2022年7月、旧版の記事は「Jeff Brainbyte」を名乗る制作者による新しいNFTコレクション「Sunny Side Pup Club」(以下SSPC)を紹介しました。記事は、売上の半分を紛争地域などに寄付する計画や、制作者の30年以上の経歴を伝え、「投資する価値がある」と結んでいました。
2026年9月にあらためて調べたところ、発売前の告知情報はいくつか残っていたものの、実際にどれだけ販売されたのか、寄付が行われたのかを裏付ける記録は見つかりませんでした。この記事では、確認できた事実と確認できなかった点を分けて示し、旧版の誤りを訂正します。そのうえで、同じような小規模NFTに出会ったときに、購入前に自分で確かめたいポイントを具体的にまとめます。
2022年当時に告知されていた内容
NFTの発売情報をまとめるサイト「NFT Project List」には、SSPCの告知が今も残っています。それによると、発売予定日は2022年6月25日、発行数は5,000点、ミント価格は0.06ETHで、Ethereum上のコレクションとされていました。公式サイトとして sunnysidepupclub.com、X(旧Twitter)のアカウントとして @Sunny_Side_Pup が案内されています。
告知文は、「Darkmass Labs」という架空の研究所で生み出された遺伝子改変生物「SSP」を、科学者とアンドロイドの秘密結社が救うという物語を掲げていました。そのうえで、保有者がNFTを持ち込める3DのSFメタバースゲームの開発、保有者向けの土地の提供、YouTubeでのアニメシリーズ、保有者への権利付与などを計画として並べていました。
社会貢献としては、保護犬を殺処分しないシェルターの支援や、人種差別に反対する活動への資金提供がうたわれていました。また、別の情報サイトには、収益の70%をゲームやアニメの開発に回すという説明も載っていました。制作者については、映画、テレビ、音楽、ゲームで30年以上の経験があるとだけ書かれていました。
旧版記事の訂正と、食い違う情報
旧版の記事には、告知情報と合わない記述がいくつかありました。まず価格です。旧版は「第1弾は0.4イーサで販売される」と書いていましたが、2026年に確認できた告知では0.06ETHでした。どちらが最終的な価格だったのかは確認できませんでしたが、少なくとも旧版の数字をそのまま信じるのは避けるべきです。
次に寄付の中身です。旧版は「売上の50%をウクライナなどの紛争地域やアフリカに寄付する」としていましたが、確認できた告知では、支援先は保護犬シェルターと反人種差別の活動で、収益の70%は開発に回すと説明されていました。寄付の割合も支援先も一致しておらず、実際に寄付が行われたことを示す記録も見つかりませんでした。
さらに旧版は、制作者を「3D SFゲーム『メタバース』の生みの親」と紹介していましたが、告知を読む限り、3Dゲームはこのプロジェクトで今後つくる計画として書かれていたものです。1994年に大麻をテーマにした史上初のデジタルアートを制作したという経歴も、裏付けとなる資料は確認できませんでした。
2026年9月時点で確認できたこと・できなかったこと
告知で案内されていた公式サイトに2026年9月にアクセスすると、物語の設定に合わせた「ロックダウン中」という表示だけが出ていました。新しい参加者の受付を止め、一般向けのシステムを停止しているという文面で、ページ下部には「© 2025 Brainbyte LLC」と記されています。ゲームやアニメ、保有者向けの機能を案内するページは見当たりませんでした。
NFTマーケットプレイスについては、検索結果に出てきたOpenSeaのコレクションページ(sspc)が、2026年9月時点では「ページが見つからない」状態でした。ほかの統計サイトの検索結果でも、取引量や保有者数は0と表示されていました。これらから、実際に何点がミントされ、市場で売買されたのかは確認できませんでした。
旧版の記事自体も「インターネット上に制作者のプロフィールはない」と書いていたとおり、制作者の本名や過去の作品を公式に示す資料は見つかっていません。この記事では、確認できない事柄を推測で埋めることはせず、「確認できなかった」とそのまま記録しておきます。
なぜ「投資する価値がある」とは言えないのか
旧版の記事は、社会貢献をうたうことを理由に「投資する価値があり、世界を変えられる」と締めくくっていました。しかし、寄付の計画があることと、そのNFTが価値を保つことは別の話です。当サイトでは、特定のNFTを買うべきかどうかについて判断を示すことはしません。旧版のこの一文は取り消します。
2022年の中頃は、NFT市場全体の取引が大きく落ち込んでいた時期でした。発売前には、メタバースゲームやアニメ、土地の配布といった計画を並べるプロジェクトが数多く登場しましたが、実際に形になったものはごく一部です。計画の多さは、実行する力の裏付けにはなりません。
