Duneの10ダッシュボードを読み直す:BRC-20から資産追跡まで

2023年5月10日の記事では、Ordinals、BRC-20、ミームトークン、取引所の準備資産などを調べる10件のDuneダッシュボードを紹介しました。オンチェーンの記録を図表で見る入口になりますが、グラフがあるだけで、その数字の意味や集計の正確さまで保証されるわけではありません。

ここでは当時掲載した10件を用途別に整理し、何を調べるために紹介されていたか、数値を読む際に何を確かめるべきかを説明します。2026年9月27日の調査では各ページの現行グラフやクエリを十分に取得できなかったため、最新ランキングや現在値の比較としては扱っていません。

Duneは集計結果と説明文を組み合わせる道具

Duneの公式ドキュメントによると、ダッシュボードは、クエリの結果を表示するグラフなどの可視化と、説明用のテキストを組み合わせて作ります。つまり、一枚の画面に並ぶ数字は、作成者が選んだデータ、期間、抽出条件を通した結果です。見出しの印象だけでなく、その下の説明や元のクエリも重要になります。

例えば「取引数」であれば、ブロックチェーンのトランザクションを数えているのか、NFTの売買イベントを数えているのかで意味が変わります。「ユーザー」も、通常は観測対象のアドレスなどから集計するため、そのまま実人数とはいえません。表示名と集計単位を対応させることが最初の確認です。

更新時刻にも注意が必要です。Duneは、常にすべてのダッシュボードが自動更新されるとは説明していません。Runボタンによる再実行や、一定間隔での実行予約が用意されています。公式のスケジュール説明も、表示データが古くなる場合があるとしています。今日開いたページでも、今日までのデータとは限りません。

OrdinalsとBRC-20の3件は集計対象を分ける

1.Ordinals Marketplacesは、当時の記事ではマーケットプレイス間の取引量、取引数、市場シェア、利用アドレスを比べるためのパネルとして紹介されました。市場別の比較では、対象とするマーケットがどこまで含まれるかが分母を決めます。未収録の市場がある場合、そのシェアをOrdinals市場全体のシェアとは呼べません。

2.Bitcoin Ordinals Analysisは、インスクリプションの数や手数料、テキスト・画像などの種類を見る目的で挙げられていました。インスクリプションの作成と、マーケットでの売買は違う行為です。作成数が増えたことだけから、販売数や売上も増えたとは判断できません。旧記事ではこの2件の見出しが内容と逆になっていたため、URLと用途の対応を修正しました。

3.BRC-20は、トークン関連の処理件数、手数料、ミントなどを調べる入口として紹介されています。BRC-20に関する処理を数えるときは、何を有効な操作とみなすか、ミントと移転をどう分けるかも確認点です。Ordinalsに関する全件数と、特定のトークン規則に従う件数を混ぜないようにします。

この3件は、作品・データの作成、トークン操作、市場での取引という異なる面を見るために使い分けると、数字を取り違えにくくなります。現在の掲載項目や数値が2023年当時と同じかどうかは、今回確認できていません。

ミームとETH大口保有の2件はアドレスを観察する

4.Meme Narrative Insightsは、2023年4月のPEPEなどの購入アドレスを見るために紹介されたものです。旧記事には、4月19日以前のPEPE購入に着目した上位15アドレス、複数のミームトークンに関わる上位20アドレスという説明がありました。これは当時の抽出条件であり、現在の有力保有者リストとして扱えるものではありません。

5.ETH Whales Trackingは、大量のETHを持つアドレスの保有・取引の動きを調べるためのパネルです。タイトルには上位1,000保有者との表現がありますが、アドレスの残高と個人の資産額は一致しません。取引所の管理アドレスやコントラクトには、複数の利用者に関わる資産がまとまっている場合があります。

早い時期に購入していたことや残高が大きいことだけで、その所有者が内部情報を持っていたとはいえません。アドレスの送金先が分かっても、実名や売買の動機まで分かるわけではありません。追跡結果を特定人物への憶測や、その取引をまねる根拠に広げないことが大切です。

また、送金が見えても売却とは限りません。自分が管理する別のアドレスへ移す、保管先を変える、コントラクトへ預けるといった可能性もあります。大口の動きを読むなら、残高の増減だけでなく、その処理が何をしたものかという文脈が必要です。

