ApeX Botは、2023年にApeX Proの取引操作をTelegramから行えるようにする目的で登場した。公開時にはBot Keyによる連携と、総額3万USDCの紹介キャンペーンが告知された。その後、Proは終了・Omniへの移行段階に入り、当時の案内を現在の利用手順としては扱えない。2026年9月に確認した公式資料を基に、機能と報酬条件、安全性の説明を読み直す。
2023年10月に公開されたApeX Pro用の操作画面
ApeX Protocolは2023年10月3日、Telegramからデリバティブ取引を操作するApeX Botの公開を発表した。対象は当時のApeX Proであり、チャットの案内から市場の選択、注文、建玉の確認や決済などを行う構想だった。Telegram内に新しいブロックチェーンを作ったというニュースではない。
発表では、テストネットでの試用、ウェブ・アプリとのログイン状態の同期、損益や残高の確認、紹介リンクの管理が主な機能として挙げられた。従来の取引画面で行っていた操作の一部を、使い慣れたメッセージアプリから呼び出すための窓口と考えると分かりやすい。
一方、取引シグナルやコピートレードは、公開時の発表では今後の機能として説明されていた。自動的に利益を生む仕組みが完成していた、あるいはすべての機能が公開初日から使えたという意味ではない。「初のL2 DEXボット」という表現も発表者の位置付けであり、本記事では全競合を調べた比較結果として採用しない。
Bot Keyは口座との連携に使う認証情報
当時の公式文書は、ApeX Proのアカウントとボットを連携するためのBot Keyを説明している。STARK keyとAPI Keyを暗号化して作る認証情報で、ボットへの接続後には注文や決済などが可能になるとされていた。暗号資産として売買するトークンや、Telegramの一般的なログインパスワードとは異なる。
文書によると、Bot Keyを新たに生成すると以前のキーは無効になり、入出金は引き続きApeXのウェブまたはアプリで行う設計だった。取引操作と入出金の窓口を分けた点が、このボットの説明を読む際の重要な部分である。自己管理という説明は、資産管理や認証の仕組みに関するもので、利用者が金融規制を自分で決められるという意味ではない。
ただし、入出金機能を持たないことから、資産を失う可能性がないとは結論できない。注文を出せる認証情報が漏れれば、意図しない取引につながるおそれがある。公式文書にある強い安全性の表現はそのまま保証として転載せず、ここでは提供側が説明した設計と、独立して確認した安全性を区別する。今回、実装コードの監査や侵入試験は行っていない。
3万USDCは期限と条件が付いた紹介報酬の総枠
公開時に案内された3万USDCは、参加者一人が受け取れる額ではなく、紹介キャンペーンの報酬プールだった。公式ブログが示した期間は、2023年10月3日12時から10月17日11時59分までのUTCである。現在開催中の募集や、登録だけで必ず受け取れる特典として読み替えることはできない。
報酬は、条件を満たす新規利用者を紹介した側に、一人につき1 USDCを付与する仕組みと説明された。紹介された人が期間中に専用リンクからApeX Proへ参加し、Bot KeyでTelegramアカウントと連携することなどが条件だった。紹介された人全員への無条件配布という旧記事の印象は正確ではない。
請求・引き出しには累計10 USDC以上という基準があり、一アカウント当たりの上限は1,000 USDCとされた。不正参加や重複申請は失格の対象で、運営側が条件を変更する権利も記載されていた。これらは過去の企画内容の確認であり、実際に何人が条件を満たし、総額いくらが支払われたかを示す配布実績までは今回照合していない。
その後、ApeX Proは終了・Omniへの移行段階に入った
公開当時と現在を分けるうえで大きな変化は、ApeX Proの終了方針だ。2025年2月27日の公式告知は、ApeX Omniへの移行に伴い、Proの取引ペアを段階的に廃止すると発表した。新規建玉の停止と流動性の撤収には別々の日付が設定され、すべての機能を一斉に止める案内ではなかった。