社会貢献をうたうプロジェクトであっても、寄付先の団体名、寄付の時期、送金の記録が公開されていなければ、外から確かめることはできません。善意の計画だったとしても、資金や人手が足りずに止まってしまうことは珍しくありません。買い手の側で確認できる材料を集めることが大切です。
購入前に確かめたい5つのポイント
小規模なNFTコレクションを検討するときは、少なくとも次の点を自分で確かめておくと、判断の材料が増えます。どれも特別な道具は不要で、ブラウザだけで調べられます。
- 運営者は誰か:本名でなくても、過去の作品や活動の記録、法人名、問い合わせ先が示されているか。
- コントラクトはどれか:公式サイトとXで同じコントラクトアドレスが案内されているか。Etherscanなどで発行数や作成日を確認できるか。
- 約束の中身:ロードマップの項目に、時期や担当、進み具合が書かれているか。
- 寄付の証拠:寄付先の団体名と、寄付先の団体側での受領の発表や送金記録が公開されているか。
- 権利の範囲:利用規約で、保有者に何が認められているかが文章で示されているか。
これらのうち、答えが見つからない項目が多いほど、あとから確かめる手段も少なくなります。価格や人気よりも先に、情報の透明さを見る習慣をつけておきましょう。
公式の案内と偽物を見分ける
小規模なNFTほど、偽の公式サイトや偽アカウントによる被害が起きやすくなります。発売日前後には、本物そっくりのミントページに誘導してウォレットをつながせ、資産を抜き取る手口がよく使われます。リンクは公式のXアカウントの固定投稿など、複数の場所で一致しているかを確かめてから開きましょう。
ミントやマーケットプレイスでの購入時に、ウォレットが見慣れない「承認」や「署名」を求めてきたら、その場で手を止めてください。NFTを1点買うだけなのに、ほかのトークン全部の移動を許可する内容になっていないかを確認することが大切です。秘密鍵やシードフレーズを入力させるサイトは、どんな理由があっても使わないでください。
よくある手口と対策は、NFT詐欺の手口と見分け方をまとめた記事で詳しく紹介しています。被害に遭ってしまったときの相談先は、暗号資産トラブルの相談窓口の記事を参考にしてください。
日本の読者が気をつけたいこと
海外の小規模NFTは、日本語の情報がほとんどなく、運営者に問い合わせる手段も限られます。トラブルが起きても、日本の消費者保護の仕組みで対応できる範囲は狭く、返金を求めるのは難しいのが実情です。購入する場合は、失っても生活に影響しない金額にとどめておくことが基本です。
国民生活センターは2023年の広報誌でNFTの基礎知識と法的な課題を特集し、消費者庁も暗号資産をめぐるトラブルへの注意を呼びかけています。「社会貢献になる」「将来必ず値上がりする」といった言葉で購入を勧められたときは、その根拠を自分で確かめられるかどうかを一度立ち止まって考えてください。
なお、日本ではNFTを売ったり別のNFTや暗号資産と交換したりして利益が出た場合、所得として申告が必要になることがあります。ミントにかかったETHの金額やガス代、購入日などは、あとから計算できるように記録しておきましょう。
よくある質問
Q. Sunny Side Pup Clubは実際に発売されたのですか?
A. 2022年6月25日発売予定という告知は確認できましたが、何点がミントされ、市場で売買されたかを示す記録は2026年9月時点で確認できませんでした。
Q. 売上の50%を寄付するという話は本当ですか?
A. 確認できませんでした。残っている告知では、支援先は保護犬シェルターと反人種差別の活動とされ、割合も旧版の記事と一致しません。寄付の実績を示す記録も見つかっていません。
Q. 公式サイトは今も見られますか?
A. 2026年9月時点では、物語の設定に合わせた「ロックダウン中」という表示だけが出ており、ゲームやアニメなどの案内は見当たりませんでした。
Q. 小規模なNFTを買う前に最低限確認すべきことは?
A. 運営者の情報、公式に案内されたコントラクトアドレス、ロードマップの具体性、寄付の証拠、利用規約の5点です。答えが見つからない項目が多いほど慎重に判断してください。
この記事の出典
- Sunny Side Pup Club(NFT Project List)
- Sunny Side Pup Club 公式サイト(2026年9月確認)
- Jeff Brainbyte Unleashes His New "Sunny Side Pup Club" NFTs(Inside Bitcoins)
- 国民生活 ウェブ版 No.134(2023年)特集 NFTの基礎知識(国民生活センター)
- 暗号資産(仮想通貨)に関するトラブルにご注意ください!(消費者庁)
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




