米政府ファンド構想とDeFAI|2025年2月5日の暗号資産

2025年2月5日前後は、米政府の投資ファンド構想や規制対応と、EthereumやDeFAIの技術的な動きが同時に注目された。政府の計画、企業の保有開示、開発段階の提案を読み分けるため、当時の資料で確認できる内容と、その限界をまとめる。

政府ファンドは90日以内の計画提出を指示

トランプ大統領が2月3日に署名した大統領令は、米国の政府系ファンド設立に向けた計画を作るよう、財務長官と商務長官に求めた。命令に記された期限は90日以内の計画提出であり、12か月以内にファンドを完成させるという条文ではない。

計画には、資金の調達方法、投資戦略、組織構造、ガバナンス、必要な法整備の検討を含めるとしている。投資対象や原資を既に確定し、買い付けを始めた段階とは区別する必要がある。本文にはBTCを購入する数量や時期の指定もない。

APが伝えたベッセント財務長官の12か月という説明は、設立に向けた目標としての発言だった。政府系ファンドが将来の暗号資産の買い手になるかどうかは、具体的な運用方針や権限の整備を待たなければ判断できない。

同じ時期の関税交渉も、国ごとの条件が異なる。カナダとメキシコに関する一時停止を、中国への措置も含めた全面撤回と解釈することはできない。政策のニュースでは、発表された方針と実際に適用される条件を照らし合わせたい。

SECの調査手続き変更は調査の全面停止ではない

Reutersは2月2日、事情を知る関係者の話として、SECの執行部門職員が正式な調査命令について委員会の承認を求めるよう伝えられたと報じた。証言や文書を求める召喚状の発行につながる手続きが論点になっていた。

同報道は、情報提供の要請などを通じた非公式な調査は引き続き可能としている。そのため、この変更をすべての調査の禁止や、暗号資産企業への包括的な免責と説明するのは行き過ぎになる。

当時の情報は関係者に基づく報道として扱うべきで、後日の正式な規則変更と同じ日付の出来事にまとめない方がよい。監督の進め方が変わることと、個々の商品の法的位置付けが確定することも別の問題だ。

事業者にとっては調査開始の判断経路が重要でも、利用者は引き続き商品や契約の条件を確認する必要がある。規制の方向が変わるという期待だけで、取引相手の資金管理や開示内容まで信頼できるとは限らない。

企業の保有残高と直近の購入を分ける

MicroStrategyの2月3日付Form 8-Kによれば、1月27日から2月2日までの期間には、ATM方式によるクラスA普通株の売却もBTC購入も行われなかった。2月2日時点のグループ保有量は471,107 BTCで、取得単価の平均は費用込みで約64,511ドルだった。

この一週間に購入がなかったことは、BTC戦略を終了したという意味ではない。同じ開示には優先株発行の条件決定も記載され、調達資金の用途にBTC取得が含まれていた。普通株の売却状況と、別の証券による資金調達を一括りにしないことが大切だ。

Sol Strategiesについて、The Blockは2月4日、1月19日から31日に40,300 SOLを約993万ドルで追加取得したと報じた。1月31日時点で子会社を含む保有は189,968 SOLとされる。約19万SOLという保有総量を、その期間だけの新規購入量と取り違えないようにしたい。

企業の暗号資産購入は、株式の価値をそのまま決めるものでもない。借入や株式発行による調達、運用収益、事業費用が株主の持分に影響する。現物を保有する場合と、その企業の株式を保有する場合ではリスクの構成が異なる。

Coinbaseの英国登録とXeggeXの障害報道

Coinbaseは2月3日、英国FCAからVASPの登録を得たと発表した。同社は英国事業を拡大する上での節目と位置付け、暗号資産と法定通貨を扱うサービスに言及している。これは同社による登録取得の発表であり、すべての金融商品を無条件に提供できる免許という説明ではない。

また、登録があることと、口座の制限が一切発生しないことは別だ。個別口座の審査理由はその利用者の状況によるため、SNS上の苦情だけを基に内部のリスク判定方法を断定することはできない。

一方、ChainCatcherは2月4日、XeggeXのログイン障害と、CEOのアカウントが侵害されたという運営側の説明を紹介した。ウォレットをロックして資金を保護したとの説明もあったが、それは運営側の主張として読む必要がある。利用者全員の出金可能性を独立に検証した結果ではない。

