
【要約】
・米国の「苦肉計画」説が浮上し、来週のFOMC利上げ動向に注目が集まる
・ビットコインは再び長期的な停滞に陥る可能性があり、ETF市場も「逢低買い」の姿勢を示せず
・トランプ前政権による関税政策が意図的な景気後退を狙っているとの見方が強まる
・ShardeumやRedStone、Bubblemapsなど注目のプロジェクトが相次いで新施策を発表
・CZのSNS投稿をきっかけにMemeコイン「Mubarak」が急騰
・米国ケンタッキー州では暗号資産をめぐる法案HB701が上下院を通過し州知事の署名待ち
・マーケットの不透明感が強まる中、「ベアマーケットこそ小さなエアドロップや基礎知識習得の好機」との声
次週の「スーパー中央銀行ウィーク」と景気後退への懸念
来週は日本銀行(BOJ)、米連邦準備制度理事会(FRB)、スイス国立銀行(SNB)、スウェーデン国立銀行(リクスバンク)、イングランド銀行(BOE)など、世界主要中央銀行の政策金利発表が相次ぐ「スーパー中央銀行ウィーク」となります。なかでも3月20日以降の米国FOMC(連邦公開市場委員会)に対する注目度は極めて高く、市場では利上げ停止(据え置き)を約98%の確率で織り込んでいるとの分析も出ています。
こうした中、元大統領ドナルド・トランプ氏の関税強化政策が、「意図的に景気後退をつくり出し、FRBに早期利下げを迫る」狙いとの観測が広がっています。実際、金価格は3000ドルの大台を突破し、投資家のリスク回避姿勢を浮き彫りにしました。米国政府の支出拡大や長期金利(10年物国債利回り)の動向も不透明感を増しており、市場は「景気後退入りのシグナル」として警戒感を強めています。
トランプ政権「苦肉計画」説
一部のアナリストは、トランプ氏が強硬な関税政策を敷くことで、企業活動や消費者心理を後退させ、FRBの早期利下げ誘導を狙っているのではないかと分析しています。過去、関税戦略が貿易黒字国の海外投資を減速させ、米資産の売り圧力につながるケースが指摘されています。実際に米国債を保有する海外勢が購入を手控えるなら、米国長期金利の上昇圧力となり得るため、結果的に経済を冷やす要因にもなりかねません。
ビットコインは再び長期停滞か:10x Researchの見解
仮想通貨市場では、10x Researchの首席研究員Markus Thielen氏がビットコインの長期停滞を警告しています。同氏によれば、ビットコインは「高値更新後、約8か月間にわたる調整局面に入る」可能性が高いとのことです。これは2024年に起きたパターンを再演するようなイメージで、
- 過去最高値(73,679ドル)を付けた昨年3月以降
- 米大統領選挙(トランプ氏当選)の11月まで2万ドル近辺で停滞
という類似性が指摘されています。
さらに現物ビットコインETF市場でも、“逢低買い”ムードがまだ見られず、技術チャートには「高くてタイトな旗(High and Tight Flag)」とも呼ばれる形成が見られるものの、弱含みのサインも示唆されるという厳しい評価が出ています。
「仮想通貨サ皇」に就任のDavid Sacks氏、200百万ドル以上のデジタル資産を売却
ホワイトハウスが3月5日に公開したメモによると、米政府の「AI・暗号資産サ皇(Czar)」に就任するDavid Sacks氏は、個人および自身の投資会社Craft Venturesを通じて2億ドルを超える暗号資産を事前に売却していたことがわかりました。
- ビットコイン、イーサリアム、ソラナなど主要保有銘柄をすべて処分
- Bitwiseの指数ファンドやCoinbase株式、Robinhood株式も同様に売却
- Venture FundへのLP持分も段階的に整理
Sacks氏は「利益相反を回避するため」と説明しており、就任前に大幅なポジションを減らしたことが確認されています。
最新プロジェクトの動向:Shardeum・RedStone・Bubblemaps ほか
Shardeum:メインネット前のエアドロップ準備
レイヤー1ブロックチェーンShardeumは、メインネット稼働に先立ちエアドロップを準備中です。2025年3月1日にスナップショットを取り、早期貢献者へ配布される予定。登録受付は既に開始されており、4月14日まで申し込み可能とのことです。
- エアドロップ総額は550万枚のSHMで、主に早期ネットワーク参加者を対象
- トークン経済設計はガス利用やステーキング報酬を通じた供給調整を想定
APTやARBなど過去の大型エアドロップを踏まえ、Shardeumの動向も注目が集まっています。
RedStone:DRILL計画で4.5%をエコシステムに配分
