Tooのコンピュテーショナルデザイン入門|GrasshopperとDynamoの違い

株式会社Tooは2023年4月7日、コンピュテーショナルデザインをテーマにしたオンラインセミナーを開催しました。2026年9月27日に確認した公式ページには、イベント終了の表示があります。現在の参加募集ではありません。

この催しが扱ったのは、設計の手順をコンピューターで表し、形状や建築データの処理につなげる考え方です。GrasshopperとDynamoという二つの道具を入口に、建築設計やプロダクト制作の仕事をどう組み立てるかが主題でした。当時の告知内容を記録したうえで、現在の公式資料を使い、両者の役割と学び始める際の着眼点を整理します。

2023年4月の催しが対象にした仕事と参加者

開催日時は2023年4月7日16時30分から18時まで。Zoomウェビナーによる約90分の配信で、受講料は無料、事前登録制でした。主催はToo、協賛はオートデスク、協力はGELです。講師としてGEL代表の石津優子氏が案内され、関連書籍を踏まえてGrasshopperとDynamoの機能や違いを説明する構成でした。

対象には、建築設計事務所やデザイン事務所でBIM・CADのデータ構造を学びたい人、導入する制作ツールを検討している人が挙げられています。Rhinoを所有しながらGrasshopperを使っていないプロダクトデザイナーも含まれました。高度な曲面を作る専門家だけでなく、日々の設計作業を見直す人に向けた入口と読めます。

告知に並ぶ題目は、コンピュテーショナルなアプローチ、BIMとデータ、RhinoとGrasshopper、RevitとDynamo、Unity、カスタマイズと自動化などです。ただし、残っている案内は講演の逐語録ではありません。以下の技術説明や作業例は公式製品資料を基にした補足であり、当日に同じ実演が行われたという報告ではありません。

コンピュテーショナルデザインは、作業の関係を組み立てる考え方

コンピューターで図を描く作業から一歩進めて、入力する条件、処理する順番、得たい出力の関係を定義するのが、この分野を理解する入口です。Dynamoの公式説明も、視覚的な画面で処理の論理を組み、作業を自動化したり、設計案を比較したりする使い方を示しています。単に珍しい形を作る技術として捉えると、データ処理への用途を見落とします。

例えば、同じ形の部材を並べる場面を考えます。個別に複製して位置を修正する方法に対し、部材数や間隔を入力し、その値から配置を決める手順を用意する方法があります。条件が変わったとき、入力を変更して結果を確かめられます。これは仕組みを説明するための例で、このウェビナーの実演内容を再現したものではありません。

一方、入力した条件が適切か、出力が設計意図に合うかは人が確かめる必要があります。自動化した処理でも、部材が重なったり、必要な数を満たさなかったりする可能性はあります。処理が動いたことと、使える設計になったことを同一視せず、何を成功とするかを先に決めることが大切です。

GrasshopperはRhinoの形状操作と結び付く

Rhinoの公式機能案内では、GrasshopperをRhinoに含まれるグラフィカルなアルゴリズム編集環境と説明しています。テキストのコードを書かずに、形を生成する処理を組める点が特徴です。画面上で処理をつなぎ、入力と結果の関係を目で追えるため、Rhinoで形状を扱う人が設計手順を表現する入口になります。

ただし、コードを入力しないことは、考える順序が不要になることを意味しません。どの形状を対象にするか、数値をどこへ渡すか、複数の要素をどう対応させるかは設計する必要があります。既存の処理を開いても、その前提を理解しないまま数値だけ変えると、期待と異なる形を得ることがあります。

現在のRhinoの案内には、形状以外にもオブジェクト属性や注釈、ブロックを扱う機能が掲載されています。これは現在の製品機能として参照できる情報です。2023年の催しで使われた版を確定する資料ではないため、現在の画面や機能を当時の講演にそのまま当てはめることはできません。学習資料を見る際も、使用するRhinoの版を確認する必要があります。

