【要約】
・EUの新規制:2027年から匿名暗号口座やプライバシーコイン取引を全面禁止
・イーサリアム(Ethereum)の簡素化:共同創設者Vitalikが「ビットコインのようにシンプルに」と提言
・Binanceの方針:Alphaプログラムは「1人1アカウント」
・取引ボットの台頭:Telegram・AIエージェント・CEX/DEX共通のボットを比較
・バフェット vs ビットコイン:バークシャーが現金保有を過去最高に更新も、BTC時価総額との格差が拡大
EUが2027年から匿名暗号口座とプライバシーコイン取引を全面禁止
欧州連合(EU)が「反マネーロンダリング規則(AMLR)」を正式承認し、2027年7月1日以降は以下の内容を施行すると発表しました。
- 金融機関および暗号資産サービスプロバイダにおける、匿名口座または匿名ウォレットの提供禁止
- プライバシーコイン(Monero、Zcash、Dashなど)取引の全面禁止
- 1000ユーロ超の暗号取引には強制的な本人確認を義務付け
- AMLA(Anti-Money Laundering Authority)という新たな監督機関が大手暗号プラットフォームを直接規制
この新規制は、脱税や資金洗浄、テロ資金への悪用を防ぐ狙いがあるとされています。仮想通貨ニュースの文脈では、プライバシーコインがEU圏で取引不可となる点が特に大きな影響をもたらす見通しです。
Vitalik Buterin「今後5年でイーサリアムをビットコインのように簡素化」
イーサリアム(Ethereum)の共同創設者であるVitalik Buterin氏は、「Simplifying the L1(L1の簡素化)」と題する最新の寄稿文を公開しました。そこでは以下のような主張が展開されています。
- ビットコインの優位点:プロトコルが極限までシンプルに設計されており、少ないコード量で運営が可能
- イーサリアムの現状:EVMや共通化されていない状態遷移など、複雑な構造が開発リソースや安全性に影響
- 5年後の目標:
- なるべくビットコインに近いレベルのシンプルさを実現
- コンセンサスの簡略化、EVMを置き換える新VM導入の後方互換性確保
- 「共有コンポーネント」を採用して構造全体をスリム化
Buterin氏は、シンプルさと分散性は表裏一体であり、「ビットコインのプロトコルのように軽量かつ堅牢にすべき」と繰り返し強調しています。
CZ「Binance Alphaは1人1アカウントが原則」
暗号資産取引所Binanceの共同創設者であるChangpeng Zhao(通称:CZ)氏が、コミュニティメンバーからの「複数アカウントを使ってBinance Alphaのリワードを増やせるのか」という質問に対し、以下のように回答しました。
「1人につき1アカウントが原則。家族全員で参加するのは歓迎だが、個人単位では多重アカウントは許可しない。」
また、「黄金(ゴールド)は有限資産ではない」と述べつつも、これはあくまでも金自体を否定する意図ではないと補足しており、あくまで暗号通貨と金の性質の違いを強調したものであるとみられます。
取引ボットの最新動向:Telegram・AIエージェント・DEX/CEXボット
近年、仮想通貨ニュースで頻繁に取り上げられるようになったのが、取引ボットによる自動売買の活況です。以下の3種類が注目されています。
1. Telegramボット
- 特徴:モバイル端末から直接操作しやすく、新規トークンやMemeコインへの素早いエントリーが可能
- 代表例:Trojan Bot、BonkBot、Maestro、Banana Gunなど
- 収益化モデル:ユーザーが支払う手数料の一部をボットのネイティブトークン保有者に還元
- 最近の傾向:2025年1月のMemeブーム時に取引高が急増。しかしその後、市場低迷に伴い、収益やトークン価格は下落傾向
2. AIエージェントボット
- 特徴:機械学習や自然言語処理を活用して市場データを解析し、自律的にトレード戦略を実行
- 代表例:Virtuals(AIXBTなど)、ai16z
- 注目点:AI16Zは発行時の価格から一時100倍を超える上昇、AIXBTは4000倍の高騰を記録
- 現状:2025年初頭のピーク後、市場低迷や取引量の減少に伴いトークン価格は下落基調
3. DEX/CEXボット
- 特徴:ウェブベースでの操作を中心に、網羅的な自動売買機能を提供。代表的な手法は以下の3つ
- シグナルトレード:テクニカル指標や外部シグナルをもとにした自動売買
- グリッド(網)取引:設定した価格帯で等間隔に売買注文を置き、高いボラティリティを利益化
- DCA(ドルコスト平均法):一定期間ごとに定額購入し、長期的にリスク分散
- パフォーマンスの特徴:
- 上昇相場では「買い持ち(ホールド)」と同水準かやや劣る傾向
- 下落相場ではグリッドが特に強く、一部コインで二桁%の利益を上げる事例も確認
バークシャー・ハサウェイ vs ビットコイン:時価総額が7000億ドル以上の差に
ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが、2025年第1四半期決算を公表しました。主なポイントは次のとおりです。
- 純利益:前年同期比64%減の約46.03億ドル(2024年同期は127.02億ドル)
- 売上高:897.25億ドル(前年同期は898.69億ドル)
- 投資損益:50.38億ドルの赤字(前年同期は14.8億ドルの黒字)
- 現金残高:3477億ドルと過去最高(前四半期末は3342億ドル)
一方で、ビットコイン(BTC)の時価総額は約1.908兆ドルで、バークシャーのB株(BRK.B)の1.164兆ドルを大幅に上回り、その差は7000億ドルを超えています。バフェット氏はかつてビットコインを「ネズミが食べる毒」と表現していましたが、現時点ではビットコインの時価総額優位が続いている状況です。
ニュースの解説
EUの匿名規制やバフェット氏の決算動向は、主に伝統的金融と暗号資産の境界線を改めて意識させる事例といえます。一方、イーサリアムはさらなる簡素化を目指すことで、長期的な堅牢性を高めようとしています。また、Binanceの規約確認や各種取引ボットが話題となる背景には、利用者増加によるサービス多様化があることは明らかです。とりわけ仮想通貨ニュースが示すように、EUを中心とした規制強化や市場の成熟化が進む中で、自動取引ツールや新技術の利点・リスクを正確に把握することが重要になっています。匿名性の排除やAIの高機能化などは、今後の業界ルールの枠組みにどう影響するのか、引き続き注目が集まるでしょう。