2022年11月に「期待のNFT」とされた5銘柄のその後|プレセール型の見方

旧版の記事は2022年11月、「投資に値する」NFTプロジェクトとしてTamadoge、Lucky Block、Battle Infinity、Mushe Token、Silksの5つを挙げ、トークンの買い方やコントラクトアドレスまで載せていました。当時、これらの多くは正式な上場の前に一般から資金を集める「プレセール」で話題になった銘柄で、暗号資産メディアには同じような紹介記事やプレスリリースが数多く出回っていました。

この記事は、特定の銘柄の購入をすすめるものではありません。5つのプロジェクトについて、公式発表や報道で確かめられた事実と、その後の状況を並べ、旧版の誤りを正します。そのうえで、プレセールで資金を集めるトークンやNFTを見るときに、何を確認すればよいのかを整理します。

5つのプロジェクトは何をうたっていたか

名称 主な触れ込み 2022年の主な出来事
Tamadoge(TAMA) 育成ゲーム風のペットNFTと、遊んで稼ぐ仕組み プレセールで1,900万ドルを調達、9月27日にOKXに上場
Lucky Block(LBLOCK) ブロックチェーンを使った抽選・懸賞の場 1月にPancakeSwapで取引開始、3月にNFT「Platinum Rollers Club」、7月にERC-20版へ移行
Battle Infinity(IBAT) ファンタジースポーツなどを集めたゲームの場 7月11日に始めたプレセールが25日で完売、8月17日にPancakeSwapで取引開始
Mushe(XMU) ウォレットや取引所、仮想空間をまとめた経済圏 10月31日にOpenSeaでハロウィーンのNFTコレクションを公開
Silks 実在の競走馬と連動するNFTの競馬ゲーム 4月から馬のNFTを販売

表の中身はいずれも各プロジェクトの発表や当時の報道で確認できた範囲です。旧版の記事には、Battle Infinityが「先行販売から25日間で16,500以上のNFTゲームを販売」とありましたが、実際には25日で完売したのはトークンのプレセールで、16,500というのは目標額として示されたBNB(バイナンスのチェーンの暗号資産)の量でした。

Tamadoge:上場直後の高値からの大幅な下落

Tamadogeは、1990年代に流行した携帯型育成ゲームを思わせるペットのNFTと、ゲームで得られるトークンTAMAを組み合わせたプロジェクトです。発表資料によると、2022年のプレセールで1,900万ドルを集め、9月27日に大手取引所OKXで取引が始まりました。

2026年5月に公開された価格の分析記事によると、TAMAは上場直後の2022年9月に付けた最高値0.1944ドルから99%以上下落し、時価総額は50万ドルを下回る水準でした。同記事は、取引量が日によってほとんどない状態になり、価格が不安定になりやすいことも指摘しています。旧版の記事にあった「OpenSeaで売り切れた後、最初に発売されたTAMA NFTは最も人気がある」という記述は、裏付けを確認できませんでした。

Lucky BlockとBattle Infinity:その後の公式情報は乏しい

Lucky Blockは、暗号資産を使った抽選や懸賞を掲げたプロジェクトです。2022年1月、バイナンス系のチェーンで動くDEXのPancakeSwapに上場し、3月には保有者が特別な抽選に参加できるNFT「Platinum Rollers Club」を発表しました。公式の説明ではこのNFTは3,500点の限定とされており、旧版の「1万件」とは食い違います。7月にはイーサリアムの規格に合わせた新しいトークンへの移行も行われました。

Battle Infinityは、インドを主な市場として、ファンタジースポーツなど6つの機能をまとめたゲームの場をうたっていました。プレセールの後、2022年8月17日にPancakeSwapで取引が始まっています。

両プロジェクトとも、2026年9月時点で、当初の構想がどこまで実現したのかを示す公式の発表や主要な報道は、今回の調べでは確認できませんでした。また、抽選や懸賞に暗号資産を賭ける仕組みについては、日本の法律との関係に注意が必要です。海外の事業者が現地の許可を得ていたとしても、日本にいながら賭けに参加すれば賭博罪に問われうる、というのが警察庁の示している見解です。

