際には事前予約の期限が7月16日まで延ばされ、STRMNFTでの販売は7月18日に行われました。旧版の記事にあった「6月7日」という日付も誤りです。

Q. Lady Ape ClubはBAYCの公式コレクションですか?

A. 制作したのはドバイのTNCグループのアートチームで、BAYCを運営するYuga Labsが関わったという発表は確認できませんでした。名前が似ていても別の発行元の作品です。

Q. STRMNFTの販売分とOpenSeaの販売分は同じチェーンですか?

A. 当時の案内では、STRMNFTの9,000点はBNBスマートチェーン上でSTRMを使って販売され、OpenSeaの700点はETHで販売されました。同じコレクション名でも販売経路によって扱いが異なっていました。

Q. 2026年の今もLady Ape ClubやSTRMNFTは使えますか?

A. StreamCoinの公式サイトは表示されていますが、STRMNFTでの取引が続いているか、コレクションの運営が続いているかは確認できませんでした。STRMの価格は2022年の高値から大きく下がっています。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。