2024年10月9日分の話題から、Solanaの価格予測、ScrollのSCR配布、Bitlayerの追加資金調達を確認する。旧記事では取引開始の段階や開発版の時系列に混同があった。予測の前提と当時の発表内容を分け、過去のニュースとして読み直せる形に整理した。
SOLが5倍という話は2024年当時の条件付き予測
2024年10月8日付のDecryptは、Standard Charteredのデジタル資産調査責任者Geoffrey Kendrick氏の見解を報じた。トランプ氏が大統領選で勝つ場合、SOLが当時の価格から2025年末までに5倍となり得るという内容である。10月9日分の旧記事の見出しは、この予測を取り上げたものだった。
同氏は、トランプ氏の勝利ならSOL、ETH、BTCの順に高い騰落率を見込み、ハリス氏の勝利ならその順番が逆になると考えていた。BTCの20万ドルという年末目標は選挙結果にかかわらない見通しとして示され、すべての銘柄に同じ条件を置いたわけではない。
これは銀行による購入価格の保証でも、政権が特定銘柄を支援すると決定したニュースでもない。選挙、政策環境、ネットワークの成長についての仮定を組み合わせた分析として読む必要がある。候補者の当選だけで価格目標が自動的に実現するという因果関係は、記事から証明できない。
また、「5倍」の基準は報道された2024年10月時点の価格である。この記事を後から読んだ日の価格を5倍する計算には使えない。本稿は当時どのような見通しが報じられたかを記録しており、2025年末の実績や、現在の相場予測を示すものではない。
強気予測の前提には高い成長期待があった
同じ報道では、Kendrick氏が手数料に対する時価総額の比率などから、SolanaはEthereumより高く評価されていると分析した点も紹介されている。単純に「割安だから上がる」と述べたわけではない。高い評価を支えるだけの利用や処理量の伸びが必要という見方を伴っていた。
このような比較では、価格目標だけを取り出すと分析の方向が変わってしまう。強気の数字と同時に、どれだけ成長する前提を置いたか、期間をどこまで取ったかを確認したい。想定より利用が伸びなければ、当初の評価をそのまま維持できるとは限らない。
ここでは報道から確認した予測を、記事の執筆者自身の推奨には置き換えていない。銀行名が付いていても分析には仮定があり、その仮定が変われば結論も変わり得る。SOL、ETH、BTCの将来価格を比較する場合は、同じ時点の予測と実績を区別して並べる必要がある。
政治に関する話題と、プロジェクトの資金調達やトークン配布も別々の情報だ。以下のScrollとBitlayerの発表は、それぞれ運営主体が公表した具体的な日程や調達に関するものとなる。価格の予想が当たるかどうかと、これらの発表があったことを一緒に評価しないようにしたい。
ScrollのLaunchpoolは10月9日開始の報酬配布
Binanceは10月8日、第60番目のLaunchpool対象としてScrollのSCRを告知した。ScrollはEthereumに対応するzkEVM Rollupとして紹介されている。参加者がBNBまたはFDUSDをロックし、SCRの報酬を受け取る仕組みであり、報酬を得る段階と市場で売買する段階は異なる。
報酬計算の開始予定は10月9日0時UTCで、日本時間では同日9時だった。終了は10月10日23時59分UTC、すなわち日本時間の10月11日8時59分とされた。旧記事のUTC+8表記の8時を、そのまま日本の8時として読むと開始時刻を取り違える。
告知上のSCR総供給・最大供給は10億枚で、Launchpool報酬には5,500万枚、全体の5.5%が割り当てられた。内訳はBNB側に4,675万枚、FDUSD側に825万枚である。これはプール全体の配分であって、参加者一人が受け取れる枚数を約束するものではない。
個人の受取量は、預けた額だけでなく、その時間帯のプール残高などにも左右される。参加者が増えた場合、同じ資産量を預けても配分が変わり得る。報酬総額を見て一定の利回りを想定したり、受け取るSCRの将来価格を固定して収益を計算したりすることはできない。
10月11日のプレマーケットは通常上場と区別する
同じBinance告知は、10月11日10時UTCにSCR/USDTのプレマーケットを開く予定を示した。日本時間では19時である。一方、プレマーケットの終了時刻と通常の現物上場時刻は後日発表するとしていた。したがって、10月8日の資料から通常上場日まで決定済みだったと書くのは不正確になる。
