BTC価格予測とトークン解禁|2025年2月7日の暗号資産

2025年2月上旬の急落と同時に、長期のBTC価格予測や企業の追加取得、トークン供給の変化が注目された。2月7日前後の出来事を理解するため、予測と実績、購入量と残高、申請と承認を分けて当時の資料を読み解く。

ETHの急落とETF流入は異なる市場の数字

2月3日の急落では、暗号資産のデリバティブ市場で大規模な強制清算が報じられた。ただし、清算額は取引所の報告範囲や取得時刻で変わる。先物の清算額と、現物の価格下落による評価損失を合算して市場全体の損失とすることはできない。

一方、Farside Investorsの米国Ethereum ETF集計では、2月4日の純流入合計は3億780万ドルだった。これは対象ETFへの資金の出入りであり、Ethereum上のステーキング残高や、世界中の取引所のETH売買代金ではない。

ETFに純流入があっても、他の市場で売りが多ければ価格は下がり得る。反対に、先物のロングが清算されたことだけで、現物を長期保有する投資家が全員撤退したとも判断できない。複数の指標は同じ方向へ動くとは限らない。

ステーキングの引き出しを評価する場合も、報酬だけの引き出しと、バリデーターの退出に伴う元本の引き出しを区別したい。新たな預け入れを差し引いた純変化、測定期間、対象チェーン上の残高が分からなければ、長期的な離脱傾向まで確定できない。

ARKの150万ドルは2030年の強気シナリオ

ARK Investの「Big Ideas 2025」で示されたBTCの2030年価格見通しは、単一の予測ではない。弱気ケース約30万ドル、基本ケース約71万ドル、強気ケース約150万ドルという複数の想定から成る。150万ドルという数字だけを確定的な到達点として読むのは適切ではない。

ここでいう弱気ケースも、価格の下限を保証するものではない。モデルが想定した需要や普及が実現しなければ、実際の市場価格はその範囲から外れることがある。研究者が付けたケース名と、投資元本が守られる範囲は別のものだ。

同レポートは、第4回半減期によりBTCの年間供給増加率が約1.8%から約0.9%へ低下したことも説明している。2025年2月から先に初めて起こる出来事ではなく、2024年の半減期後の供給特性を整理したものだ。

供給ペースの低下と価格の上昇率は一致しない。価格には保有者の売却、投資家の需要、流動性なども関係する。AIエージェントやブロックチェーンの将来像を読む場合も、技術の普及に関する仮説と、個別トークンの値上がりを同じ予測として扱わないことが大切だ。

トークン解禁の1,500億ドルは対象範囲に注意

Tokenomistの2024年年次報告は、2024〜2025年の合計で1,500億ドル超のトークン供給解放を見込み、うち約820億ドルは2024年分として整理している。2025年2月時点から、2024年の解禁をこれから起こる予定として説明するのは時系列に合わない。

報告書は集計対象を追跡している378トークンとし、市場全体の一部であることを明記している。また、通常のロック解除だけでなく、マイニングやステーキング報酬などの発行に相当する配分も含む。すべてを初期投資家への一斉配布とみなすと、供給の性質を取り違える。

解禁によって移転可能な数量が増えても、その全量が同じ日に売却されるとは限らない。誰に配分されるのか、日々の流通量に比べてどれだけ大きいか、受領後の保有や再ロックがあるかによって、市場への影響は変わる。

ドル換算額には評価に使う価格の影響もある。解禁額が大きいという情報は、同額の現金が必ず市場から流出するという意味ではない。スケジュールの数量と、その時点の価格で計算した評価額を分けると、売り圧力の見積もりが過大になりにくい。

MEMEの「97%消滅」は調査上の判定

同じTokenomist報告は、Chainplayの調査を引用してMEMEトークンの97%が「dead」と判定されたという数字を紹介している。その判定には、24時間取引高1,000ドル未満、流動性5万ドル未満、Xで3か月更新がない、といった基準が使われている。

したがって、ブロックチェーンからトークンが物理的に削除された割合ではない。調査対象と観測時点における活動の乏しさを示す分類であり、これから発行されるすべてのMEMEの失敗確率が正確に97%になるという意味でもない。