MusheとSilks:コレクション公開とその後

Musheは、ウォレット、分散型取引所、交流サービス、仮想空間などをまとめた「Mushe World」という構想を掲げていました。2022年10月31日にOpenSeaでハロウィーンをテーマにしたNFTコレクションを公開したことは、当時の報道で確認できます。旧版の記事は、Uniswapでトークンを買う手順とコントラクトアドレスを載せていましたが、このような情報は偽のトークンにつながる危険もあるため、本稿では掲載しません。その後の開発状況は、今回の調べでは確認できませんでした。

Silks(Game of Silks)は、実在するサラブレッドの一頭一頭を「デジタルの双子」としてNFTにし、現実のレース結果に応じて保有者に報酬を払う仕組みでした。米国の競馬専門紙BloodHorseによると、2期目の馬のNFTが振るわず、1期目の報酬の支払いが止まり、開発もほぼ停止したと訴状は主張しています。2025年2月24日には、未登録の証券を400万ドル以上販売したなどとして、購入者が米フロリダ州南部の連邦裁判所に集団訴訟を起こしました。これはあくまで原告側の主張で、裁判所の判断は今回の調べでは確認できませんでした。

プレセール型のトークン・NFTを見るときの注意点

5つの事例に共通するのは、「上場前に買えば値上がりする」という期待を前面に出して資金を集めていた点です。プレセールそのものが違法というわけではありませんが、購入者が負うリスクは大きくなりがちです。検討するときは、少なくとも次の点を確かめてください。

  1. 記事の性格:紹介記事の見出しや末尾に「Press Release」「Sponsored」などの表示がないか。広告であれば、書き手が中立とは限りません。
  2. 運営者の実在性:運営会社の所在地、責任者、監査を受けたかどうかが公開されているか。
  3. トークンの設計:運営が後から追加発行できる仕組みになっていないか、運営側の保有割合が大きすぎないか。
  4. 取引の実態:上場後の取引量が十分にあるか。取引量が少ないと、売りたいときに売れないことがあります。
  5. 約束の中身:ロードマップの「予定」は約束ではありません。予定がどれだけ実現したかを後から確かめる習慣をつけましょう。

NFTプロジェクトを評価する視点はNFTプロジェクトを分析する5つの指標で、注意したい勧誘のパターンはNFTのトラブル事例をまとめた記事で扱っています。

日本の居住者が知っておきたい制度

日本の利用者を相手に暗号資産の売買や交換の場を提供する事業者は、資金決済法の登録を受けなければなりません。海外のプレセールや、登録のない海外の取引所を使った取引では、トラブルが起きても日本の制度による保護や相談の枠組みが働きにくくなります。

また、分散型取引所で買ったトークンやNFTでも、売却や交換で利益が出れば、原則として雑所得として課税の対象になります。価値が大きく下がったトークンを持ち続けている場合でも、取得価額の記録は残しておくことが大切です。

不審な勧誘を受けたときや、出金できないなどのトラブルに遭ったときは、金融庁の金融サービス利用者相談室や消費者ホットライン(188)に相談できます。

よくある質問

Q. この記事で紹介された5銘柄は、今から買う価値がありますか?

A. この記事は特定の銘柄の購入をすすめるものではなく、投資の判断材料となる助言も行いません。本文では、公式発表や報道で確認できた事実と、確認できなかった点を分けて記載しています。

Q. プレセールで買ったトークンは、上場すれば必ず値上がりしますか?

A. いいえ。Tamadogeのように上場直後に高値を付けても、その後に大きく下落する例があります。上場後の取引量が少なく、売りたいときに売れない場合もあります。

Q. Silksの訴訟はどうなりましたか?

A. 2025年2月24日に購入者が米フロリダ州南部の連邦裁判所に集団訴訟を起こしたと報じられました。訴状の内容は原告側の主張で、裁判所の判断は今回の調べでは確認できませんでした。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。