【4月10日】関税90日停止と暗号資産、Strategyの売却リスクを整理

2025年4月10日午前、米国の関税方針は前日までの全面的な対立激化という見方から変化しました。一方、暗号資産では企業の資金繰りリスクや買収計画、NFTゲームの移行、SEC人事も進んでいます。午前11時ごろまでに確認できる情報をもとに、発表と実施、条件付きリスクと確定事項を分けて六つの話題を整理します。

米国が国別の相互関税を90日停止へ、中国は対象外

4月9日米国時間、トランプ大統領は国・地域別の相互関税率を見直す大統領令に署名しました。中国を除く対象国・地域について、個別の高い追加税率を90日間停止し、その間は原則10%の追加関税とする内容です。「すべての関税がなくなった」のではなく、対象と税率を限った変更です。

命令に記された適用開始は4月10日午前0時1分(米東部夏時間)、日本時間では同日午後1時1分です。この記事の基準時点である4月10日午前には発表済みですが、適用開始前に当たります。ニュースを追う際は、発表時刻と実際に税率が切り替わる時刻を分ける必要があります。

中国向けには逆に、相互関税の税率を84%から125%へ引き上げる措置を盛り込みました。この125%は当該措置の税率であり、別の根拠による既存関税まで含めた総税率を意味しません。対象品目の例外もあるため、一つの見出しの数字をすべての輸入品に当てはめることはできません。

市場にとっては、対立が一段と強まるとの想定だけでなく、交渉期間を設ける政策への転換も織り込む場面になりました。ただし、中国との対立や他の関税措置まで解消したわけではありません。暗号資産への影響も、関税が直接課されるというより、景気見通しや資金需要、投資家のリスク許容度を通じて表れます。政策の対象を省いた「関税停止」という短い情報だけでは、状況を捉えきれません。

StrategyのBTC売却リスクは条件付きの開示

Strategyが4月7日に提出したForm 8-Kは、必要な資金を株式や借入れなどで確保できない場合、財務上の支払いを満たすためBTCを売却する必要が生じ得ると記載しています。売却価格が取得原価を下回る可能性にも触れていますが、実際の大量売却を決定したとの発表ではありません。

4月6日の保有残高は52万8,185BTCでした。同社が示した取得原価は計356.3億ドルで、1BTC平均では手数料などを含め6万7,458ドルに当たります。これらは保有数量と取得原価の情報で、現金残高を示す数字ではありません。BTCの時価が大きくても、利息や配当などの支払いに使う資金を必要な時期に調達できるかは、別途検討する問題になります。

開示にある転換社債の満期は2028年から2032年に分かれています。投資家による買い戻し請求などの契約条件もあるため、満期だけで支払い時期を判断することはできませんが、債務の総額すべてが目先に一括返済されるとみなすのも誤りです。利息、優先株の配当、元本返済は性質も時期も違います。

同社は、BTCの価格下落や投資家心理の悪化が資金調達を難しくし、流動性リスクにつながる可能性を説明しています。ここで確認すべきなのは、保有量の大きさだけでなく、調達の実績と条件、支払い予定、その時点の市場流動性です。一定額をBTC価格で割った試算は作れても、それを会社が予定する売却枚数として伝えることはできません。急落や全量放出を既定路線にする見方は、開示の条件を飛ばしています。

WLFI関連とされるETH売却報道は、帰属と損失額を区別

4月9日のCoinDesk報道は、WLFI(World Liberty Financial)と関係が深いとされるウォレットが5,471ETHを約800万ドルで売却したと伝えました。根拠はArkhamのオンチェーン情報で、価格は1ETH当たり約1,465ドルとされています。ただし、ウォレットと組織の関係についての分析と、組織自身が認めた取引は同じではありません。同報道は、照会への回答を直ちには得られなかったと記しています。

また、報道に登場する約1億2,500万ドルという損失額を、この5,471ETHの売却だけで発生した損失として扱うのは不適切です。仮に購入単価3,259ドル、売却単価1,465ドルを同じ5,471ETHに当てはめると、単純計算の差額は約981万ドルです。これは説明のための計算であり、当該資産の取得原価や実現損失を確認したものではありません。

売却代金、売った分の実現損益、保有資産全体の評価損は、対象がそれぞれ違います。オンチェーンの移動だけから、組織の総損益や意思決定の理由まで確定できるわけでもありません。今回の情報は分析に基づく報道として扱い、取引主体や損失の範囲を確かめずに「WLFIが巨額の損切りを確定した」と断定しないことが重要です。

