7月18日:ETF資金流入と24/7取引構想で一変する暗号資産市場

▽ 要約

ETF資金流入BTC 7.99億ドル・ETH 7.27億ドルが1日で流入、歴代最高を更新
企業トレジャリーStrategy 1,285億ドルの時価総額へ、BSTRは3万BTC保有でSPAC上場を発表
ステーブル供給USDT流通量1,602億ドル突破、新興市場で“デジタルドル”需要拡大
24/7取引構想CMEが週末稼働を検討、伝統金融と暗号資産の境界が消失へ
実需×期待Base App公開で“アプリ型L2”が台頭、決済とソーシャルを一体化

「ETF資金流入」「企業型トレジャリー」「24/7取引」
暗号資産市場は“投機の場”から“資本市場”へと脱皮しつつある。
投資家が今最も知りたいのは「資金はどこから入り、どのテーマに集まるか」。
結論から言えば、ETFという王道マネーと、企業財務に組み込まれるビットコインが流動性の核心だ。本稿ではその根拠と、市場変革を支える実需(USDT決済・Base App決済)を詳述する。

現物ETFが示す“供給ショック”

  • 7月第3週、BTC・ETH現物ETFは合計15億ドル超を吸収し、日量ベースで過去最大。
  • 米SECデータによれば、IBITへ7.64億ドル、ETHAへ4.99億ドルが流入。発行済みETHの4.02%をETFがロックした計算だ。

需給インパクト

  1. BTCハーフサイクル後のマイナー売り圧を相殺
  2. ETHはPoS報酬4〜6%とETF買いで二重の減少圧力

企業トレジャリーが牽引する“第四の需要曲線”

  • 米国で“戦略的BTC準備(SBR)”の概念が浸透し、企業はBTCを保有することでP/NAVを押し上げる
  • Strategyは5年間で時価総額20億→1,285億ドル。BSTRは3万BTC保有でNASDAQ上場を申請。Windtree、Matadorも追随。

ビジネスモデル別分類

区分代表銘柄保有戦略リスク
ソフト開発型Strategy債券→BTC転換金利上昇,規制
SPAC型BSTRBTC担保+PIPE融資ディスカウント
ファンド型SharplinkETH集中流動性

Tether流通量1600億ドルが示す“デジタルドル需要”

  • 新興国でUSDTが事実上のドル代替。
  • Tron・Ethereum・Solana合計で1,602億ドル発行、半数以上が新興国OTCに滞留。Tetherは7月にイーサリアムで20億USDTを追加鋳造。

マクロ視点

  • インフレ国:法定通貨が年率50%の購買力低下→USDTシフト
  • 企業決済:原材料輸入やフリーランス支払いをUSDTに一本化

CMEが切り開く“24/7取引インフラ”

  • 24時間365日稼働するデリバティブ市場がメインストリームへ。
  • CMEは既にSOL・XRP先物で数十億ドルの出来高を記録し、週末取引PoCを公表。モノライン取引所優位が揺らぐ。

マーケットへの影響

  • ボラティリティ平準化
  • 金融機関のヘッジコスト低下
  • OTC流動性をオンチェーンに吸収

Base Appローンチが示す“アプリ型L2”

  • L2は単なるスケーリング手段から、スーパーアプリ戦略へ進化。
  • Base AppはFarcasterソーシャル、Zora NFT、USDC即時決済を統合し、Flashblocksで200ms決済を実現。

主要ポイント

  1. Sign‑in with Base:メールやXアカでシームレス登録
  2. Base Pay:NFCでUSDC支払い、Shopify加盟店対応
  3. AI代理人:チャットUIでDeFi操作、Treasury管理

今週の注目トークン

ティッカーテーマコメント
BSTR企業トレジャリー上場SPAC、BTC保有量3万枚。リスクはPIPEロックアップ。
ETHAETH現物ETF単日流入首位。ETF供給枯渇懸念で価格牽引。
USDTステーブル流通1602億ドル、Tether Treasury鋳造20億枚。
BASEL2/スーパーアプリ新ロゴ&10x性能でdApp流入期待。
CME_TTradFi週末取引PoC、デリバティブ流動性受益。

▽ FAQ

Q. BTCとETHどちらが今後パフォーマンス優位?
A. ETF残高拡大ペースはETHがBTCの約1.4倍。供給削減(バーン+ロック)の同時作用で、短中期ではETHが相対的に優位。

Q. 企業型トレジャリー銘柄の注意点は?
A. PIPE投資家のロックアップ、償還請求リスク、SEC情報開示義務に伴う価格変動を要チェック。

Q. USDT供給増はインフレ懸念?
A. 今回の20億USDTは主に流動性補充。実需が伴う限り、過剰懸念は限定的。

■ ニュース解説

現物ETFの“連続資金流入”は、マクロ要因(米インフレ鈍化・利下げ観測)とミクロ要因(企業決算での暗号資産計上増)双方が背景。
一方、CMEの24/7取引構想は“ビットコインは休まないが、ウォール街は休む”という矛盾を解消する動きであり、伝統金融と暗号資産の垣根を消し去る可能性を持つ。
Base Appの登場は、“チェーンがアプリを待つ”時代から“アプリがチェーンを牽引”する時代へのパラダイムシフトといえる。

(出典:SoSoValue