Dynamoでは形状だけでなく、BIMの情報処理を見る

Dynamoの公式サイトは、コンピュテーショナルデザインとBIMのためのオープンソース基盤と説明しています。視覚的な処理の組み立てに加え、データ管理やツール間の連携、追加パッケージによる拡張も用途に含みます。建築の形を見せるだけでなく、設計データにどのような処理を加えるかが焦点になります。

同じDynamoという名前でも、独立して動くSandboxと、Revitに組み込まれた環境は区別が必要です。現行の配布案内では、Revit 2020以降はRevitの一部として自動インストールされると説明しています。Sandboxを入れればRevit本体なしに同じ建築情報処理ができる、という意味ではありません。教材が想定する起動元を確かめましょう。

また、データをまとめるリストの理解も重要です。公式Primerでは、項目とリストをファイルとフォルダーになぞらえて説明しています。例えば、複数の部材と対応する値を扱う際、項目の並びやグループの分け方が異なれば、意図と違う組み合わせになり得ます。見た目が同じ形状でも、処理するデータの構造まで同じとは限りません。

二つの道具を完全な二者択一と考えない

Grasshopperは形状、DynamoはBIMという整理は入口には役立ちますが、それぞれの用途を固定するものではありません。McNeelのRhino.Inside.Revitは、RhinoとGrasshopperをRevitの環境へ持ち込む仕組みです。公式ページには、Revitの要素を取得、変更、分析、作成するためのGrasshopperコンポーネントが紹介されています。

この連携から分かるのは、道具の名前だけで作業の境界を決められないことです。どの環境で元データを管理し、どの処理を加え、どこへ結果を戻すかという流れで考える必要があります。連携製品があるからといって、あらゆるファイルの情報が自動で完全に移ると受け取るべきでもありません。実際の対象データでの確認が必要です。

2023年の案内にはUnityも題目として載っていますが、使用した連携手順やファイル形式までは記載されていません。そこから特定のメタバースへの出力方法やNFT化までを推測することはできません。この催しは、デジタル制作や設計業務の連携を学ぶ企画として読むのが、確認できる資料に沿っています。

今から学ぶなら、小さな処理を説明できるところから

2026年9月27日時点で、Tooのイベントページは終了表示のまま公開されていました。今回の調査では当日の録画の一般公開は確認できませんでした。一方、Rhinoの公式機能説明やDynamoのPrimerは参照できます。イベントが終わった後も、題目に挙がった技術を学ぶ資料は別にあります。

学習では、まず一つの入力がどの処理を通って結果になるかを説明できる課題に絞ると、失敗の原因を探しやすくなります。形状の配置なら個数と間隔、データ整理なら項目数と並び順というように、確認できる結果を用意します。複数のパッケージや連携先を同時に増やす前に、最小限の処理を理解するという進め方です。

仕事に持ち込む際は、使用ソフトの版、追加部品、入力データの条件を記録し、複製した小規模データで結果を確かめると引き継ぎにも役立ちます。これは特定企業の導入成果ではなく、処理を再現できる形にするための実務上の考え方です。2023年の告知が掲げた「創作と連携」を今読む価値は、道具を増やすことより、自分の作業をどんな情報と手順で成り立たせるかを考える入口になる点にあります。

よくある質問

Q. この2023年のセミナーには今から申し込めますか?

A. 公式ページは終了と表示しています。当時の無料・事前登録制という条件は、現在の募集案内ではありません。録画の一般公開は今回確認できませんでした。

Q. GrasshopperとDynamoは同じソフトですか?

A. 別のソフトです。GrasshopperはRhinoに含まれる視覚的なアルゴリズム編集環境で、DynamoはRevitなどとの連携にも使うビジュアルプログラミング基盤です。

Q. Dynamo SandboxだけでRevitファイルを変更できますか?

A. 公式案内では、Revit内で動作するDynamoと独立したSandboxは区別されています。Revit依存の機能を使うには、対応するRevit環境が必要です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。