XinUの「MUSIC3」は、2023年3月にFiNANCiEで発表された音楽とコミュニティの企画です。その背景には、デビュー前の資金募集や、写真・デザインを音楽制作につなげる活動がありました。トークンを発行する以前から、複数の作り手と支援者が作品を支える形を試していたのです。
ここでは、トークンXMCTの売買よりも、誰と何を作り、制作の資金をどのように集めてきたかに注目します。公式サイトで確認できる楽曲、アート、商品企画を時系列で見ながら、MUSIC3が掲げた構想と、その後の制作活動を整理します。
デビュー前の支援が、最初のオリジナル作品を支えた
XinU自身の公式ストーリーによると、プロデューサーのM-Swiftこと松下昇平がSNSのアカペラ動画を見て連絡し、スタジオでのセッションが始まりました。カバー曲を歌う活動から、自分の言葉を楽曲にしていく転機として説明されています。その出会いの約1年後に挑んだ最初のクラウドファンディングでは、277人の支援を受け、1st EPを完成させたと振り返っています。
2021年10月20日のデビュー曲「ココカラ」では、グラフィックチームGUTSONがアートワークを担当しました。音を作るプロデューサーと、見た目を作るデザイナーが、デビューの段階から関わっていたことが分かります。ここでの支援者数は本人の公開記録に基づく数字であり、2023年のXMCT購入者数とは異なります。
MUSIC3の開始発表は、続くEPでも写真家やデザイナーと組んだアートの販売収益を制作につなげたと紹介しています。完成した音源を販売するだけでなく、制作前の応援や、音楽の周辺に生まれる作品も活動を支える手段としてきました。MUSIC3は、この過去の取り組みと切り離された突然の資金調達ではありません。
EP第2作に見る、音楽家どうしの具体的な共作
公式商品ページは「XinU EP #02」を2023年5月10日発売の全8曲入り作品として案内しています。mabanuaを迎えた「いつのまにか」、edblが関わる「罠」、M-Swiftと制作した曲などを収め、ベーシスト山本連の参加も記載しています。コレクティブという呼び方を、実際の制作に携わる人と作品で確かめられる例です。
「罠」については、edblとボーカリストTaura Lambとの共作と説明されています。XinUは、届いたトラックに付いた英詞から着想し、日本語詞の世界を広げたと記しています。これはコミュニティの投票とは異なる、音楽家の間で素材や発想を交換する制作過程です。共創という言葉には、このような専門的な共同制作も含まれます。
同作のCDは、GUTSONによるアートワークを物として残したいという意向から、配信だけの予定を広げて制作したとされています。音楽とデザインが商品の形を決める場面です。ただし、作品がXMCT募集と近い時期に発売されたことだけで、参加した全音楽家の制作費をXMCTが賄ったとは言えません。個別の資金の割り当ては公開資料から確認できません。
MUSIC3が加えたのは、制作途中に関わる接点
2023年の開始資料では、音楽家に加えてイラストレーター、ダンサー、俳優、動画クリエイターとの協働を広げる方針が示されました。テーマはジャンルをまたぐ協働です。既に完成した作品への支援だけでなく、作る途中の過程を支援者に見せ、やり取りから得たアイデアを作品へ取り入れようとしました。
そのための仕組みとして用いたのが、FiNANCiEの資金募集とコミュニティです。楽曲のアートワーク案への投票が一例として挙げられています。音楽家が作曲や演奏を担うこと、デザイナーが造形を担うこと、支援者が意見や選好を示すことは、いずれも作品との関わり方ですが、役割は同じではありません。
この発表は、参加者全員が作曲者になることや、募集した意見が全て採用されることを約束していません。投票やコミュニケーションの場を設ける構想から、個々の曲のクレジットや制作費の配分まで読み取ることはできません。どこに参加できるのかを知るには、企画ごとの対象と決定事項を確認する必要があります。構想に並んだ全分野との協業が実現したとも断定できません。
2023年のART MARKETでは、デジタルのアートを物へ展開
XinU公式サイトは2023年9月20日付の記事で、次のEPを制作するための「ART MARKET2」の返礼品を紹介しています。MUSIC3の発表から半年後に確認できる、別の資金募集の記録です。そこでは、コミュニティで制作中のNFTアートを、アートボードやポスターとして形にする企画が説明されました。