プレマーケットには独自の条件があり、ユーザーごとの保有上限は2,500 SCRとされた。期間中は入金、出金、移転の機能も停止すると説明されている。取引画面で売買できるからといって、その場で外部ウォレットに持ち出せる状態とは限らない。
参加資格にも制限があった。告知には本人確認や居住地域の条件が記され、SCRのファーミングに参加できない地域として日本も挙げられている。海外向けのイベントを、日本の読者全員が利用できる手順として紹介することは避ける必要がある。
本稿に示した時刻や枚数は2024年の告知を説明するための情報であり、現在参加できるイベントの案内ではない。過去の上場ニュースを振り返る際は、配布開始、事前取引、通常取引、外部移転の解禁を別々に追うと、各時点で何が可能だったかを理解しやすい。
BitlayerはシリーズAの追加ラウンドで900万ドルを調達
Bitlayerは10月8日の公式発表で、既存のシリーズAを拡張するラウンドとして900万ドルを調達したと発表した。主導したのはPolychain Capitalで、Franklin Templetonが共同主導し、SCB Limited、Selini Capital、G-20 Groupなどが参加したと説明されている。
同社は3月のシードで500万ドル、7月のシリーズAで1,100万ドルを調達したとも記載した。今回の900万ドルを加えた累計は2,500万ドルである。旧記事を読む際は、今回の追加分、7月の調達分、創業以来の合計を区別したい。900万ドルがそれまでの全調達額という意味ではない。
資金の用途としては開発と展開の加速、拡張性や利用しやすさの向上、V2の立ち上げ準備が挙げられた。資金を受け入れたという事業上の発表と、技術がすべて完成したという確認は別である。著名な出資者の参加だけを、運用上の不具合がない証明として扱うこともできない。
また、調達額はネットワークに預けられた資産の総額ではない。旧記事にあったTVLの数字には観測時刻や集計範囲が示されていなかったため、ここでは再掲しない。企業の調達、利用者が預ける資産、トークンの市場評価は異なる数字であり、相互に置き換えられない。
4月に稼働したV1と、準備中のV2を訂正
Bitlayerの発表では、Mainnet-V1は2024年4月15日に開始したとされている。これに対しV2は10月の発表時点で立ち上げの準備を進める対象だった。旧記事の「4月にV2主ネットの開始が予定」という説明は、この二つの版と時系列を混同していたため訂正する。
同社はV2について、OpVMを用いるBitcoinネイティブのロールアップ構想を説明していた。その技術を紹介する言葉と、既に一般利用者が使う本番環境の性質は分けて確認する必要がある。「Bitcoinと同等の安全性」といった紹介文も、会社側の説明であり、本稿で独立した技術監査を実施した結果ではない。
実際にサービスを評価するなら、対象の版、資産を移す仕組み、障害時に引き出せる条件、管理権限などを対応する技術資料で確認する必要がある。将来版の設計目標を、旧版の実装済み機能として説明すると、利用者が負うリスクを誤って伝えてしまう。
10月9日分では、SOLの価格見通し、SCRの配布と取引、Bitlayerの資金調達に焦点を絞った。いずれも前向きな話題として並んでいたが、予測、実施予定、完了した調達では根拠の性質が違う。確認できない取引意図を補って相場への影響を断定するのではなく、発表が何を示したかを記録した。
よくある質問
Q. SOLが5倍になるという保証が発表されたのですか?
A. 保証ではなく、2024年10月当時の選挙結果などを前提としたアナリストの見通しです。現在の価格から5倍になるという意味でもありません。
Q. 10月11日はSCRの通常の現物上場日でしたか?
A. 確認した10月8日の告知ではプレマーケットの開始予定日です。通常の現物上場時刻は後日案内するとされていました。
Q. Bitlayerの4月の稼働はV2ですか?
A. 公式発表が4月15日の開始として記載したのはV1です。V2は10月時点で準備中の次期版として説明されていました。
この記事の出典
- Decrypt:Standard CharteredのSOLなどに関する見通し(10月8日)
- Binance:SCRのLaunchpoolとプレマーケット告知
- Bitlayer:900万ドルの追加調達とV2準備
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




