Binance(バイナンス)ハッキング事件まとめ|被害額・凍結25億ドル・入出金停止・利用者がいまやること

10月30日早朝(日本時間)、Binanceのホットウォレットから推計28億〜35億ドル超の資産が流出しました。確認済みの凍結額は25億4,000万ドルで、Binanceは損失の全額補償と入出金の一時停止を発表しています。わかっていること・まだわからないこと・利用者がいまやることを整理します。

Binance(バイナンス)ハッキング事件まとめ|被害額・凍結25億ドル・入出金停止・利用者がいまやること

世界最大の暗号資産取引所 Binance(バイナンス)から、10月30日の早朝(日本時間)に巨額の資産が外部へ流出しました。Binance は「利用者の資産は安全」「損失はすべて Binance が補償する」と発表し、入金と出金を止めて調査を進めています。

この記事では、Binance の公式発表と、ブロックチェーン上の記録を追う分析者の報告をもとに、10月30日 9時半(日本時間)の時点でわかっていることと、まだわからないことを分けて整理します。数字は今後も変わる可能性があります。

何が起きたのか

ブロックチェーン上の記録によると、Binance が出金用に使う「ホットウォレット」(インターネットにつながった財布)から、日本時間の朝5時台に大量の資産が外部の不審なアドレスへ送られました。

  • 5時20分ごろ:Binance のホットウォレット「Binance 14」が、外部の仕組み(スマートコントラクト)に操作を任せる設定に変えられる(分析者の報告)
  • 5時24分ごろ:Binance 14 から ETH 約16万7,000枚と63種類のトークンが、1回の取引でまとめて送られる
  • 5時41分ごろ:別のホットウォレットから USDC 約7億8,000万ドル分が同じ先へ送られる
  • 6時15分:Binance 創業者の CZ(チャンポン・ジャオ)氏が「Binance がハッキングされたように見える」と投稿
  • 6時29分:Binance が「セキュリティ上の問題の可能性を調査中。利用者の資金は完全に安全」と最初の発表
  • 7時15分:「セキュリティの確認が終わりしだい、出金を再開する」と発表(出金の停止)
  • 8時22分:「確認済みの凍結額は25億4,000万ドル」と発表
  • 9時13分:「損失はすべて Binance が補償する。入金と出金を一時停止している」と発表

被害額と凍結された額

流出額は、集計する人によって大きく違います。Binance 自身は、まだ損失額を発表していません。

  • イーサリアム上で確認できる分:約28億ドル。内訳は USDT 約16億ドル、USDC 約7億8,000万ドル、ETH 約19万5,000枚(約4億4,000万ドル)、wBETH、RLUSD など
  • ほかのチェーンも含めた推計:35億ドル前後とする集計があり、オンチェーン分析の Lookonchain は「58億ドル超」と投稿しています。どこまでが実際の不正流出分かは、まだ固まっていません
  • 凍結:USDT と USDC は発行元が送金を止められます。Tether 社は15億6,700万ドル超の USDT、Circle 社は8億ドル超の USDC を凍結したと発表しました。Binance は「確認済みの凍結額は25億4,000万ドルで、さらに増える可能性がある」としています
  • Arbitrum での凍結:ZachXBT 氏によると、Arbitrum のセキュリティ評議会が約3,050万ドルを凍結しました

一方、ETH や多くのアルトコインには、発行元が送金を止める仕組みがありません。Lookonchain によると、攻撃者は PEPE、UNI、LINK、ENA などをブロックチェーン上で売って ETH に替えています。攻撃者の手元には売っていないアルトコインも残っており、売りが続く可能性があります。

どうやって盗まれたのか(まだ確定していない)