GUTSONが手掛けた「Music x You」のデザインは、複数のパーツを組み合わせる方式です。データとしての作品を鑑賞するだけでなく、部屋に置くボードや印刷物として受け取る選択肢を設けていました。対象のボードやポスターについて、希望者にNFTのオーナー証明書を送るという案内もありましたが、全商品の購入者へ一律にNFTが付くという説明ではありません。
同じ記事には、XinUの曲をM-Swiftがミックスしたカセットテープや、GUTSONとSakiho Kawakuboによるジャケットのアートボードも登場します。音源、写真、グラフィックを組み合わせて制作を支える例です。確認できるのは当時の返礼品案内であり、全品の発送完了や収益額、次作の制作費の内訳まで示す報告ではない点には注意が必要です。
2025年にはコミュニティ発のアートを日用品に使用
2025年1月27日の公式告知は、FiNANCiEで展開するXinUのコミュニティから生まれたジェネラティブアートを使い、トートバッグとTシャツを販売すると案内しています。音楽をめぐるコミュニティと商品デザインのつながりを、運営側が具体的に記した後続資料です。単に活動が続いたというだけでなく、何が作られたかを確認できます。
トートバッグは全18種として紹介され、シングル「愛おしいままで」と「Hora Hora」の衣装を取り入れた二つのデザインも含まれています。曲のビジュアルが、着る物や持ち歩く物へ展開された例です。告知では1月31日22時の販売開始を示していますが、この日時と在庫案内は2025年当時の情報です。現在も同じ品を注文できるという案内には置き換えられません。
こうした実物の商品化は確認できても、売上の金額やXMCTへの資金還元までを裏付けるものではありません。2023年に触れられたトークン買い戻しは将来の検討案であり、商品が増えたことから実施済みとは判断できません。作品を身近に楽しめる価値と、保有トークンから利益を得るという期待は、別の問題として扱う必要があります。
2026年のLP企画も、別の募集として読む
2026年9月27日に確認した公式サイトでは、9月25日からMotionGalleryで始めた1stアルバムのLPレコード化企画が紹介されています。募集ページの目標額は170万円、終了日時は12月4日23時59分です。これは2023年のFiNANCiE募集の再掲ではなく、別のプラットフォームで進めるプロジェクトです。
企画はLPの制作に加え、アルバム全曲を歌う公演や、全19枚のシングルアートワークを7インチ紙ジャケットサイズのカードにする計画を掲げています。GUTSONや写真家との制作の歩みを、一つのパッケージにまとめる狙いです。確認時点では募集期間中であり、LPの製造・発送や公演を全て完了した実績として書くことはできません。
デビュー前の応援、アートを返礼品とする募集、コミュニティトークン、LP制作の募集は、いずれも制作を支える方法ですが、購入対象と約束される内容はそれぞれ異なります。以前の支援やXMCTの保有によって新企画の品物を自動で受け取れるとは限りません。XinUの歩みは、単一のトークン施策だけで説明するよりも、音楽家・デザイナー・写真家と作る作品を、目的に応じた方法で届けてきた活動として見る方が、公開記録に即しています。
よくある質問
Q. XinUの共創は、ファンによる投票だけを指しますか。
A. 音楽家どうしの共作や、写真家・デザイナーとの制作も含まれます。EP第2作の公式紹介にはmabanua、edbl、M-Swiftなどの参加が記されています。
Q. MUSIC3から実物の商品へ展開された例はありますか。
A. 2023年のART MARKET2ではコミュニティで制作中のアートをボードやポスターにする案内があり、2025年にはコミュニティ由来のアートを使うバッグやTシャツの販売告知がありました。売上や全発送実績まで確認したものではありません。
Q. 2026年のLP企画はXMCTの追加募集ですか。
A. 確認した企画はMotionGalleryで行うLP制作などのための募集です。2023年にFiNANCiEで行われたXMCTの募集とは、受付先も企画内容も異なります。
この記事の出典
- フィナンシェ:XinU MUSIC3プロジェクト開始発表
- XinU公式:デビュー前からのストーリー
- XinU公式:XinU EP #02 CD・制作参加者の紹介
- XinU公式:ART MARKET2 アート作品紹介(2023年9月20日)
- XinU公式:Collective Artトート・Tシャツの販売告知(2025年1月)
- XinU公式サイト:2026年LP制作企画の案内
- MotionGallery:XinU 1stアルバムLP制作プロジェクト
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




