CCP Gamesは2023年3月22日の日本向け発表で、ブロックチェーンを使う新作ゲームのために4,000万ドルを確保したと公表しました。出資を主導したのはAndreessen Horowitz(a16z)です。対象は既存のEVE Onlineへの追加機能ではなく、別に制作する新タイトルでした。
この計画はProject Awakeningを経てEVE Frontierへ発展しています。2026年9月27日時点では、開発途中のゲームに参加するFounder Accessが案内され、正式発売日は未発表です。資金調達の規模だけで完成や成功を判断せず、何を作ろうとし、どこまで確認できるのかをたどります。
資金調達は新作開発のため、既存作品とは別枠
当時の発表には、a16zに加え、Makers Fund、BITKRAFT、Kingsway Capital、Nexon、Hashedなどが参加したと記載されています。研究開発の成果を基に、EVEの世界観を用いた新しい大規模タイトルを本格開発するための資金です。4,000万ドルはプレイヤーへの報酬総額や、トークンの時価総額ではありません。
開発側が掲げたのは、主要なゲームシステムをブロックチェーン上で扱い、スマートコントラクトを使って外部の開発者も参加できる世界を作る構想でした。既存のアイテム販売にNFTの名称を付けるだけの説明ではなく、ゲームの仕組みそのものを拡張できるようにする点へ重点を置いていました。
この新作の制作は、EVE Onlineなどの既存プロジェクトとは別に進めると明記されています。EVE Onlineは2003年5月に登場し、2023年は20周年の年でした。元の日本語発表には「10年目」という記述もありますが、開始年と20周年の説明に基づき、本記事では20年の経緯として整理しています。長期運営の経験は開発の背景であって、新作の完成度や採算を保証するものではありません。
Project AwakeningからEVE Frontierへ進んだ経緯
公式ホワイトペーパーの開発履歴によると、Project Awakeningは2022年12月に最初の外部プレイテストを行いました。したがって、2023年の資金調達発表より前にも試作と検証がありました。資金の確保は、構想を初めて思い付いた日ではなく、研究開発を次の段階へ進める節目として読めます。
2023年12月の第2段階ではサバイバル要素、2024年5月の第3段階ではSmart Assembliesの導入が記されています。同年9月にはEVE Frontierへの改称と技術更新、12月にはFounder Accessによる常時接続型の参加へと進みました。2025年6月には秘密保持の制限が解除されたと公式資料は説明しています。
この履歴で確認できるのは、テスト段階を重ねたことです。開発履歴にLaunchという語があっても、最初の外部テストを意味する箇所があります。製品版の一般発売と混同してはいけません。2026年に確認したFAQも正式発売日を未発表としており、古い開発計画から発売済みと結論付けることはできません。
Smart Assembliesで、建物の動作をプレイヤーが決める
現在の開発者向け資料は、Smart Assembliesを宇宙空間に置くプログラム可能な構造物として紹介しています。倉庫や砲台、市場などを作るだけでなく、それらがどう動くかを設定する仕組みです。外観を飾る改造にとどまらず、物流や取引、防衛に関わる動作をプレイヤーが組み立てることを想定しています。
例えば、倉庫を単なる保管場所として使うか、条件に応じて報酬を配る仕組みにするかで、同じ構造物の役割が変わります。公開データを読み取る外部ツールや、複数の設備をつなぐ仕組みも開発の対象になります。こうした用途が、2023年の発表にあった第三者による開発という考え方の具体例です。
一方、全プレイヤーにプログラミングが必須という説明ではありません。公式FAQは、自分で処理を書く参加者に加え、他者が作った仕組みを利用する参加者も想定しています。探索や採掘、建設、戦闘といった通常の遊び方と、システムを作る活動は区別できます。プログラム可能な設計と、参加者全員が開発者になることは同じではありません。
開発基盤はEthereum系からSuiへ方針を変更
ホワイトペーパーは、初期にはEthereumのエコシステムで開発していたと説明しています。その後、応答速度や拡張性、オブジェクトを中心に情報を扱う仕組みを理由に、Suiへの移行方針を示しました。2023年の発表だけを根拠に、当初の技術構成が現在も固定されていると考えるべきではありません。