障害が起きた際には、ログイン、残高表示、出金という機能ごとに復旧状況を確認したい。運営の説明だけで安全を保証することも、未確認の投稿だけで持ち逃げと断定することもできない。復旧を装う偽の案内に誘導されないよう、連絡先の確認も重要になる。

Ethereumのガス上限増加が変えること

2月4日のThe Blockは、Ethereumでガス上限の引き上げを支持するバリデーターが過半数となり、直近24時間の平均上限が約3,150万gasに上がったと報じた。それまでの3,000万を超え、3,600万へ調整される見込みが伝えられていた。当時の途中経過と最終的な値は区別して扱う必要がある。

ガスは、ネットワーク上で処理する計算などの負荷を測る単位だ。ブロックのガス上限が増えると、同じブロック内で処理できる作業量を増やせる。ただし、一件ごとの処理内容は異なるので、上限が何%増えたら送金件数も必ず同じ割合で増えるとは限らない。

また、ガス上限は利用者が支払う手数料の価格そのものではない。処理容量の増加が混雑の緩和につながる余地はあるが、需要や取引内容によって実際の費用は変動する。「上限増加で全取引が一定割合安くなる」とは言えない。

容量を増やすには、ノードが扱う計算やデータへの影響も考える必要がある。L1のガス上限と、L2向けのデータ領域に関する変更は役割が違い、一つの引き上げで拡張性の課題がすべて解決したという理解も適切ではない。

DeFAIは会話の便利さと送金権限を分けて評価する

DeFAIは、AIを使ってDeFiの情報取得や操作を支援する取り組みを指す。Sonic Labsは1月21日、Hey Anonなどと協力するハッカソンを発表し、資産のブリッジ、交換、流動性の預け入れなどをAIエージェントで扱う構想を紹介した。開発を促す催しの存在は確認できるが、参加プロジェクトすべての運用実績が証明されたわけではない。

HeyAnonの1月12日のAUTOMATE提案では、決められた入力形式と処理経路を用い、AIの誤った生成がオンチェーン操作へつながる問題に対応すると説明している。提案段階の文章には投票やコード公開に関する条件もあり、そこに書かれた将来の対応範囲を、その時点で全面稼働していた機能として扱うべきではない。

自然言語で依頼できても、送金先、金額、対象チェーン、許可するコントラクトの確認は残る。利用者に代わって資産を動かせる範囲が広いほど、誤操作が起きた場合の影響も大きくなる。説明が分かりやすいことと、実行内容が正しいことは別に評価したい。

DeepSeekのようなモデルの進歩は開発の選択肢を広げるが、AIモデルの性能だけで金融操作の安全性が決まるわけではない。モデルの回答を取引へ変換する仕組み、権限の制限、実行前の確認が必要になる。「AI対応」の表示や関連トークンの上昇だけでは、利用者の課題を解決できるかは分からない。

相場の予測と事業の進展を混同しない

2月3日の大量清算については、Bybit CEOが市場全体で80億〜100億ドル規模だった可能性を示した。集計サービスが取得できるデータの制限を踏まえた推計であり、当時の約20億ドル台の観測値と同じ条件の確定統計ではない。

強制決済の規模が大きいことから、直ちに次の値動きを予測できるわけでもない。売り圧力の解消と見る人がいても、追加の政策変更や新たな注文が価格に影響する。著名な投資家の価格目標も、前提を置いた見通しとして扱う必要がある。

ゲームやAIなど新分野への投資でも、資金調達額は売上や利用者の利益を示さない。調達を報じる数字が今回のラウンドだけなのか、過去からの累計なのかで意味が変わる。市場が注目するテーマほど、金額の大きさより集計範囲と事業の進み具合を確かめたい。

この日のニュースは、政府の検討、企業の開示、ネットワークの変更、開発者の提案が並んだものだった。それぞれの進捗を同じ「実現済み」という枠に入れず、次に何が決まれば状況が変わるのかを追うことが、情報の読み違いを減らす。

よくある質問

Q. 政府ファンドによるBTC購入が決まったのですか?

A. 2月3日の命令は90日以内の計画提出を求める内容です。BTCの購入量や時期を決めたものではありません。

Q. ガス上限の増加で手数料は必ず下がりますか?

A. 保証されません。処理できる量が増えても、需要や取引内容によって利用者の費用は変わります。

Q. DeFAIなら取引内容の確認は不要ですか?

A. 不要にはなりません。送金先や金額、チェーン、資産を動かす権限などを確認する必要があります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。