
【要約】
本稿では、2025年2月上旬に注目を集めた仮想通貨市場の主要ニュースと、関連する複数のレポート内容を整理いたします。イーサリアムの大規模ロスカットやビットコインETFの動き、キャシー・ウッド(キャシー・ウッド氏率いるARK Invest)の最新レポート、トークンの大規模解禁動向、そしてArthur Hayesによるビットコイン戦略備蓄(BSR)構想など、多角的に仮想通貨の最新動向を俯瞰します。
2月3日の暗黒時刻:イーサリアムの大暴落とステーキング動向
2025年2月3日、仮想通貨市場全体を襲った急落は「またしても暗黒時刻」と呼ばれ、24時間で72万人以上が清算(爆倉)され、総金額は22.1億ドルに達したと報告されました。イーサリアム(ETH)は一時25%下落し、1日の爆倉額は3.8億ドルを超えてビットコインを上回る規模となりました。
この暴落後、イーサリアムへの失望感が高まった一方で、合約市場での未決済建玉(OI)は高止まりを続けていました。ETF市場の動向をみると、米国における現物ETFには2月4日に3億ドルの流入があったとの分析もあり、市場ごとの見解には温度差があるようです。
さらに、イーサリアムのステーキングは2024年11月中旬以降、流出超過が続き、最大1日の引き出し数は18.1万ETHに達したと報じられています。上海アップグレード(2023年実施)後のステーキング量は回復を期待されたものの、直近は長期的な停滞傾向が続いていることが示唆されています。
「キャシー・ウッド」ARKのレポート:ビットコインとAIエージェントの未来
ARK Investが公開した「Big Ideas」レポートは、AI、ビットコイン、公的ブロックチェーン、ステーブルコインなどを含む11の「大創意」を紹介しています。同レポートでは、2030年までにビットコインが1BTCあたり150万ドルに到達する可能性を提示。さらに、AIエージェント(Ai Agents)がもたらす破壊的インパクトにも注目が集まりました。
ARKによれば、ビットコインは供給量増加率の面でも優位性を維持しており、第4回半減期後は年間発行率がおよそ0.9%に低下する見通しです。レポートは、「デジタルゴールド」としての地位を固めるビットコインが、今後の主要リザーブアセットとして機能し得ると論じました。
Tokenomist年次報告2024:大規模トークン解禁とMEMEブーム
Tokenomistがまとめた2024年の年次レポートによると、2024年から2025年にかけて1,500億ドル超のトークン解禁が予定されており、2024年単年だけでおよそ820億ドルもの解禁ラッシュが見込まれるとのことです。こうした解禁は市場に売り圧力をもたらす一方、多くのプロジェクトでは流通量対FDV比(完全希薄化時価総額比)が依然として低いままになっています。
一方、MEME銘柄は2024年に突出したパフォーマンスを示し、年初来ベースで536%のリターンを得た例もありました。しかし、レポートによれば、97%のMEMEトークンは最終的に消滅し、平均寿命は1年程度と非常に短命です。投資家にとってはハイリスク・ハイリターンの象徴的存在となっています。
暗号資産市場の近況:リスク管理と資産配分
2月上旬の急落を受け、多くのアナリストは過去の大暴落(例:2021年5月19日や2021年12月初頭の急落)と比較検証を行っています。短期視点ではボラティリティが再び高まりやすく、慎重なリスク管理が推奨されています。
一部では「ビットコインを50%、ステーブルコインを50%に分割する」という保守的アプローチが提案されており、これにより市場の乱高下リスクを緩和しながら、ビットコインの上昇余地を捉えられるとの見方もあります。
Arthur HayesのBSR構想:ビットコインを戦略備蓄に
BitMEX元CEOであるArthur Hayes氏は、新たなコラムにおいて、ビットコインを米国政府が国家的に戦略備蓄(BSR:Bitcoin Strategic Reserve)として導入する可能性を論じました。もし政府が大量のBTCを保有すれば、一時的な上昇が見込めるとされる一方、政権交代など政治的要因で売却リスクも高まります。
また、米国債の信用力が疑問視されるなか、「中立的なリザーブアセット」としてビットコインや金を新たな柱に据えるべきだという見解も提示。ただし、短期的には調整も予想され、トランプ政権下での規制強化や政策転換を注視すべきだとしています。
その他注目ニュース:MicroStrategy改名、Berachain動向、NYSEのLTC ETF申請など
- MicroStrategyの改名
同社は「Strategy」への社名変更を発表し、仮想通貨中心のビジネスに注力する姿勢を鮮明にしました。第4四半期の財務報告では、約21万枚のBTCを保有していることを示しています。 - Berachainのエアドロップと上場
Berachain(BERA)は、2025年2月4日以降、複数取引所への上場と大型エアドロップを実施。総発行の15.8%がコミュニティ向けの無償配布とされ、投資家の平均取得価格にも関心が集まっています。 - NYSEのLTC ETF申請
Grayscaleのライトコイン信託を現物ETFへ転換申請する提案が公表されました。ビットコインの現物ETFに続き、他のアルトコインにもETF検討の波が及びつつあります。 - ステーブルコイン分野
米国の安定的なドル流通に向けた議論も活発化しており、SNSなどを通じた普及がカギとされています。