大きな上昇率を記録した銘柄群の成績も、利用者が実際に得た収益とは異なる。集計に採用された銘柄、購入時点、配分、売却時の流動性によって結果は変わる。売買できなくなった銘柄を除く集計なら、生き残った銘柄に結果が偏る可能性もある。

価格が表示されていても、希望する数量をその価格で売れるとは限らない。MEMEの比較では時価総額だけでなく、取引量や注文・流動性の厚みを確認する必要がある。過去の成功例と、取引を終えて利益を確定できる条件を切り分けたい。

Hayes氏は政府のBTC備蓄に政治リスクを指摘

Arthur Hayes氏の2月5日付論考「The Genie」は、BTCの戦略備蓄を無条件に歓迎する文章ではない。政府の保有資産は政治的な判断で売買され得るとして、備蓄が将来の売却懸念を生む点を批判的に論じている。

本文に登場する政府の100万BTC購入や、その後の政権による売却は、論点を説明するための仮定だ。購入が実施された事実や、将来の売却計画が決定した事実として扱うことはできない。政策に対する個人の見解として読む必要がある。

備蓄政策を見る際には、新規に購入するのか、既に政府が保有する資産を移すのか、売却権限をどう定めるのかが重要になる。同じ保有数量でも、その取得方法と管理規則が違えば、市場への影響も異なる。

投資家が政策発表に期待する時間軸と、法律や予算が実際に動く時間軸にも差がある。政策を材料にした価格予測は、実施時期や権限の前提が変わると成立しなくなる。著名な論者の発言でも、根拠となる事実と本人の推測を分けて確認したい。

Strategyの約21万BTCは四半期の取得量

2月5日にStrategyという名称への変更を発表したMicroStrategyは、同日の決算発表で2024年第4四半期に218,887 BTCを取得したと説明した。これは保有総量ではなく、その四半期に増やした取得量だ。

2024年12月31日時点の保有は447,470 BTCで、2月5日の発表が掲げた保有総量は471,107 BTCだった。期末残高、四半期中の購入、決算発表時の最新残高を並べる際は、基準日をそろえずに比較しないようにしたい。

また、同日の発表は企業向けソフトウェア事業の業績も掲載している。名称やブランドの変更をもって、その日に既存事業を終了したと解釈するのは誤りだ。会社の事業と資産保有の戦略を、それぞれの開示で確認する必要がある。

株式を買うことは、その会社が持つBTCを直接保有することと同じではない。債務、資金調達、新株発行、事業費用が株主の持分に影響する。保有枚数だけで企業価値や株主のリターンが決まるわけではない。

BERA配布とLTC信託の上場提案も段階を確認

Berachainの2月5日付公式説明は、エアドロップの配分を初期供給量の15.75%としている。内訳にはテストネット利用者、Boyco、Binance HODLer枠などがある。すべての配布分を同じ日に誰でも受け取れるという設計ではなく、枠ごとに条件と解放時期が異なる。

例えばBoyco枠では、市場ごとにローンチ後30日または90日の完了時に解放すると説明されている。初期の配分比率と、直ちに売買できる流通量を同一視しないことが重要だ。Binanceの取引開始告知も2月6日13時UTCであり、2月4日に全取引所で一斉上場したという説明にはならない。

ライトコインでは、SECが2月6日付でGrayscale Litecoin Trustの上場・取引に関するNYSE Arcaの規則変更提案を公示した。元の提出は1月24日、修正案の提出は2月3日と文書に記されている。公示は意見募集のためのもので、この時点の承認通知ではない。

暗号資産市場では、申請、配布枠の公表、サービス開始が近接して報じられる。記事の日付だけでなく、何が決まり、何がまだ条件付きなのかを確認すると、将来の予定を現在利用できるサービスと取り違えずに済む。

よくある質問

Q. BTC150万ドルはARKが保証した価格ですか?

A. いいえ。2030年の強気シナリオであり、基本・弱気ケースも示されています。いずれも市場価格の保証ではありません。

Q. Strategyの21万BTCは総保有量ですか?

A. 218,887 BTCは2024年第4四半期の取得量です。2024年末の保有残高447,470 BTCや、2月5日発表の471,107 BTCとは区別します。

Q. トークン解禁額と実際の売却額は同じですか?

A. 異なります。解禁後に保有が続く場合もあり、数量、配分先、評価価格、売買の流動性を確認する必要があります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。