SEVESKIG(セヴシグ)が2023年3月に発表した初のランウェイは、服、映像、音楽を組み合わせ、映画『パプリカ』の世界をARで表現する企画でした。会場となった渋谷PARCOでは、ショーの演出を映像として楽しめるNFT付きのパーカーも期間限定で販売すると案内されました。
特徴は、NFT単体の販売ではなく、服を着る体験と映像を見る体験を組み合わせた点です。ただし、当時の販売期間は終了しています。2023年の公式資料に記された条件と、2026年9月27日時点で確認できるブランドの活動を区別して紹介します。
ブランド10周年に企画された『パプリカ』とのコラボ
パルコが2023年3月9日に公表した資料では、ランウェイの開催日は3月13日、会場は渋谷PARCO10階のROOFTOP PARKでした。Rakuten Fashion Week TOKYO 2023 A/Wの時期に合わせ、設立10周年の節目を迎えたSEVESKIGが初のショーに取り組むとしています。
題材は今敏監督のアニメ映画『パプリカ』です。夢と現実が混じり合う作品の着想を、実際のモデルが歩く空間にデジタルのキャラクターを重ねる演出へつなげました。FPMの田中知之氏が音楽を担当し、視覚だけでなく音も含めてコレクションを伝える構成でした。
この企画を理解するうえでは、映画の映像そのものをNFTとして自由に売買する事業と捉えるより、作品とのコラボレーションを服とショーの表現に取り入れた、と考える方が正確です。購入特典として説明された映像も、今回のランウェイ向けに制作したVFXと音源を組み合わせたものでした。
COCOARで見せるARと、HARTiで受け取るNFT
公式資料がショーの演出に挙げているのは、スマートフォン用ARアプリのCOCOARです。現実の映像に3DCGのキャラクターを重ね、モデルと共に歩いているように見せる仕組みを紹介しています。別の仮想空間に移動する企画というより、目の前の会場にデジタルの表現を加える使い方です。
一方、購入特典のNFTを受け取り、鑑賞するためにはHARTiアプリが必要だと明記されました。当時の資料には、そのNFTはHARTi以外では鑑賞できないという条件もあります。AR表示に使うアプリと、特典NFTを管理・鑑賞するアプリを混同すると、服にスマートフォンをかざす操作だけでNFTまで受け取れると誤解しかねません。
COCOARの現行公式案内でも、対応する画像や企画を通して動画、音楽、3Dなどを体験するアプリと説明されています。オフラインでは利用できないという注記もあります。もっとも、アプリが現在案内されていることと、2023年の個別コンテンツが今も動くことは別です。本記事では当時の実物を使った再生試験までは行っていません。
限定パーカーの販売期間と、後日送付だった特典
対象商品は黒色のAW23-24 STAFF PARKAで、品番はSW-SVRA-NAS-1003、告知価格は税抜18,000円でした。販売場所は渋谷PARCO地下1階のQUATTRO LABO、期間は2023年3月16日から21日までと、パルコの公式PDFに記されています。現在の店頭在庫や価格を示す情報ではありません。
特典NFTはグッズ購入者へ後日送信し、詳しい受け取り方は購入時に知らせる方式でした。そのため、販売告知にある価格だけを見て、その場ですべての設定や受け取りが終わる商品だったと判断することはできません。服の購入、特典の案内、アプリでの受領という段階を分けて読む必要があります。
アパレルにはAR機能を付け、専用アプリを通すとNFT作品と同じ動画を楽しめると説明されています。ここでいうショーの「追体験」は、ランウェイ向けの視覚効果や音を商品から呼び出すという提案です。会場全体の記録映像や、当日のすべての演出を丸ごと受け取れるとまでは案内されていません。
一点もののNFTという説明から、どこまで分かるか
パルコは特典NFTを一点ものと表現し、所有者が映像を楽しめると説明しました。これは当該商品の提供条件として読むべき内容です。NFTであるというだけで映像ファイルが複製できなくなったり、どんなアプリでも同じ鑑賞機能を使えたりするわけではありません。本企画で鑑賞先がHARTiに指定されたことも、この区別を示しています。