Bitcoin指標と準備資産の2件を読む際の限界

6.Bitcoin Key Metricsは、供給量、時価総額、アドレス活動、ブロック関連の指標などをまとめるものとして紹介されました。価格に関わる指標と、チェーン上の活動を測る指標を一緒に見られる構成ですが、両者の動きが似ているだけで因果関係が分かるわけではありません。

例えば、金との相関を扱う図表なら、日次・週次などの頻度、何日分を見るか、どの価格データを採用したかで値が変わります。半減期までのカウントダウンも、2023年の画面に示された数字を現在の予定日として読み替えることはできません。複数の指標が同じ基準時刻かどうかも確認点です。

7.CEXs Proof of Reserveは、中央集権型取引所に関係する準備資産の残高や流出入を見る目的で掲載されました。観測対象のアドレスから見える資産と、取引所全体の債務や支払能力は別です。出金が増えたことを、会社の損失額とすることもできません。

米PCAOBの投資家擁護部門は2023年3月、準備資産の検証報告は監査ではなく、負債や資産の権利関係などを十分に扱わない可能性があると説明しています。Dune上の残高パネルを、そうした報告以上の保証として扱う理由もありません。名称にProof of Reserveとあっても、負債を含む財務諸表監査を実施したという意味にはなりません。

NFT融資とWeb3の入口を見る残り3件

8.NFTfiは、NFTを利用する融資の件数、取扱高、残高、利息や手数料などを見るために紹介されました。累積の融資額と現在残っている貸付残高は違う指標です。借り換えや同じ資産を使った複数回の融資が含まれるかも確認しないと、参加者や担保の規模を重複して捉える可能性があります。

利息の数字も、支払予定なのか、実際に支払われた額なのかで意味が変わります。貸付総額をそのまま貸し手の利益と呼ぶことはできません。比較する場合は、返済、期限超過、担保の扱いをどのように集計しているかまで見る必要があります。

9.People Using Web3は、初めての取引やコントラクト作成、ステーブルコインとの接点などをアドレス単位で見るものとして紹介されました。10.First Activity Analysisは、新しいアドレスの最初の活動先を調べる入口です。

この二つでは「初めて」の範囲が重要です。特定のチェーンで初めて観測したのか、集計対象の期間内で初めてなのか、特定のアプリを初めて使ったのかを分けます。1人が複数のウォレットを作ることもあるため、新規アドレス数の増加をそのまま新しい人間の利用者数に置き換えることはできません。

最新値を引用する前に確かめたいこと

各パネルを実際の分析に使うなら、まずグラフの集計期間と最終実行時刻を確認します。次に、件数・アドレス数・トークン数量・ドル換算額のどれを表示しているかを読み、クエリの対象テーブルや条件、除外処理を確かめます。同じ「出来高」でも、集計範囲が異なる二つの数字をそのまま比較することはできません。

対象市場を追加したり集計式を修正したりすると、過去の値も変わる場合があります。引用するときはダッシュボードのURLだけでなく、確認日時、対象期間、単位を併記すると、後から数字の意味を追いやすくなります。スクリーンショットだけでは、集計条件の変化までは分かりません。

今回、旧URLの一部はページ名やメニューを取得できたものの、最新チャートの値やSQL本文まで確認できませんでした。取得できなかったページについても、更新停止や削除が確定したとはしていません。掲載した10件は2023年に紹介された分析テーマの案内であり、現在もすべてのデータが正常に更新されていると検証した一覧ではありません。

よくある質問

Q. 掲載された10件は現在の人気ランキングですか。

A. いいえ。2023年5月の記事で紹介された10件を用途別に整理しています。現在の人気順位や全ページの稼働を確認した一覧ではありません。

Q. アクティブアドレス数は利用人数と同じですか。

A. 同じではありません。1人が複数アドレスを使う場合も、複数人の資産が一つの管理アドレスに集まる場合もあります。集計対象と単位の確認が必要です。

Q. 準備資産のパネルで取引所の安全性を確認できますか。

A. 観測対象の残高や流出入を調べる材料にはなりますが、負債や資産の権利関係、内部統制まで確認する監査とは異なり、支払能力の保証にはなりません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。