China DailyのNFT計画を検証|予算・落札額とその後

China Daily(中国日報社)が2023年に進めたNFT関連プロジェクトは、約39万ドルの「投資」として報じられた。ただし、政府調達資料で確認できる当初予算は281.3万人民元で、後日公表された落札額は250万人民元だった。NFTを買い付けた額でも、全成果物の完成を証明する額でもない。

本記事は2026年9月27日に確認した公告・報道・規制文書を基に、入札時の計画と、その後に確認できる動きを整理する。サービスの現在の利用状況まで分かった範囲と、まだ確認できていない範囲を明示する。

39万ドルは当初予算の換算額、落札額は250万元

中国政府調達網の2023年9月25日付公告は、中国日報社の「元宇宙業態製品研究・建設プロジェクト」を公開入札に付すと告知した。案件番号はZSLTC-2023-F081で、予算と上限価格は281.3万元、すなわち281万3,000人民元だった。当時の海外報道が示した約39万ドルは、この人民元建て予算を換算した数字である。

同じ案件番号の10月25日付落札公告には、受注先が清研灵智信息咨询(北京)有限公司、落札額が250万元と記載されている。したがって、予算281.3万元を、そのまま実際の落札額や支払済み金額として紹介することはできない。両者の差は31.3万元だが、それを利益や最終的な経費削減額と断定する資料も確認していない。

予算は発注時に示す枠、落札額は選定された提案の金額、実際の支払いは契約の履行に応じた別の記録である。NFT関連ニュースで「投資」と表現される場合でも、この案件は業者による開発・制作サービスの調達だった。NFTを39万ドル分購入したという意味ではない。

調達対象はNFT発行基盤だけでなく四つの業務

公告が挙げる業務は、中報数蔵発行プラットフォームの構築、中国内外向けNFTデジタルコレクションの制作・宣伝、AR・VR作品の制作・宣伝、メタバース空間の企画・構築・宣伝の四分野である。ウェブ上でNFTを売る画面だけを発注した案件として読むと、範囲を狭く捉えすぎる。

発行基盤を作る業務と、その上で扱う作品を作る業務は別だ。また、ARやVRは現実の風景に情報を重ねたり仮想空間を体験したりする技術で、NFTの発行と必ず同一の処理になるわけではない。これらを組み合わせて文化を伝える事業として理解すると、四つの業務が並ぶ理由が分かる。

当時の技術要件を紹介した報道では、中国の伝統文化を海外の読者にも伝える狙いが説明されていた。ただし、文化発信という目的があることから、すべての閲覧者がNFTを購入する必要があったとは言えない。作品を見る機能、デジタルな証明を保有する機能、取引する機能はそれぞれ確認が必要になる。

公告には四分野を含む総額が示されているが、今回確認した概要では分野別の費用内訳は分からない。250万元全額をNFT発行システム単独の開発費とする説明は避ける。

10月17日は初回の入札期限、3カ月は契約後の構築条件

初回公告に記載された入札書類の提出期限と開札予定は、2023年10月17日13時30分の北京時間だった。一方、プラットフォームを3カ月以内に構築・公開する条件は、プロジェクトの契約締結日から数えるものだ。応募期間そのものが3カ月だったわけではない。

また、作品ごとの納期は別に定められている。NFTデジタルコレクションは双方が形態を確認してから1カ月、AR・VR作品は内容と形態を確認してから2カ月、メタバース空間はテーマを確認してから2カ月という条件だった。全業務を公告日から一律3カ月で終えると読むのも正確ではない。

ここで示しているのは初回公告と落札公告に書かれた日付・条件である。実際の契約締結日や検収日まで確認したものではなく、期限から逆算して特定の日にサービスが公開されたと断定することはできない。入札の予定、契約上の履行期限、利用者向けの公開日は区別して記録する必要がある。

旧ニュースをいま読む際には、2023年の提出期限が現在の募集期限に見えないよう注意したい。発注先は後日の公告で公表されており、この記事は受注希望者を募る現行案内ではない。

海外市場の名前や処理能力は、提携実績と同じではない

当時の報道は、海外での発行先の例としてOpenSea、Rarible、SuperRare、Foundationを挙げていた。これは計画や要件の紹介であり、四社との提携契約がすべて成立したという発表ではない。市場の名前が仕様書に出てくることと、実際にそこで作品が発行され取引されたことは別の証拠を必要とする。