現在の開発者向け資料もSuiとMove言語を取り上げています。船、物品、設備などを個別のオブジェクトとして扱い、プレイヤーが書いた処理と結び付ける設計です。ただし、技術資料が述べる高速性や安全性は設計上の狙いを含みます。どのような負荷や外部コードでも遅延・不具合が起きないと保証するものとしては扱えません。
公開された台帳を使うことと、ゲームの全機能を誰でも無制限に変更できることも異なります。どこまでを操作できるかは、用意された開発機能とその時点の仕様によります。利用するコードや作成物が更新後も同じ動作を保つかは、開発中のゲームとして追って確認する必要があります。
Founder Accessと無料試用、開発中のリセットを分ける
公式サポートの2026年4月8日更新記事は、提供段階をオープンアルファとし、Founder Pack購入者に継続的なアクセスを案内しています。別にRemnant Accessという短期間の試用枠があり、試用終了後はアクセスが取り消されると説明しています。無料試用の案内を、期間や条件のない恒久無料プレイと読み替えることはできません。
Founder Packには先行参加に加えて特典があり、正式発売後に使う有料会員期間を含むと説明されています。すべての特典が購入直後に提供されるという意味ではありません。また、公式FAQには2026年3月の期間限定価格が残っていますが、期限を過ぎた金額を今の販売価格として紹介しないよう注意が必要です。
特に重要なのは、正式発売までCycleの終わりにサーバーのリセットがあることです。ブロックチェーンで所有関係を表すという構想があっても、試遊中の資源や拠点の状態が無条件に残るとは限りません。周期ごとの検証は開発の一部であり、購入費用や費やした時間が将来の金銭的利益につながるという保証もありません。
今回の調査は公開資料の確認で、アカウント作成や日本からの決済・実プレイは行っていません。日本向けの提供条件や日本語対応もここでは確定していません。参加を検討する際は、現在の対象地域、利用環境、購入条件を公式の受付画面で確認する必要があります。
2026年の会社名と、次回更新の発表で分かる現在地
開発会社の公式FAQは、2018年からPearl Abyss傘下だった会社が2026年5月に独立した所有体制へ戻り、Fenris Creationsへ名称を変えたと説明しています。本記事が扱う2023年の出資発表はCCP Games名義の出来事であり、現在の資料に異なる会社名が登場するのは、この変更によります。
2026年9月24日の公式広報では、次の更新「Cycle 7: Vestiges」を9月29日に開始すると発表しています。飛行操作の見直し、キャラクターの成長、物理的なドッキング、探索要素などを挙げ、開始時には宇宙全体のリセットを行うと案内しました。9月27日の確認時点では将来の予定であり、実装完了や動作確認済みの内容とは書けません。
ここまでの公開記録からは、資金調達後にテストや技術変更が続き、遊びの内容を更新していることが分かります。一方、正式発売、長期運営の安定性、経済圏の定着はそれぞれ別に確認する段階です。このニュースを今読む際は、出資額の大きさより、開発の進展と未確定の条件を時系列で見ていくことが役立ちます。
よくある質問
Q. 4,000万ドルはEVE OnlineのNFT化のための資金ですか?
A. 2023年の発表は、EVE Onlineを含む既存作品とは別の新作を、独立した資金で開発すると説明しています。既存ゲームの資産をNFTへ置き換える発表ではありません。
Q. EVE Frontierは正式発売していますか?
A. 2026年9月27日の確認時点では、公式FAQは開発中で正式発売日未発表としています。Founder Accessによる参加と正式発売は異なります。
Q. ゲーム内で作ったものはリセットされませんか?
A. 公式FAQは、正式発売まで各Cycleの終わりにサーバーをリセットすると説明しています。ブロックチェーンの利用から、試遊中の状態が全て維持されるとは判断できません。
この記事の出典
- CCP:2023年3月22日の資金調達発表
- EVE Frontier:開発履歴
- EVE Frontier:公式FAQ
- EVE Frontier:開発者向け資料
- EVE Frontier:ブロックチェーン選定方針
- EVE Frontier:参加方法
- Fenris Creations:社名変更の説明
- 公式広報:Cycle 7更新予定(2026年9月24日)
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




