追加関税とKrakenの取引制限|2025年2月3日の暗号資産

2025年2月初めの暗号資産市場では、米国の関税発表に加え、決済制度や取引所のサービス変更が注目を集めた。同時にNFT統計や大口投資家の売買も報じられたが、政策の決定、データの集計、分析者の推計では確かめられる範囲が違う。2月3日朝までの主な材料を、その違いに沿って振り返る。

追加関税の発表で意識された貿易摩擦

米ホワイトハウスは2025年2月1日、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の追加関税を課す方針を発表した。ただし、カナダ産のエネルギー資源については10%と説明しており、すべての商品が一律25%という内容ではない。

市場が注目したのは、輸入費用や企業収益への影響に加え、相手国との対立が広がる可能性だった。暗号資産には関税が直接課される商品とは異なる性質があるが、投資家が保有リスクを減らす局面では、他の資産と同時に売られることがある。

政策発表と価格の関係を読む際には、観測時刻をそろえたい。24時間動くBTCの価格と、特定時刻に計算された日次騰落率を組み合わせると、異なる場面を同じ反応として扱ってしまう。関税発表だけで一日の値動きのすべてを説明できるわけでもない。

本稿で扱うのは2月3日朝までに注目されていた材料である。その後の交渉や措置変更を、発表当初から決まっていた事実として混ぜないことが、当時の市場環境を理解するうえで重要になる。

サルバドルの法改正と米州の備蓄案は別の話

サルバドルでは1月末にBTCに関する法律が改正された。議会の改正反映版では、民間での受け入れを任意とする一方、第1条に法的通用を示すcurso legalという文言が残っている。「BTCの法的地位をすべて取り消した」とだけ表現するより、受領義務や納税の扱いを具体的に見る方が正確だ。

同資料は、BTCによる納税を認めていた条項の削除も示す。改正法令の日付は1月29日、公布は翌30日で、施行は4月30日と明記されている。2月初めの時点で、新しい条件が既に全面適用されていたと説明するのは適切ではない。

IMFは前年12月18日、約14億ドルの支援に関する職員レベルの合意を公表していた。そこにはBTC関連リスクの抑制が含まれたが、理事会の承認などの条件が残る段階だった。法改正の報道だけで融資の受領完了まで意味することにはならない。

一方、米国の州で進んでいたのは公的資金の運用権限をめぐる議論だ。アリゾナ州のSB1025は対象公金の最大10%を暗号資産へ投資できる案で、ユタ州のHB230は1月28日に下院委員会が代替案を推奨した。委員会の判断を両院での成立に置き換えたり、投資上限を購入確定額とみなしたりすることはできない。

KrakenのEEA向け制限は対象と日程に注意

DL Newsの2月1日付記事は、Krakenが欧州経済領域の顧客について、USDT、PYUSD、EURT、TUSD、USTを段階的に取り扱い停止とする予定を伝えた。背景として説明されたのは、欧州の暗号資産規制MiCAへの対応である。

当時の案内では、2月13日から証拠金取引の制限を始め、3月24日に現物取引を停止するという日程が示されていた。現物取引の停止時には未約定注文も取り消されるとされ、利用者は売買できる期限を意識する必要があった。

この発表の対象はEEAの顧客であり、世界中のKraken利用者に同じ日程を適用するという話ではない。また、ある取引所で売買できなくなることと、トークンそのものが存在しなくなることは異なる。

保有者が確認すべき条件には、居住地域、利用サービス、出金、残高の変換方法などがある。上場廃止という見出しだけでは各機能の終了時期は分からない。過去の日程を参照する場合も、当時の発表内容として読み、現在の取扱状況は利用先の最新案内で確かめたい。

NFTは売買金額の減少と参加指標の増加が並存

crypto.newsは2月1日、CryptoSlamの週次集計を取り上げ、NFTの売買額が約1億3,790万ドルだったと報じた。同時に、買い手の指標は約59万、売り手は約42万5,000となり、それぞれ前週から30%以上増えたとしている。

チェーン別ではEthereumが約6,790万ドル、Bitcoinが約1,740万ドル、Mythos Chainが約1,360万ドルと紹介された。これはその週の集計であり、各チェーンの恒久的な順位や、全コレクションの値上がりを示す数字ではない。

参加指標が増えても、取引額が同じ割合で増えるとは限らない。少額取引が多くなった場合や、高額作品の売買が減った場合には、両者が違う方向へ動くことがある。また、ウォレットを基に数える統計では、一つのアドレスを一人の新規参加者とみなすこともできない。

