2024年10月15日分では、BTCを活用するSolv Protocolの資金調達と、ビットコインを投資対象として見るBlackRockの姿勢が注目された。同時期には、制度と繁栄の関係を研究した3氏の経済学賞受賞も発表されている。当時の公式発表を中心に、資金の規模、運用の仕組み、発言の意味を確認する。
Solvの追加調達は1,100万ドル、累計は2,500万ドル
2024年10月14日、Solv Protocolは戦略的な資金調達で1,100万ドルを確保し、累計調達額が2,500万ドルになったと発表した。公式サイトの過去記事一覧でも、この二つの金額を区別している。1,100万ドルが今回の調達額、2,500万ドルがそれまでを含めた総額であり、今回だけで2,500万ドルを集めたという意味ではない。
当時の報道では評価額を2億ドルとし、Laser Digital、Blockchain Capital、OKX Venturesなどの参加が伝えられた。評価額は資金調達時の評価を示す数字で、会社の銀行口座に2億ドルが入ったわけではない。出資者名の大きさだけから、利用者の預けた資産や運用収益まで保証されるとも解釈できない。
このニュースの背景には、保有するBTCを金融サービスで利用するBTCFiへの関心がある。ただし開発資金の確保、サービスへの預け入れ、利用者が得る報酬は、それぞれ別の資金の動きだ。調達額の増加を、そのまま利用者の利益として紹介するのは適切ではない。
2万BTCと13億ドルは利用規模を表す当時の説明
Solvが10月8日に公表したプレスリリースでは、SolvBTCを10のブロックチェーンへ展開し、製品を通じたステーキング量が2万BTCを超え、TVLが約13億ドルに達したと説明していた。TVLはサービスに預けられた資産の規模を表す指標である。これらは発表元による当時の数値で、現在の残高ではない。
BTC建ての数量とドル建ての評価額を並べるときには、評価時点も重要になる。BTCの価格が動けば、預けられた数量が変わらなくてもドル換算のTVLは変わる。TVLの増加だけを見て、新しい利用者から同額の現金が入ったと結論づけることはできない。
また、TVLは事業者の売上高でも純利益でもない。製品の利用規模を知る手掛かりにはなるが、手数料収入、資産の保管方法、出金条件までは示さない。資金調達記事を読む際には、調達額・評価額・TVLを一つの「事業の価値」にまとめず、それぞれが何を数えているかを確認したい。
SALはBTCの運用経路をまとめる仕組み
10月8日の発表でSolvが紹介したSALは、Staking Abstraction Layerの略称で、複数のネットワークにまたがるBTCの運用手続きを共通化する構想だ。BNB Chain、Ceffu、Chainlinkとの連携を挙げ、異なるチェーンや保管の仕組みを利用する際の複雑さを減らすと説明している。
同資料にはBabylonに関わるSolvBTC.BBN、Ethenaの価格差を使う戦略に関わるSolvBTC.ENA、CoreDAOに関わるSolvBTC.COREが登場する。同じSolvBTCの名称を含んでも、収益が生じる経路は共通ではない。「ビットコインのステーキング」という表現だけで、どの商品も同じ報酬と条件だと考えないことが大切だ。
ビットコイン自体には、BTCを持っているだけで残高に利息を付ける機能はない。別のネットワークや運用戦略を組み合わせる以上、対象サービスの契約、保管、換金方法を確認する必要がある。操作画面が簡単になっても、裏側の仕組みまで単純になるとは限らない。
旧記事が紹介した「ステーキングの普及率が上がれば巨額の価値が解放される」という話も、前提を置いた市場規模の見積もりである。実際に獲得した売上や、確定した利用者の報酬ではないため、本稿では将来の収益額として扱わない。
2024年経済学賞は制度と繁栄を研究した3氏へ
スウェーデン王立科学アカデミーは10月14日、2024年の経済学賞をダロン・アセモグル、サイモン・ジョンソン、ジェームズ・A・ロビンソンの3氏へ授与すると発表した。対象となったのは、制度がどのように形成され、繁栄へ影響するかという研究である。
