英国の「Travel Rule」施行:仮想通貨取引に何が変わるのか?

1. Travel Ruleとは?背景と目的

「Travel Rule(トラベルルール)」は、仮想通貨に関する新しい規制であり、反マネーロンダリング(AML)および対テロ資金供給(CTF)活動を防ぐ目的があります。この規制は、2019年6月に国際的な組織であるFinancial Action Task Force(FATF)によって作成されました。

2. 英国の取り組み:Financial Conduct Authority(FCA)の役割

英国では、2022年7月にTravel Ruleを法制化し、今年の9月1日から施行が始まりました。英国の金融機関であるFinancial Conduct Authority(FCA)がこの規制を監督し、仮想資産サービスプロバイダー(VASPs)に対して、仮想通貨の送金に関する情報を「収集、確認、共有」するように指示しています。

3. 国際的な影響:他国との調整は可能か?

Travel Ruleは、アメリカ、ドイツ、日本、シンガポール、スイス、カナダ、南アフリカ、オランダ、エストニアなど、多くの国で採用されています。しかし、これらの国々での情報交換の調整は、初めての試みとして難しさが予想されます。

4. ユーザーに与える影響:リスクベースの評価とは

もし英国に拠点を置くVASPが、Travel Ruleを採用していない海外の個人や組織から仮想通貨を受け取った場合、そのVASPは「リスクベースの評価」を行い、受取人に対して仮想通貨を提供するかどうかを決定する必要があります。これは、英国のユーザーが海外へ送金する際にも同様です。

5. 今後の展望:Travel Ruleのグローバル普及は進むか?

FATFによる2022年3月の調査によれば、98の司法管轄区のうち、僅か29しかTravel Ruleの要件を満たしていないと報告されています。このため、今後のグローバルな普及と実施にはまだ課題が多いと言えます。

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