NFTの売買額をドルで見る場合には、決済通貨の価格変動も影響する。売買件数、単価、ウォレット数、集計期間を組み合わせて確かめることで、市場全体が縮んだのか、取引の構成が変わったのかを検討しやすくなる。

Coinbase利用者への詐欺は被害推計として読む

BeInCryptoは2月1日、調査者ZachXBTがCoinbase利用者の詐欺被害について、過去1年に自身で確認した分だけでも少なくとも1億5,000万ドルと推計したことを報じた。これは分析者による調査結果であり、Coinbaseが公表した監査済みの全件統計ではない。

同記事は、Base上で110 cbBTC、当時約1,150万ドル相当を失った利用者の事例にも触れた。報道されたのは、人をだまして情報や資産を引き出すソーシャルエンジニアリングであり、これだけで取引所の基盤が侵入されたと断定できるものではない。

事業者を名乗る電話やメールでは、送り主の表示だけを信頼しないことが重要だ。連絡に含まれたリンクから操作を始めず、普段使っている公式アプリや保存済みの公式サイトで通知と窓口を確かめる。秘密の復元フレーズを相手に伝える対応も避けたい。

cbBTCのようなBTCに関連するトークンでも、保管や送信は利用するチェーン上の仕組みに従う。資産名にBTCが含まれるからといって、あらゆる送金や承認が同じ安全性を持つわけではない。取引先と要求される操作の確認が必要になる。

政治献金とトランプ関連トークンを結び付けすぎない

CNNの2月1日付報道は、年末のFEC提出資料を基に、イーロン・マスク氏の2024年選挙サイクルの政治献金が2億9,000万ドルを超えたと伝えた。主にトランプ氏を支援するAmerica PACへの資金だが、他の共和党候補を支援する団体などへの拠出も含む。大統領候補本人への直接献金だけを表す数字ではない。

政治への関与が注目されても、それが個々の暗号資産の価格保証になることはない。政策への期待、政治団体への支出、トークン購入は、それぞれ別の資金の動きとして確認したい。

2月2日のPANewsには、TRUMPの大口売却とWLFI購入に関するオンチェーン分析も掲載された。前者は約63.7万TRUMPから約5万5,000 SOLを得たという分析、後者は新設とされるマルチシグによる1,000万USDCでの2億WLFI購入という報道である。

いずれも、アドレスの動きから分かることと、管理者の意図は同じではない。SOLで受け取った資産をドル換算した利益は、米ドルの現金を受領した証明ではなく、ウォレットのラベルだけで最終的な所有者を確定することもできない。

DEXの活況とマーケットメイカーの役割

PANewsがThe Blockのデータを紹介した記事では、1月の主要DEX現物取引高は4,541億ドルとされた。これは成立した売買の合計で、同額の新しい資金が流入したという意味ではない。回転売買も積み上がるため、価格下落と大きな出来高は同時に起こり得る。

流動性を供給する業者についても、取引の役割と不正の主張を分ける必要がある。過去の具体例として、Index Coopの2021年の公開提案には、Wintermuteへ10万INDEXを貸し出し、マーケットメイクなどに活用する案が記載されている。借りたトークンを用いる構造そのものは、公開提案で確認できる。

しかし、この提案は2025年の特定銘柄で価格操作があったという証拠ではない。業者が参加していることや、価格が下落したことだけから、意図的な相場操縦や上場の確約を推認するのは無理がある。検討には契約条件、実際の注文や取引、当事者の説明などが必要だ。

直前にはDeepSeekへの注目も相場の材料になったが、AI技術の進歩と暗号資産の利益を直結させることはできない。政策、取引環境、参加者の行動を個別に見る方が、一つの物語に相場全体を当てはめるより判断材料を得やすい。

よくある質問

Q. Krakenの発表は世界中のUSDT取引停止ですか?

A. 当時報じられた対象はEEAの顧客です。地域とサービスごとに条件が異なり、現在の利用可否は最新の公式案内で確認する必要があります。

Q. NFTの買い手が増えれば売買額も増えますか?

A. 必ずしも増えません。件数や単価、決済通貨の価格が影響します。集計されたウォレットの数も、そのまま実人数を示すとは限りません。

Q. 価格下落はマーケットメイカーの操作を証明しますか?

A. それだけでは証明しません。個別取引や契約などの根拠なしに、価格変動を特定業者の不正と断定することはできません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。