同様に、毎秒1万件以上の処理能力という説明も、当時報じられた技術上の要求として理解すべきだ。最終的に稼働したシステムの測定値を本記事が確認したわけではない。負荷試験の条件、処理する操作、採用チェーンなどが分からない状態で、速度や信頼性を保証する数字にはできない。

今回、政府調達公告の検索索引上の本文は確認できたが、添付の技術要件書や完全版入札文書を取得して細部を再照合するところまでは到達していない。このため、多通貨決済や入札機能など、旧記事で完成済みのように書かれていた細かな機能は、現在提供される機能として案内しない。

公開されている計画を評価するときには、要求されたもの、受注者が約束したもの、完成して利用できるものを順番に確かめる必要がある。この三段階を一つの「プラットフォームが実現した」という表現にまとめると、読者が実態以上の機能を期待してしまう。

2024年にはChinese FUの発表報道、全体の検収は未確認

2024年5月15日、OdailyはChina DailyとCD-Metastudioが最初のNFT「Chinese FU(福)」を発表したと報じた。これは、2023年の入札計画に続く動きを知るための情報になる。ただし今回、元の公式SNS投稿や作品の発行記録を直接照合できていないため、報道された発表として位置付ける。

仮に一つのNFT企画が公開されていても、発行基盤、AR・VR作品、メタバース空間という四分野すべての納品・検収が済んだことまでは証明しない。全体の完了を確認するには、発注者の検収資料や、各成果物の公開記録などが必要になる。本記事では、その確認が取れていない範囲を残している。

2026年9月27日時点の一般利用者向けサービスの継続状況、購入条件、日本からの利用可否、最新の販売価格や取引量も確認していない。古い発表記事から販売先へ直接誘導することはせず、現在の公式案内と取引対象の同一性を確認する必要があると整理する。

「確認できない」は「終了した」と同じではない。公告が示す調達の事実と、後続報道が示す作品発表の話を分ければ、存在する証拠を過小評価せず、同時に未確認の稼働実績を補ってしまうことも避けられる。

文化事業の調達を、暗号資産取引の解禁とは読めない

このプロジェクトの入札が行われた2023年には、2021年の中国人民銀行などの通知が、法定通貨と暗号資産の交換や関連する金融業務などへの規制を示していた。文化分野でNFT関連業務を調達したことだけで、これらの取引規制が解除されたとは解釈できない。政府調達公告と金融分野の規制は、確認する文書と対象が異なる。

現在の説明には更新も必要だ。2026年2月6日付の銀発〔2026〕42号は、暗号資産や現実資産のトークン化に関するリスクへの対応を定め、2021年の銀発〔2021〕237号を廃止すると明記している。旧記事の2021年通知だけを、現在も同じ形で有効な根拠として掲載するのは適切ではない。

新通知には、中国国内での暗号資産関連業務に対する禁止や、現実資産のトークン化をめぐる規定がある。ただし、この一般的な通知だけを根拠に、今回の個別の文化作品や当時の契約がどのように扱われるかを断定することはできない。NFTという名称だけで適法性を決めず、具体的な権利、取引、提供地域を区別して読む必要がある。

本件で確認できた中心的な事実は、281.3万元の予算で四分野のサービスが入札され、後に250万元で受注先が公表されたことだ。その事実を、価格上昇の見通しや投資の公的保証に置き換えることはできない。

よくある質問

Q. China Dailyは39万ドル分のNFTを買ったのですか?

A. 政府調達公告が示すのは開発・制作サービスの予算281.3万元です。後日の落札額は250万元であり、NFTの購入額を表す数字ではありません。

Q. OpenSeaなどとの提携は成立したのですか?

A. 当時の報道では発行先候補として名前が挙げられていますが、今回それぞれとの提携成立を確認したわけではありません。

Q. プラットフォームの完成と現在の利用を確認できますか?

A. 落札公告と後続NFTの発表報道は確認しましたが、全業務の検収、現在の提供条件や日本からの利用可否は確認していません。過去の納期から完成日を推定することも避けています。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。