暗号資産を買う前に確かめたいこと|取引所・銘柄情報・税金と2026年の法改正

旧版のこの記事は2022年8月に、暗号資産を買う前のチェック項目として、開発チームの発信、価格の動き、コミュニティの反応、供給量の四つを挙げていました。考え方の方向は今も通用しますが、「暗号資産には市場の規制がない」という記述は日本については誤りで、供給量の説明にも計算の合わない例が含まれていました。

しかも2026年7月には、暗号資産を金融商品取引法(金商法)の対象に移す改正法が成立し、ルールが大きく変わろうとしています。この記事では、特定の銘柄をすすめるのではなく、買う前に何をどこで確かめればよいかを、制度の変化も含めて整理し直します。

まず取引所:金融庁の登録業者かどうか

日本で暗号資産と円の交換サービスを提供するには、暗号資産交換業の登録が必要です。この制度は2017年4月から始まっており、「規制がない」わけではありません。金融庁は登録業者の一覧をPDFとExcelで公開しています。

同じページには、登録を受けずに日本の居住者を相手に営業していた事業者の一覧も載っています。金融庁は国内外の無登録業者に警告書を出しており、海外の大手取引所が名前を挙げられた例もあります。無登録の業者とトラブルになっても、日本の制度による利用者保護は期待しにくくなります。

口座を開く前に、社名が登録一覧にあるか、公式サイトの会社情報と一致しているかを確かめましょう。取引所の資産の守り方については分別管理とコールドウォレットの読み方で解説しています。

登録業者どうしでも、取り扱う銘柄、売買の方式(取引所形式か販売所形式か)、売値と買値の差にあたるスプレッド、日本円の出金手数料は違います。実際にかかる費用は、各社の公式ページの手数料一覧で比べるのが確実です。

銘柄の情報:誰が作り、何に使うのか

次に、その暗号資産がどんなものかを確認します。最低限見ておきたいのは次の点です。

  • 発行者や開発チーム:誰が作り、今も開発が続いているか。公式サイト、公式SNS、ソースコードの公開状況などで確かめます。
  • ホワイトペーパー:何のための暗号資産か、どんな技術で動くか、発行量はどう決まるかを書いた説明資料です。
  • 取り扱っている取引所:国内の登録業者で扱われているか。

旧版の記事は、開発チームが質問に積極的に答えているかを「投資に値するか、安全か」の判断材料にしていました。発信が活発なことは一つの目安ですが、SNSの反応は簡単に作れます。フォロワー数や盛り上がりだけで信頼できるとは判断できません。

金融庁は改正法の説明資料で、暗号資産の発行時のホワイトペーパーは記載があいまいだったり、実際のプログラムと内容が違ったりすることが多いという指摘を紹介しています。資料があること自体より、中身が具体的か、実態と合っているかが大切です。

供給量の読み方:総供給量・流通量・最大供給量

旧版の記事は「5,000個のトークンがあり3,000個が販売されたとき、アクティブなのは300個」と説明していましたが、数字の関係が成り立っていません。一般的なデータサイトでは、供給量を次のように分けて表示しています。

用語 意味
最大供給量 仕組み上、将来にわたって発行される上限。上限のない暗号資産もある
総供給量 現時点ですでに発行された量(焼却された分を除く)
流通供給量 総供給量のうち、市場で売買できる状態にある量

総供給量と流通供給量の差は、開発チームや初期の出資者が持っていて、一定期間は売れないようにロックされている分などです。ロックが外れる時期には、市場に出る量が一気に増える可能性があります。発行者がロック解除の予定を公表しているかも確認しておきたい点です。

時価総額は、価格に流通供給量を掛けて計算されるのが一般的です。流通量が少ないうちは、少ない売買でも価格が大きく動きやすくなります。

価格と取引量の見方

暗号資産の価格は、株式のような決算や配当ではなく、需要と供給で決まります。旧版の記事は取引量の変動が激しい通貨は不安定だとしていましたが、取引量には注意が必要です。取引所によっては、同じ参加者どうしの売買を繰り返して取引量を大きく見せる行為(見せかけの売買)が指摘されることがあります。

見るときは、複数の取引所で同じような価格と取引量が出ているか、一部の取引所に取引が偏っていないかを確かめます。短期間の値上がり率や「話題になっている」という評判は、判断の材料としては弱いものです。価格の急変に耐えられない額を入れないことが、どの銘柄でも共通する前提です。