Binance は原因を説明しておらず、調査のあとに詳しい報告書を出すとしています。現時点で分析者が指摘しているのは、次のような流れです。

  • 2025年5月の Pectra アップグレードで入った「EIP-7702」という仕組みで、ホットウォレットの操作を攻撃者の用意したスマートコントラクトに任せる設定がされた
  • この設定には、ウォレットの秘密鍵での署名が要る。秘密鍵が盗まれたのか、署名の仕組みが操作されたのかは不明
  • 攻撃に使われた最初のアドレスは、資金の出どころを隠すサービス「Tornado Cash」から送金を受けていた

ブロックチェーン調査で知られる ZachXBT 氏は、北朝鮮系とされるハッカー集団「Lazarus Group」の可能性が高いと投稿しています。ただし、これは本人の見立てで、捜査機関や Binance が認めたものではありません。

相場への影響

  • ビットコイン:5時15分ごろの約8万300ドルから下げ、9時25分時点で約7万7,000ドル(24時間で約5%安)
  • イーサリアム:約2,310ドルから約2,210ドルへ(24時間で約6%安)
  • BNB:Binance 系のトークンで下げがもっとも大きく、約740ドルから約685ドルへ(24時間で約10%安)
  • 強制決済:CoinGlass のデータによると、発生から1時間で約6億3,000万ドル分の先物が強制決済され、その大半が買いのポジションでした

Binance の対応と補償

  • 入金と出金を一時停止。Binance Alpha の取引など一部のサービスも止めています
  • Binance と共同創業者のイー・ハー氏は「ハッキングの損失はすべて Binance が補償する」と発表
  • CZ 氏は「損失は(凍結後の約10億ドルという試算より)少し多いかもしれないが、補償する」と投稿
  • 米国の Binance.US は「影響を受けていない別の会社」と発表
  • 日本の Binance Japan(金融庁に登録された別会社)では、9時半の時点で本件の告知は確認できていません

利用者がいまやること

  • 公式以外の情報で動かない:「補償の受け取り」「出金の確認」「アカウントの安全確認」をうたうメール、DM、サイトは、ほぼすべて詐欺です。ログイン情報や秘密鍵は、どこにも入力しないでください
  • 資産を送らない:入金も止まっています。再開の発表まで、Binance のアドレスへ資産を送らないでください
  • Binance Japan を使っている人:Binance Japan の公式サイトと公式Xのお知らせを確認してください
  • アルトコインを持っている人:攻撃者が持つ銘柄は、売りが出やすい状態です。値動きに気をつけてください

投資ラボの見方

2025年2月に Bybit から約15億ドルが盗まれた事件を大きく上回る、過去最大級の流出です。救いは、USDT と USDC の発行元がすぐに凍結に動き、流出額のかなりの部分を止められたことです。発行元が送金を止められる、ステーブルコインならではの仕組みが役に立ちました。

一方で、原因はまだわかっていません。ホットウォレットの管理が破られたのが事実なら、ほかの取引所も同じ仕組みを点検することになります。入出金の再開時期と、Binance が出す報告書の中身が次の焦点です。続報は投資ラボのX(@LaboNft)でも流します。

まとめ

  • 10月30日の早朝(日本時間)、Binance のホットウォレットから巨額の資産が流出した
  • 流出額は推計で28億〜35億ドル超。Binance は損失額をまだ発表していない
  • Tether 社や Circle 社などが送金を止め、確認済みの凍結額は25億4,000万ドル
  • Binance は「損失はすべて補償する」と発表し、入金と出金を一時停止している
  • 原因は未確定。EIP-7702 の仕組みを悪用した操作権限の乗っ取りが指摘されている
  • 「補償」「出金確認」をうたう連絡は詐欺とみて応じない

出典:Binance 公式X(2026年10月29日21:29〜10月30日0:13 UTC の各投稿)、Yi He 氏・CZ 氏の公式X、ZachXBT 氏・Lookonchain の投稿、Etherscan の記録、CoinGlass(PANews 経由)、CoinGecko の価格(10月30日9時25分)。

状況は変わり続けています。最新の情報は Binance の公式チャンネルで確かめてください。

投資助言ではありません。投資は自己責任で。詐欺・フィッシングサイトに注意してください。

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