9月30日までの暗号資産見通し:金利とETF

▽ 要約

マクロ:FOMCが9/18に0.25%利下げ、年内追加も
ETF:9/18にBTC+1.63億$、ETH+2.13億$
トークン:9/20–21にZRO・OP等の解禁集中
RWA:LSE始動とBitwise申請で拡大

何が9月30日までの相場を動かすのかという疑問に対し、今年初の利下げとETF資金回帰がBTCの上値試しを促す一方で、週末の大型アンロックとETHの出金待ち増が短期の振れを大きくする、というのが結論である。この記事では暗号資産 9月30日 見通しを、マクロ・フロー・個別テーマの順に簡潔に解説する。

9月20日 市況スナップ:BTCとSOL

利下げを受けてリスク資産に資金が戻り、BTCは117,000ドル近辺で上値抵抗を試しSOLは250ドルを回復した。
米FOMCの0.25%利下げ後、米株は高値更新が相次ぎ、暗号資産にも追い風が吹いた。ビットコインは117,000〜118,000ドルの重いレンジを再接近、114,000ドル割れなら調整が深まりやすい。Solanaは250ドル台を回復し、月足のレジスタンス転換を試す局面だ。

ETF資金動向と価格レンジ

9月18日のETFはBTC+1.63億ドル、ETH+2.13億ドルで需給が改善したため、BTCは118,000ドルの攻防、割れれば114,000ドルが目安となる。
9/18はBTC・ETHともに12/9本の主要ETFでネット流出が見られず、現物需要が下支えした。出来高と建玉の増加が続けば、短期は118,000ドル上抜け→史上高値圏テスト、失敗なら114,000ドル周辺での持ち合いが基本線だ。

主要イベント:9/20–21のアンロック

9/20にZRO等、9/21にOPの大口解禁が重なるため、関連銘柄は需給悪化に注意が必要となる。
LayerZero(約2,571万ZRO≒約5,250万ドル)、Velo、KAITOの解禁が9/20に集中し、9/21にはOptimismが約1.16億OPを予定する。短期の売り圧・ヘッジ需要で関連ペアはボラ上昇が想定される。

ETHステーキング出金行列

約248万ETHが最大43日の出金待ちとなり解禁資金の流出懸念が意識される一方、即時大量流出を防ぐ設計が安全性を支える。
バリデータの同時離脱を抑える設計によりセキュリティは維持されるが、順次解禁されるフローは他資産への再配分や利確圧力として意識されやすい。

関連:FOMC25bp利下げ、SECがETF上場の一般基準承認、BNB1,000ドル到達、RCMPが過去最大押収。

9月30日までの注目テーマ:金利・RWA・AI決済

金利低下でステーブルの金利収益は縮小する一方、RWAとAI×決済の制度整備が進むため、資金は実需・インフラ銘柄へ向かい易くなる。
FOMCの利下げはマネーマーケット利回りを低下させ、ETF・株・暗号資産へのリバランスを誘発する。並行してRWA・ステーブル・AI決済で企業連携と商品化が加速している。

金利低下とステーブルのビジネス転換

利下げ累計が0.75%進むとテザーは年9.5億ドル相当の利息収入が減るため、発行体は決済ネットワークや投資分散へ軸足を移す。
高金利期の利鞘モデルはピークアウトし、CircleはCPN(決済ネットワーク)強化、Tetherはマイニング・金・商流金融など分散投資、PaxosはOEM型発行と「共同インフラ」へと収益源の多角化を急ぐ。

RWAの週次動向(9/12–18)

RWA時価総額は302.6億ドルと前月比+9.31%で、LSEのDMI始動やBitwiseの新ETF申請、PYUSDのマルチチェーン展開が追い風となった。
DBS・Franklin・Rippleのトークン化レンディング、Apolloのトークン化クレジット、BlackRockのトークン化検討など、伝統金融の“信用商品”分野で実装が進む。国内外の政策も枠組み整備へ舵を切り、機関投資主導の色合いが強まっている。

AI×決済:AP2/x402が開く新ルート

GoogleのAP2と暗号決済拡張x402が公開されたため、MetaMaskやCoinbaseなどがエージェント決済の実装競争を加速した。
デジタル委任(署名付きMandate)により、AIエージェントの与信・責任をトレーサブル化し、安価で即時な安定通貨決済やLightning活用まで視野に入る。AIエージェント経済×暗号決済の重なりは年内の実証と商用事例を増やしそうだ。

▽ FAQ

Q. FOMCは9月18日に何を決定した?
A. 米FOMCは9/18に0.25%利下げし目標4.00–4.25%。年内追加観測でリスク資産に追い風。

Q. 9/18のETFフロー規模は?
A. BTC現物ETFに+1.63億ドル、ETH現物ETFに+2.13億ドルで、需給の改善が続いた。

Q. 9/20–21の主なトークン解禁は?
A. 9/20にZRO等(約5,250万ドル)、9/21にOP約1.16億OP(約9,340万ドル)を予定。

Q. ETH出金キューの状況は?
A. 約248万ETHが43日待ち。安全性重視の設計で即時一斉解禁は避けられる。

Q. RWAとPYUSDの最新は?
A. RWAは302.6億ドル規模、LSEのDMI始動。PYUSDはStellar等へ拡張し多チェーン化。

■ ニュース解説

今年初の利下げでマネーはETF・大型株・BTCへ戻ったため足元の上昇圧力は維持される一方で、9/20–21の解禁やETH出金行列が短期の売り圧に働く可能性がある。
背景として、ETFへの継続的な純流入とRWA・AI決済の実装加速が中期の構造需要を形成し、ステーブルの収益源シフトがエコシステムの再編を促す。
影響は、9月末までの値動きは強含みつつもイベント消化で揺れやすく、テーマ別に選別色が強まる、という形で現れやすい。
投資家の視点:短期は118,000ドルの上抜け可否とイベント供給(ZRO/OPなど)を注視し、失敗時の114,000ドル防衛とリスクリバーサルでの下押しヘッジを検討する。中期はRWA/インフラ/決済の実需トレンドを軸に、ETFフローの持続性とステーブル発行体の事業転換の進捗をモニターしたい。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:PANews