DeFi向けオラクルサービスのRedStoneは「RedStone DRILL計画」を発表。全体のREDトークン供給量の4.5%をコアユーザーに分配し、TVL(Total Value Locked)やレイヤーゼロのセキュリティ強化を図るとのことです。
- “Develop”“Reinforce”“Innovate”“Launch”“Learn”の5項目に予算を振り分け
- 主要は強靱性とイノベーションを促進するためのセキュリティ確保
この枠組みにより、プロジェクト自体の拡大とユーザーコミュニティの育成を同時に進める狙いです。
Bubblemaps:SolanaとBNB Chainに供給量を均等割り
Bubblemapsも、代替ブロックチェーンへの展開で流動性を高める方針を示しました。当初Solana上に大量のBMTトークンを保有していましたが、BNB Chainのユーザー増加を背景に双方に供給量を半々で割り当てる計画です。Unicryptロックなどによるセキュリティ措置も採用し、持続的なトークン分配を目指すと発表しています。
CZの投稿で「Mubarak」急騰、Baseエコシステムの事故例も
**BinanceのCZ(赵长鹏)**がSNS上でMeme画像付き投稿をし、「週末にある友人に会う」などと発言したことがきっかけで、コイン「Mubarak」は150%超の価格上昇を記録、直近では時価総額2000万ドルを突破しました。
一方、BaseエコシステムのHenlo Kartではコントラクトの脆弱性が発覚し、HENLOトークンが大幅に下落(96.5%安)しており、新興プロジェクトには引き続き注意が必要です。
規制・金融:Kentucky州法案と大手金融機関の暗号資産への言及
米国ケンタッキー州議会では暗号資産法案HB701が上院を通過し、州知事の署名待ちとなっています。
- ノード運営に関する規制緩和
- カストディ(保管)権の保障
- 新たな課税を禁止
といった条文が含まれ、ブロックチェーン技術の活用を促進する狙いがあるとみられます。
さらに米大手金融機関ゴールドマン・サックスが、株主向け年次書簡で初めて暗号通貨について触れ「AIや暗号資産の普及が競争を激化させる」旨を正式に認めました。一方で、分散型台帳技術はサイバー攻撃へのリスクや市場変動の影響を依然として伴うと警告もしています。
「ベアマーケットルール」の再確認:エアドロップと基礎研究を重視
暗号資産アナリストの間では「ベアマーケットこそ基礎を固め、小規模報酬(エアドロップ)を狙う好機」という意見が再燃しています。以下のポイントが強調されます。
- 過度な期待を避ける:強気相場時ほど大きなリターンは狙いづらい
- エアドロップ(Airdrop)は“確約ではない投資”:プロジェクトの成長性を見定めることが重要
- 小さな報酬で十分:確実性の高い取引所キャンペーンやテストネット参加などでコツコツ積み上げ
- 身体・言語力などのリソース拡充:ベアマーケットの間に知識面や体力面を強化し、次の大きな波に備える
とりわけShardeumやRedStoneのように、事前登録やテストネット活動を明確にエアドロップ対象としているケースが注目されています。
ビットコインは週足81,000ドル維持がカギ
アナリストらは、ビットコインが今週の終値(週足)で81,000ドルを維持できるかが注目点だと指摘しています。Bitget Researchの首席アナリストRyan Lee氏は、「81,000ドルを下回ると短期的な売り圧力が強まる可能性がある」と警戒を示しました。
CME Groupの最新推計によれば、FOMC利上げ停止見込みが高まるなか、81,000ドル維持に失敗した場合の下落幅をどこまで限定できるかが今後の相場の分水嶺になりそうです。
「人為的景気後退」説:サイクル転換のヒント
最後に、マクロ経済においては「人為的に景気後退をつくり出すフェーズ」に入ったという分析も散見されます。特に、米国と欧州の立場が逆転してきたという指摘は興味深いところです。かつて米国は積極的な赤字財政で経済成長を牽引し、欧州が緊縮を余儀なくされていました。しかし、トランプ前政権の強引な通商政策による不透明性の高まりで海外資金が米国市場に流入しにくくなると、今度は欧州が積極投資の場として脚光を浴びつつあります。
また、半導体セクターが市場全体を先導しやすいという経験則から、半導体株の下落や投資サイクルの変動が今後の株式市場全般の先行指標になるとも言われています。いずれにせよ、世界経済・金融環境は大きな転換期に入っている様子が伺え、仮想通貨・ブロックチェーン業界もさらなるボラティリティが予想されます。