また、発表には保有者に今後のプロジェクトを先行案内する予定もありました。予定とされた案内を、恒久的な会員資格、将来の商品を必ず受け取れる権利、定期的な特典の保証と読み替えることはできません。今回確認した資料からは、後続案内の実施回数や対象者全員への到達状況は分かりませんでした。
服を後から譲り受ける場合にも、現物のパーカーと、当初購入者に案内されたNFT特典が同時に移るかは、別途確かめる必要があります。古い商品の説明を読む際は、衣類の状態だけでなく、特典が未受領か、アカウント上で利用できるか、譲渡条件があるかを切り分けると、商品の内容を具体的に把握できます。
パルコが取り組んだ、売り場とデジタル体験の接続
当時の発表は、パルコが2021年12月にHARTiとNFT活用の業務提携を結び、実際の施設とNFTを連動する実証実験を進めてきたことにも触れています。SEVESKIGのショー支援は、ブランドの表現を発信する機会と、商品購入後にも残るデジタル体験を組み合わせる事例として位置付けられていました。
仕組みを整理すると、会場では服と演出を見せ、売り場ではAR対応商品を提供し、購入後にはアプリで特典を受け取る流れです。接点を複数設けることで、イベント当日の印象を商品との関係につなぐ意図が読み取れます。NFT価格の上昇を目的として説明された企画ではありません。
ただし、こうした設計と、施策がどれだけ成果を上げたかは分けて評価する必要があります。公式告知には販売点数、NFT受領率、ARの再生回数などの実績は示されていません。企画が紹介された事実から、完売や顧客の継続利用まで推定するのは早計です。事例として参考になるのは、各サービスの役割と利用者がたどる手順です。
2026年のブランド展開と、旧特典の確認範囲
SEVESKIGの公式サイトでは、2026年春夏コレクション「MEMORIES」が紹介されています。デザイナー自身の若い頃の記憶を題材にし、韓国ソウルで初の海外ランウェイを行ったと説明しています。さらに2026-27年秋冬のコレクションページも公開され、服づくりやコレクション発表が継続していることは確認できます。
一方、その後のブランド活動が確認できるからといって、2023年のパーカーのNFT送付やAR配信が現在も同じ条件で続いているとは限りません。今回参照した現行ページでは、旧商品の特典を新たに受け取れるという案内や、現在の再生を保証する記載は確認できませんでした。終了と断定する根拠にもしていません。
既に商品を持っている人が調べる際は、購入時の案内や特典の受領記録を手元に置き、服の品番とNFTの名称を分けて確認すると経緯を追いやすくなります。これから事例を研究する人には、2023年の販売資料が歴史的な条件を知る資料となり、現行コレクションページはブランドのその後を知る資料になります。両方の時点を区別して読むことが、この取り組みを正しく理解する出発点です。
よくある質問
Q. NFTだけを店頭で買う企画だったのですか?
A. 2023年の公式案内では、AR機能付きパーカーの購入者にNFTを特典として後日送付する方式でした。販売期間は同年3月16日から21日までです。
Q. COCOARを入れればNFTも受け取れますか?
A. 当時の案内ではAR演出にCOCOARを使い、NFTの受け取りと鑑賞にはHARTiが必要でした。役割が異なるため、購入時の受領案内を確認する必要があります。
Q. 今でも2023年の特典映像は見られますか?
A. 本記事では旧商品の実物と受領済みアカウントによる再生を確認していません。現行ブランドページの存在だけでは、旧特典の配信継続は判断できません。
この記事の出典
- パルコ:SEVESKIG初ランウェイとAR・NFT付き商品(2023年3月9日)
- COCOAR公式:ARアプリの機能と利用案内
- SEVESKIG公式:2026春夏コレクション
- SEVESKIG公式:2026-27秋冬コレクション
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




