7月24日から25日にかけて動いた材料は多いが、方向はバラバラである。ダウは3営業日ぶりに反発し、ナスダックは続落した。KOSPIは5.72%安でサイドカーが発動し、日経平均は2.73%安で引けた。原油は金曜に一時100ドル
7月24日から25日にかけて動いた材料は多いが、方向はバラバラである。ダウは3営業日ぶりに反発し、ナスダックは続落した。KOSPIは5.72%安でサイドカーが発動し、日経平均は2.73%安で引けた。原油は金曜に一時100ドルを割ったが、週間では約10%高である。
この日を「AI相場の終わり」と読むと外す。下げたのは市場ではなくセクターであり、しかもそのセクターの中でも要因は米国・韓国・日本で別物だった。ここでは確定した数字と、報道ベースの数字と、まだ確認が取れていない数字を分けて並べる。
1. 下げたのは市場ではなくセクターだった
- 7月24日の米市場で、ダウ工業株30種平均は前日比235ドル60セント(0.45%)高の5万1947ドル25セントで引け、3営業日ぶりに反発した。一方でナスダック総合は続落している。半導体はこの日も売られ、フィラデルフィア半導体指数(SOX)は取引中に3%超下げる場面があった。
- アジアの下げはこれより深い。韓国KOSPIは5.72%安の6,690.62で引け、6月の高値からおよそ30%下落した。取引時間中にはサイドカー(プログラム売り注文の5分間停止)が発動している。日経平均は2.73%安の6万4,611円台。前場だけで1,853円85銭(2.79%)安の6万4,568円75銭まで下げ、下げ幅は一時2,000円を超えた。
- ここで押さえるべきは、下げの範囲である。市場全体のリスク回避なら、ダウも下げる。だがダウは上げた。売られたのは半導体というセクターであって、株式市場そのものではない。
- 内需・配当・金融で組んでいた投資家にとって、この日は相対的に有利に働いた。半導体関連に寄せていた場合、分散が機能しなかった日になる。
2. 韓国の下げは「半導体比率」だけでは説明できない
- KOSPIの5.72%安を「半導体の比重が高いから」で片づけると、来週も読み違える。報道では、地政学リスクによる回避姿勢に加えて、中国の新規公開株への資金シフト、ヘッジファンドの売りが背景として挙げられている。
- さらに需給面の材料がある。韓国金融委員会がレバレッジ型ETFの証拠金要件を厳格化し、施行を7月31日に前倒しした。これを受けて個人投資家がCFDなど高リスクの派生商品へ移っているとされ、レバレッジ取引を通じたボラティリティの増幅が懸念されている。
- つまり韓国は、半導体の売りに国内固有の規制・需給要因が重なっている。米国の半導体安をそのまま韓国に当てはめても、下げ幅の差は説明できない。逆に言えば、米国の半導体が下げ止まっても韓国が同じテンポで戻るとは限らない。
3. インテルは決算を上回って8.6%安
- 7月23日夕に発表されたインテルの2026年4〜6月期決算は、売上高161億2,800万ドル・前年同期比25%増で、市場予想の144億2,000万ドルを約12%上回った。リップブ・タンCEOは15年以上で最高の四半期増収率だと述べている。時間外では12%超の上昇となった。
- それが24日の通常取引では一転し、株価は一時8.6%安まで売られた。市場からは、AI需要をめぐる好材料はすでに織り込まれており、決算を受けて売りが出やすかったという指摘が出ている。エヌビディアなど他の半導体株にも売りが波及した。
- ここが今週いちばん重要な変化である。 好決算が買い材料にならなくなった。良い数字が出ても、それが期待をどれだけ超えたかでしか反応しない相場に切り替わっている。
- 来週は大手クラウド事業者の決算が控える。設備投資額の増加という見出しだけを見て強気に振ると、インテルと同じ反応を食らう。見るべきは投資額ではなく、その投資に対応する売上と粗利が出ているかどうかだ。
4. 原油は「緩んだ」のではない
- ここは元の整理を訂正する必要がある。原油の圧力は緩んでいない。
- たしかにブレント先物は金曜に下げ、一時100ドルを割る場面があった。だが週間では約10%高であり、前日には5月以来はじめて100ドル超で引けている。現物市場はもっと強く、指標のデーテッド・ブレントは木曜に1バレル105.70ドルと5月下旬以来の高値をつけ、北海フォーティーズは金曜に108.77ドルまで上昇した。日本時間25日午前の時点でブレント先物は100ドル台に戻っている。
- 背景は外交の進展ではなく、供給の混乱である。親イラン武装組織フーシが紅海でサウジアラビア関連の石油タンカーを攻撃したと伝わり、トランプ大統領は大規模な軍事報復の姿勢を示した。カスピ海パイプライン・コンソーシアムは黒海ターミナルでの積み込みを停止し、カザフスタンの石油輸出の約8割が妨げられているとされる。