2026年の法改正で何が変わるか

2026年4月10日に国会に提出された「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」は、同年7月15日に成立しました。暗号資産の部分の主な内容は次のとおりです。

  • 金商法への移管:暗号資産を、有価証券とは別の金融商品として金商法で規制します。暗号資産交換業者は「暗号資産取引業者」という名前に変わります。
  • 情報の公表:取引業者は扱う暗号資産の情報を、発行者は募集や売出しの際に自らの情報を、あらかじめ公表する義務を負います。
  • インサイダー取引の規制:国内の取引業者が扱う暗号資産について、公表前の重要な事実を知る立場の人が売買することを禁じます。
  • 無登録業者への罰則強化:拘禁刑の上限を3年から10年に引き上げます。
  • ステルスマーケティング対策:報酬を受けて売買の判断について意見を述べる場合、報酬を受けている旨の表示を義務づけます。

このほか、利用者保護の基準に合わない暗号資産は取り扱えなくなり、不正流出が起きたときの補償の原資として責任準備金を積み立てることも取引業者に求められます。利用者から暗号資産を借りて運用する、いわゆるレンディングも暗号資産取引業の対象に加わります。発行者が資金を集めるIEOでは、財務監査を受けていない場合に一人あたりの投資額に上限を設ける仕組みも導入されます。

暗号資産の部分の施行は公布から1年以内とされ、詳細は今後の政令や内閣府令で決まります。金融庁の資料によると、国内の暗号資産の口座開設数は1,400万を超えています。制度の詳しい整理は暗号資産と金商法の早見表を参考にしてください。

買ったあとの保管:取引所に置くか、自分で持つか

暗号資産は、取引所の口座に置いたままにする方法と、自分で管理するウォレットに移す方法があります。取引所に置く場合は、ログインを守ることがすべての前提です。パスワードの使い回しを避け、二段階認証は認証アプリなど乗っ取られにくい方式にしておきます。

自分のウォレットに移す場合は、復元フレーズ(秘密鍵を復元するための単語の並び)を失えば、誰にも取り戻してもらえません。紙に書いて保管し、写真やクラウドに残さない、誰にも教えないことが基本です。サポートを名乗って復元フレーズを聞き出す詐欺も多く、正規の事業者がそれを尋ねることはありません。少額で送金を試してから本番の額を動かすと、アドレスの打ち間違いによる失敗も防げます。

税金と相談先

日本の個人が暗号資産を売って得た利益は、原則として雑所得として扱われ、給与などほかの所得と合算して税額が決まります。売却だけでなく、ほかの暗号資産との交換や、暗号資産での買い物でも利益が確定したとみなされる点に注意が必要です。国税庁は暗号資産の税務上の取扱いをまとめた資料を公開しています。税制の見直しも議論されているため、申告の前には最新の資料を確かめてください。基本は仮想通貨取引の確定申告の基礎にまとめています。

「必ず儲かる」「今だけ」といった勧誘や、SNSで知り合った相手からの投資の誘いは、詐欺を疑うきっかけになります。困ったときの窓口は仮想通貨の詐欺相談窓口で紹介しています。

よくある質問

Q. 日本で暗号資産を買うときに使ってよい取引所はどう見分けますか?

A. 金融庁が公開している暗号資産交換業者の登録一覧に社名があるかを確認します。同じページには、警告を受けた無登録業者の一覧も掲載されています。

Q. 総供給量と流通供給量の違いは何ですか?

A. 総供給量はすでに発行された量、流通供給量はそのうち市場で売買できる状態にある量です。差の部分はロックされた保有分などで、ロックが外れると市場に出る量が増えます。

Q. 2026年の法改正はいつから適用されますか?

A. 改正法は2026年7月15日に成立しました。金融庁の資料では、暗号資産に関する部分の施行は公布から1年以内とされており、細かい基準は今後の政令や内閣府令で定められます。

Q. 暗号資産の利益にはどんな税金がかかりますか?

A. 個人の場合、原則として雑所得としてほかの所得と合算して課税されます。暗号資産どうしの交換や買い物でも利益が確定する点に注意し、国税庁の最新の資料で確認してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。