2025年3月27日、暗号資産への企業参加と、現実の金融資産をトークン化するRWAの動きが注目を集めた。GameStopのBTC投資方針やBUIDLのSolana対応など、具体的な発表が相次ぐ一方、予定と実績を混同しないことが重要になる。日本時間の同日午前までに確認できる情報を、六つの話題に整理する。
Convergeは機関向けDeFiの基盤、稼働予定は第2四半期
EthenaとSecuritizeは3月17日、共同開発するブロックチェーンConvergeを発表した。イーサリアム仮想マシン(EVM)に対応し、一般利用者向けのDeFiと、機関投資家向けのトークン化資産を扱う基盤を目指す。発表時の開始予定は2025年第2四半期で、3月27日に稼働済みのネットワークとして紹介すべきものではない。
構想には、Pendle、Aave LabsのHorizon、Morpho、Mapleなどとの連携が含まれる。機関向けの保管サービスや、ネットワーク間の接続、外部データを取り込むオラクルについても協力先が挙げられた。ただし、名前が発表に載ったことと、すべてのサービスが利用可能になったことは区別する必要がある。
発表では、誰でも参加できるアプリと、利用条件が設けられる機関向けの商品が共存する設計を示した。取引手数料にはUSDeとUSDtbを利用し、機関向けアプリの導入はホワイトリストで確認する方針だった。公開されたチェーンを使うことが、あらゆる金融商品への無条件の参加を意味するわけではない。
この取り組みの焦点は、金融商品の権利や利用条件を保ちながら、オンチェーンの取引や決済と結びつけられるかにある。今後確認すべきなのは、予定日に向けた実装状況と、各商品の発行・保管・利用者確認が実際にどう運用されるかである。
BUIDLはSolanaに拡張、ファンドの参加条件は残る
Securitizeは3月25日、BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund、通称BUIDLにSolana上の新しいシェアクラスを追加したと発表した。同時に、運用資産残高が最近10億ドルを超えたことも明らかにしている。新しいネットワークで利用できるようになることと、ファンド全体の資産が増えることは別の変化だ。
同発表によれば、対応先はAptos、Arbitrum、Avalanche、Ethereum、Optimism、Polygon、Solanaの7つになった。複数チェーンへ広がることで利用する基盤の選択肢は増えるが、対応チェーン数をそのまま投資額や利用者数として数えることはできない。
BUIDLは適格な投資家を対象とする商品であり、発表では日々の配当や投資家間の移転などを特徴として挙げている。一般に流通する暗号資産と同じ感覚で、誰でも任意のウォレットから購入できる商品だと理解すると、対象者や手続きの条件を見落とすことになる。
RWAの拡大を確認する際には、こうした個々のファンドの実績と、市場全体の集計を分けたい。同じ資産が複数のチェーンで扱われる場合や、ステーブルコインを統計に含める場合では数字の意味が変わる。残高の基準日と集計対象が分からない総額よりも、公式に示された商品の変更点から見る方が実態を捉えやすい。
Sparkの10億ドル枠は、トークン化資産の配分先選定
Spark Tokenization Grand Prixでは、BlackRockとSecuritizeのBUIDL、SuperstateのUSTB、Centrifugeを基盤とするJTRSYが選ばれた。配分の枠はそれぞれ5億ドル、3億ドル、2億ドル。これは競技の賞金として企業へ無条件に支払うものではなく、トークン化された金融商品への資産配分に関する計画である。
3月22日に掲載されたSparkの発表文は、最大10億ドルの配分が市場需要に左右され、Skyのガバナンス承認を経て導入されると説明している。一方、Centrifugeの3月18日付公式発表でも、Janus HendersonとAnemoyの提案が2億ドルの配分対象に選定されたことを確認できる。
候補の評価では、流動性や資金効率などが検討された。対象となるファンドは米国の短期国債などを扱うが、運用方針は同一ではない。BUIDLについては国債、レポ取引、現金への投資が紹介され、USTBとJTRSYについては短期の米国債を中心とする内容が説明されている。
この選定は、DeFi側が伝統的な金融資産を利用する具体例として重要だ。ただし、枠の決定、実際の資金配分、配分後の保有残高は別々の段階になる。今後の進捗を追うなら、承認の結果と実際に投入された金額を確認する必要があり、発表された上限をそのまま運用実績として加算することはできない。
GameStopはBTCを投資対象に追加し、社債発行も計画
GameStopは3月25日、取締役会が全会一致で投資方針の更新を承認し、準備資産の対象にビットコインを加えたと発表した。この短い開示が示したのは投資方針の変更であり、購入したBTCの数量や取得価格ではない。「既にバランスシートへBTCを計上した」とする説明では、意思決定と取引実績が混ざってしまう。