同告知では、残るBTC-USDCとETH-USDCについて3月31日に新規建玉を停止し、4月14日にマーケットメーカーが流動性を撤収する予定を示していた。通常出金を移行機能へ切り替える日程や、入金停止の日程も別に設けられた。したがって、2023年のボット記事から古い入出金方法や取引条件を現在の手順として案内するのは適切ではない。
2026年9月に確認した公式GitBookでも、Telegram Botの資料は「ApeX Pro Discontinued」の配下に置かれている。一方、公式サイトはApeX Omniを現在の製品として紹介している。旧ボットのページが残っていることだけで、同じボットがOmniで同じように稼働すると判断することはできない。旧ボットの現在の注文受付や、個別口座の移行完了は確認していない。
ボットの無料利用と取引費用・清算リスクは別
2023年の案内はボットの利用自体を無料と説明していたが、それはデリバティブ取引全体の費用がゼロという意味ではない。取引サービスの料金、資金調達料、資産移動に関する費用などは、利用する製品と操作に応じて別に確認する必要がある。Pro向けの過去の条件を、Omniの現在の条件へそのまま移すこともできない。
現行のApeX利用規約は、永久契約のリスクとして、証拠金不足による強制清算、資金調達料による損失、取引停止や技術的な不具合などを列挙している。チャット画面が簡単でも、扱う商品が簡単になるわけではない。残高が表示されていることと、建玉を保ち続けられることも別である。
また、損益表示を確認する際には、まだ決済していない建玉の評価損益なのか、手数料などを含めた最終的な損益なのかが重要になる。ボットは情報を表示し注文を伝える手段であり、価格変動や約定結果を保証する主体ではない。旧記事にあった「安全性の確保」や「無制限のアクセス」は、そのまま利用者への約束として扱わない。
日本からの利用可否は規約と取引画面の条件を確認する
2026年7月27日更新の公式利用規約は、米国や一定の制裁対象地域などに関係する利用者を制限し、適用法に反する利用も禁止している。VPNなどで制限を回避する行為も禁止事項だ。分散型の仕組みや自己管理型ウォレットを使うことは、地域制限をなくす理由にはならない。
確認した規約の国・地域の列挙には日本の名称はなかった。ただし、列挙されていないことだけで、日本居住者の利用が認められていると確定できるわけではない。公式サイトの利用条件ページも、Omniの取引には注文時に示される画面側の条件やリスク説明が適用されると案内している。今回は日本居住者を対象とした提供可否の確約や、実際の注文画面での適格性確認は取得していない。
本記事は2023年の公開内容と、その後の製品移行を整理するもので、現在の口座開設や取引を勧める案内ではない。過去のキャンペーン、旧Proのボット文書、現在のOmniの情報を読み分けることが、古い紹介記事から誤った利用判断をしないための出発点になる。
よくある質問
Q. いまApeX Botへ登録すれば3万USDCをもらえますか?
A. 3万USDCは2023年10月の期間限定紹介キャンペーンの総枠でした。一人当たりの配布額ではなく、新規利用者の紹介や口座連携などの条件がありました。
Q. Bot Keyを使えば損失や盗難を防げますか?
A. 認証や操作権限に関する設計であり、損失をなくす保証ではありません。公式説明では入出金はウェブ・アプリ側で行う一方、ボットからは取引操作が可能でした。
Q. 旧ApeX Proのボットを現在のOmniでも使えますか?
A. 同じ条件で利用できるとは確認していません。公式文書は旧ボットをPro終了済みの分類に置いており、Omniへの対応や日本居住者の利用可否は別途確認が必要です。
この記事の出典
- ApeX:Telegram Bot公開と3万USDC企画
- ApeX発表:2023年10月3日公開リリース
- ApeX公式文書:旧Telegram Bot
- ApeX公式文書:Bot Key
- ApeX:Pro終了と取引ペア廃止日程
- ApeX公式サイト
- ApeX:利用規約(2026年7月27日更新)
- ApeX:サイト利用条件
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