- 一方で24日のダウ反発の材料は、米国とイランの交渉再開への期待だった。25日には、トランプ大統領がイランは真剣に交渉していると評価したと報じられている。
- つまり原油は「地政学プレミアムが乗ったまま、交渉期待でわずかに緩んだ」状態であり、「圧力が消えた」ではない。原油と金利が下がれば半導体は戻るという前提で待っている場合、その前提はまだ検証すらされていない。
5. 日本の超長期金利──4%は初めてではない
- 7月25日朝までに日本の40年国債利回りが1日で10bp上昇し4%を超えた、という指摘が出ている。この数値は現時点で一次確認が取れていないため、報道・観測ベースとして扱う。ただし、仮に事実だとしても「初の4%乗せ」ではない点は押さえておきたい。
- 40年債利回りは1月20日に過去最高の4.215%をつけ、3月30日に4.03%、5月11日には4.04%と、2026年に入って複数回4%台に乗せている。しかも5月下旬以降は40年債の利回りが30年債を下回る逆イールドが常態化していた。4%台の金利水準を好感した海外投資家の買いに加え、生命保険会社の金利リスク対応と年金基金のリバランスが最長ゾーンの金利を押し下げていたためである。
- したがって「4%になれば生保・年金の資金が国債に戻る」という説明は、すでに一巡している。今回の上昇で本当に確認すべきは水準ではなく、買い手が引いたのか、供給懸念が増えたのかという中身のほうだ。
6. 本命リスクは内閣改造と消費税
- 超長期ゾーンにとって、7月24日の最大の材料は金利そのものではなく政治である。
- 高市早苗首相は、特別国会が事実上閉幕したことを受けて内閣改造と自民党役員人事の検討に入る方針だと報じられた。実施時期は8月か9月が見込まれる。焦点は片山さつき財務相ら主要閣僚と鈴木俊一幹事長の処遇であり、連立を組む日本維新の会からの入閣も想定されている。そして首相は、悲願としてきた飲食料品の消費税減税に踏み切るかどうかを近く判断するとされる。
- 超長期債にとって、財務相人事と消費税減税の判断はセットで効く。減税に踏み切れば歳入減と国債増発の思惑が同時に立ち、40年ゾーンの需給に直撃する。1月の40年債4.215%も、消費税減税の示唆をきっかけとした財政拡張懸念が引き金だった。
- 為替はNY市場で1ドル=163円82〜92銭。163円台の円安は輸出企業の追い風として効く一方、超長期金利の上昇は国内資金の引き上げ圧力として効く。この二つが同時に長く続く組み合わせではない。
7. 日経とTOPIX──指数の中身を選ぶ局面
- 日経平均先物が下げる一方でTOPIX先物は上げる、という分岐が指摘されている(要確認)。AI・半導体株が重荷になる一方、日本株全体は崩れていないという構図だ。24日の下げでも、キオクシアなど半導体・ストレージ関連の下げが指数を押し下げた形になっている。
- 日経平均は値がさの半導体関連の寄与度が高く、TOPIXは幅広く分散している。同じ「日本株」でも、この局面では動きが逆になりうる。指数を買うなら、どちらの中身を買っているのかを確認したい。
来週の確認チェックリスト
- 大手クラウド事業者の決算 — 設備投資額ではなく、対応する売上と粗利が出ているか
- 半導体の反応 — 好決算に対して株価が上がるか。上がらなければ「織り込み済み」相場が継続
- ブレント原油 — 100ドルを挟んでの推移。交渉が滞れば現物指標(デーテッド・ブレント)が先に跳ねる
- 米イラン交渉 — 「真剣に交渉」の評価が具体的な合意に進むか、発言止まりか
- 40年債・30年債の利回り差 — 逆イールドが解消に向かうなら、最長ゾーンの買い手が引いた合図
- 内閣改造の時期と財務相人事 — 8月か9月か。片山財務相の処遇が超長期ゾーンの直接材料
- 飲食料品の消費税減税の判断 — 実施なら財政拡張懸念が再燃、超長期は再び振れる
- KOSPI — 7月31日施行のレバレッジETF証拠金規制。米国株が戻っても韓国が戻るとは限らない
まとめ
- 7月24日に起きたのは、市場全体の崩れではなくセクターの調整である。ダウは3日ぶりに反発し、下げたのは半導体だった。
- そして、その半導体の下げも一枚岩ではない。米国は「好決算でも織り込み済み」、韓国は「レバレッジ規制と需給」、日本は「値がさ半導体の寄与度」と、要因が違う。
- 原油は緩んでいない。40年債の4%は初めてではない。この二つの前提を直すと、来週の見方は変わる。焦点は、クラウド大手の決算で投資額ではなく回収の数字が出るかどうか、そして内閣改造と消費税減税の判断が超長期ゾーンをどう動かすかの二点に絞られる。
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出典: @LaboNft のX記事