AavegotchiのBase移行案が可決、資産の移し方にも特徴

NFTゲームAavegotchiでは、Baseへの全面移行を提案する「AGIP 143」の投票が4月8日に終了しました。Snapshotの記録では賛成の投票スコアが約967万、反対が約70万で、賛成比率は約93.3%です。これは投票権の重みに基づく比率であり、参加者の人数比ではありません。

提案は、Polygon上の既存資産をチェーン上に残しつつ、コントラクトを更新して転送や状態変更を止め、対応する資産をBase上に1対1で発行する設計です。利用者が自由に往復する一般的なブリッジとは異なり、ゲームが主に動くチェーンそのものを変更する方針といえます。

提案者は移行とテストについて4〜6週間の見積もりを示しています。ただし、これは実装計画の見通しで、可決した瞬間にすべてのNFTが移ったという意味ではありません。どの資産がいつ対象になるか、操作の停止期間があるかなどは、実施時の公式案内で確認する事項です。

移行理由としては、Baseでの新規利用者の取り込みやウォレットとの接続、NFT市場へのアクセス改善などが挙げられています。期待される利便性と、実装後の利用実績は分けて評価する必要があります。また、既存のGHSTトークンがBaseで流通していることと、ゲーム内資産一式の移行完了は別の段階です。

RippleがHidden Road買収を発表、完了には承認が必要

Rippleは4月8日、プライムブローカーHidden Roadを12億5,000万ドルで買収する計画を公表しました。プライムブローカーは機関投資家向けに取引や清算、資金調達などをまとめて支える事業者です。発表によるとHidden Roadは、暗号資産だけでなく外国為替、デリバティブ、債券なども扱っています。

Rippleが示した構想には、ドル連動型ステーブルコインRLUSDの担保利用と、取引後の処理をXRP Ledgerへ移す計画が含まれます。取引後の処理とは、売買の成立後に行う照合や決済などに関わる業務です。すべての顧客取引が発表時点ですでにブロックチェーンへ移された、と読むべきではありません。

会社発表は、規制当局の承認を条件に、今後数カ月での買収完了を見込むとしています。従って、この時点のニュースは買収の発表であって、承認手続きと統合が終わったという報告ではありません。

Rippleという企業の事業拡大、RLUSDの利用、XRP Ledgerの利用、XRPの市場価格は関連していても同じ指標ではありません。買収金額の大きさから、XRPの価格上昇や特定の将来価格が保証されるわけではなく、実際の統合範囲やサービス利用を見ていく必要があります。

アトキンス氏は上院承認済み、SEC人事と規則改正は別

米上院は4月9日午後6時58分(米東部夏時間)、ポール・アトキンス氏をSEC委員に指名する人事を賛成52、反対44で承認しました。日本時間では4月10日午前7時58分です。このため、同日午前の状況を単に「上院が審議中」と表現すると、すでに完了した承認手続きを取り落とします。

上院の採決記録で確認できるのは、2026年6月5日に終了する任期のSEC委員としての指名承認です。委員長に起用する政権の方針があっても、承認、宣誓・就任、その後の政策実施は段階が異なります。人事の結果だけで個々の規則や訴訟が変更されたとは判断できません。

関税政策が変わった同じ時期に、暗号資産では金融規制の人事、企業の買収、ゲームの移行案も動いていました。それぞれを「緩和」や「成長」の一語でまとめるより、何が決まり、何が条件付きで残っているかを分けると、短期の値動きに左右されずにニュースの意味を追えます。

よくある質問

Q. 関税の90日停止で追加関税はすべてなくなりますか?

A. いいえ。中国を除く対象国・地域の個別税率を停止し、その間は原則10%とする措置です。対象外の関税や品目の例外もあるため、全面撤廃とは異なります。

Q. StrategyはBTCの大量売却を決めたのですか?

A. 確認した4月7日の開示は、資金調達ができない場合に売却が必要になり得るという条件付きリスクです。具体的な大量売却の決定や枚数の発表ではありません。

Q. Aavegotchiは投票が終わった時点でBaseへ移りましたか?

A. 投票は移行方針の承認です。資産の対応付け、コントラクト更新、テストなどの実施とは段階が違い、実際の切替時期と対象資産は公式案内の確認が必要です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。