公式発表は、国ごとの豊かさの違いを説明するうえで、植民地化の過程などで形成された政治・経済制度に注目している。住民から資源を取り出す制度と、より多くの人が経済活動に参加できる制度では、長期の成長に異なる影響が生じるという説明だ。
制度を変えれば社会全体には長期的な利益があっても、現状から短期の利益を得ている権力者には改革の動機が乏しい場合がある。改革を約束しても信頼されない問題を含め、制度が維持されたり転換したりする理由を考察した点が重要になる。
この受賞は、特定の暗号資産やDeFiプロジェクトの優位性を認定したものではない。暗号資産の文脈で紹介するなら、技術の新しさだけでなく、誰がルールを変更できるか、参加者の権利がどう守られるかを考える補助線として読むのが妥当だ。これは本稿による読み方であり、授賞機関がDeFiを推奨したという意味ではない。
BlackRockの見解は公的な認定と区別する
旧記事は、BlackRockのラリー・フィンクCEOがビットコインを資産クラスと「認定」したと紹介していた。しかし、運用会社の経営者による資産の位置づけと、行政機関が行う法的な判断は別である。機関投資家が投資対象として検討することも、値上がりや元本の安全を約束することではない。
BlackRockの公式IRページによると、2024年第3四半期の決算説明会は10月11日に開催された。15日分の記事で発言を取り上げる場合も、15日に新たな制度上の決定があったような書き方は避ける必要がある。記事の日付、説明会の開催日、将来についての見解を分けて読むと経緯が明確になる。
見方の背景を確認する資料として、同社が公開するビットコインの分散効果に関する解説がある。そこでは、従来の金融資産とは異なる性質や短い歴史を踏まえ、資産配分の中でどう評価するかを論点にしている。本稿ではその内容を背景説明に用い、CEOの説明会発言そのものの逐語録とは扱わない。
分散効果への期待と価格変動の大きさは両立する
BlackRockの解説は、ビットコインには高い変動性があり、単独で見ればリスクの高い資産であることを明記している。一方で、価値や収益を左右する要因が伝統的な資産と異なる可能性にも触れている。この二つは矛盾しない。ほかの資産と違う動きを期待できることと、それ自体の価格が安定していることは別だからだ。
同社は、希少性や特定国家に依存しない性質などを理由に、一部の投資家がビットコインを危機時の逃避先として考えると説明する。ただし、一部の投資家の評価を紹介した記述から、あらゆる危機で必ず価格が上がると結論づけることはできない。
10月15日分では、Solvの資金調達、制度研究への授賞、BlackRockの資産観を、それぞれ異なる種類のニュースとして整理した。事業者の成長や著名人の発言は関心を集める材料になるが、個別の金融商品の収益を直接証明しない。数値の種類と発表主体を押さえることで、ニュースが示す範囲を過大に読まずに済む。
よくある質問
Q. Solvが今回調達したのは2,500万ドルですか?
A. 今回の追加調達は1,100万ドルで、累計が2,500万ドルです。TVLや資金調達時の評価額とも異なります。
Q. SALの商品はすべて同じ方法で報酬を得ますか?
A. いいえ。当時の発表にはBabylon、Ethena、CoreDAOに関わる異なる商品があり、収益源を分けて確認する必要があります。
Q. BlackRockの見解はBTCの安全性を保証しますか?
A. 保証ではありません。同社の資料もビットコインの変動性の高さを指摘しており、公的な認可や元本保証とは区別されます。
この記事の出典
- Solv公式:2024年10月14日の調達発表一覧
- Solv Protocol発表:SAL導入と各商品の構造(10月8日)
- The Coin Republic:調達時評価額と参加者
- スウェーデン王立科学アカデミー:2024年経済学賞公式発表
- BlackRock:2024年第3四半期説明会の開催日
- BlackRock:ビットコインの分散効果とリスク
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