翌26日には、2030年満期、定期的な利払いのない転換社債を13億ドル発行する計画を公表した。初期購入者に最大2億ドルの追加取得オプションを付ける案も含まれる。米国時間26日のこの発表は、日本時間27日午前に読める情報として、前日の方針変更とあわせて捉えられる。
調達資金の使途は一般事業目的で、その中に投資方針に沿うBTCの取得を含めるとされた。13億ドルすべてを必ずBTCへ投入すると決まったわけではない。発表は市場環境などの条件にも触れており、社債発行の計画と、調達が完了した状態も区別する必要がある。
転換社債は、条件に応じて現金や株式などによる決済が行われる仕組みだ。企業のBTC採用を評価するときは、購入方針だけでなく、資金をどう調達し、どのような返済・転換条件を負うかも関係する。企業がBTCへの投資を認めたことから、その会社の株式とBTCそのものが同じ値動きをすると考えることはできない。
SECは取引・保管・トークン化・DeFiの対話を予定
米証券取引委員会(SEC)は3月25日、暗号資産タスクフォースが追加の円卓会議を4回開くと発表した。対象は取引、カストディ、トークン化、DeFiという異なる論点で、暗号資産に関する制度の課題を議論する機会として設けられた。
当初の日程は、取引を扱う4月11日、カストディを扱う4月25日、トークン化を扱う5月12日、DeFiを扱う6月6日だった。現在の告知には最後の会議を6月9日へ変更したとの追記があるが、3月27日時点の記録では、当初公表された日程として理解する必要がある。
会議は公開で、SECのウェブサイトから視聴できる予定とされた。タスクフォースが掲げる課題には、規制の境界を明確にすること、登録や情報開示の枠組みを検討することなどが含まれる。事業者と投資家の双方にとって、どの行為にどのような条件が適用されるかは重要な問題だ。
ただし、対話の場を設けることは、個別の商品やサービスを承認する処分とは違う。トークン化に関する会議の開催だけで、発行・販売の条件が一律に免除されるわけではない。議論の内容と、その後に正式な規則や判断として公表されるものを分けて追うことが必要になる。
「最後のリスクが消えた」はHougan氏の市場評価
Bitwiseの最高投資責任者Matt Hougan氏は3月25日のメモで、米国の戦略的ビットコイン準備の設置を受け、BTCの存続を脅かす最後のリスクが消えたという見方を示した。念頭に置いていたのは、米国政府がビットコインを禁止するのではないかという懸念である。
同氏は、初期の取引所や保管の不安、技術面の不確実性が時間とともに変化し、現物ETFなどによって機関投資家の参加環境も整ってきたと論じた。その延長に米政府の準備政策を位置づけたもので、政府当局が世界中の規制リスクの消滅を宣言したわけではない。
実際、同じメモの注意事項には、価格の急変、市場操作、サイバーセキュリティ、投資資金を失う可能性などが記されている。政策環境を好意的に評価する見解と、BTCを無リスクな資産とみなすことの間には大きな違いがある。国や地域ごとの制度まで、一つの米国政策から結論づけることもできない。
この日のニュースに共通するのは、金融機関、企業、規制当局がそれぞれの立場で暗号資産への関わり方を具体化している点だ。購入方針、配分先の選定、ネットワークの拡張、制度の議論は進展の証拠になる。一方で、その進展を将来の価格や安全性の保証へ読み替えず、次にどの実績が公表されるかを追う姿勢が大切になる。
よくある質問
Q. GameStopは3月25日にBTCの購入完了を発表したのですか。
A. 公表したのは、準備資産の対象にBTCを加える投資方針の更新です。その開示には取得数量や取得価格は記載されていません。
Q. Sparkの10億ドル枠は賞金ですか。
A. 選定したトークン化金融商品へ資金を配分するための枠です。市場需要やガバナンス上の承認が関係し、選定と全額投入は別です。
Q. Convergeは3月27日に利用できたのですか。
A. ここで取り上げた3月17日の発表は、2025年第2四半期の開始を予定する内容です。稼働済みの実績として紹介していません。
この記事の出典
- Securitize:3月17日のConverge発表
- Securitize:3月25日のBUIDL Solana対応発表
- Spark発表文/Crypto Reporter:Grand Prixの選定結果
- Centrifuge:3月18日の2億ドル配分対象選定
- GameStop/SEC提出資料:3月25日の投資方針更新
- GameStop:3月26日の転換社債発行計画
- SEC:暗号資産に関する追加円卓会議の告知
- Bitwise:3月25日のMatt Hougan氏のメモ
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




