10月10日暗号資産ニュース:FBIの捜査・VanEck・PROS購入計画

2024年10月10日分では、米当局の暗号資産市場操作捜査、VanEckのベンチャーファンド、Animoca BrandsのPROS購入方針を振り返る。捜査用に作られたトークンと一般向け投資商品、ファンドの設立と投資完了、購入の意向と実行済みの取引を分けて確認する。

NexFundAIは市場操作の捜査で使われた会社とトークン

米マサチューセッツ地区連邦検察は2024年10月9日、暗号資産市場の詐欺と操作を対象とする捜査について発表した。公表された刑事事件の対象は、個人と法人を合わせて18だった。旧記事で紹介したNexFundAIは、この捜査の一環として法執行機関の指示で作られた会社とトークンである。

発表では、FBIが自ら会社と暗号資産トークンを用意する手法を採ったと説明されている。政府が投資家に向けて有望銘柄を販売したというニュースではない。名称にAIが含まれていても、一般のAI事業への投資機会や、政府による価格保証を示すものではなかった。

検察によると、ZM Quant、CLS Global、MyTradeとその関係者には、NexFundAIに関する仮装売買や、その共謀の疑いがかけられた。別のマーケットメーカーGotbitと関係者も類似の仕組みに関する事件の対象となった。これらは発表時点の訴追内容として記載し、全員について裁判で有罪が確定したとは扱わない。

旧記事には「取引は禁止されている」との記述があったが、参照した発表から一般的な取引禁止命令の範囲までは確認できない。また、捜査の対象となるトークンが登場したことだけで、あらゆる暗号資産の法的分類が決まったと解釈することもできない。今回は当局が公表した捜査目的に即して説明する。

問題となったのは見せかけの出来高と価格形成

検察が説明した手口は、実態以上に取引が活発に見えるような売買を作り、投資家を引き付けてから、引き上げられた価格でトークンを売るというものだった。仮装売買を意味するウォッシュトレードと、価格をつり上げて売り抜けるパンプ・アンド・ダンプが、この事件で取り上げられた。

通常の売り手と買い手がそれぞれの判断で注文を出す市場と、見せかけの取引を意図的に作る行為は異なる。取引量の数字が大きくても、独立した利用者の需要が同じだけ存在するとは限らない。出来高ランキングだけを人気や流動性の証拠にする読み方には、この限界がある。

公表時点で、一部の被告は既に有罪を認め、別の被告は認めることに同意したとされていた。一方、訴追の内容自体は申し立てであり、有罪が立証されるまでは無罪と推定される旨も発表に明記された。被告ごとの手続きの段階を省いて、一括して有罪判決が出たと報じることはできない。

当局は事件全体について2,500万ドル超の暗号資産を押収し、取引ボットを停止したとも説明した。押収額をNexFundAIだけの被害額や、利用者への返金額に読み替えてはいけない。捜査による資産確保と、個々の被害や返還の確定は、それぞれ別の確認を要する。

VanEck Venturesの3,000万ドルは初期企業向けファンド

VanEckは10月9日、3,000万ドル規模のVanEck Venturesを発表した。投資対象はフィンテック、デジタル資産、AIが交わる分野の初期企業で、プレシードやシード段階に焦点を当てると説明している。既存の暗号資産を一定割合で保有する上場商品という発表ではなかった。

主なテーマには、トークン化された資産、インターネット上の金融市場、ステーブルコインやトークン化資本市場を基盤とする次世代決済が挙げられた。ステーブルコインそのものを単純に買い集めることと、それを使う金融サービスの創業者へ投資することは、資金の向かう先が違う。

運営を率いるのはWyatt Lonergan氏とJuan Lopez氏で、両氏は以前Circle Venturesを率いていたとされる。発表は、その経験を背景にアプリケーション層のチームを支える方針を示していた。特定のブロックチェーンだけを前提にするのではなく、基盤を限定しない姿勢も説明されている。

資産運用会社が新分野のファンドを始めたことは、その分野のすべての銘柄への推奨を意味しない。対象となる企業、投資条件、資金の使途は案件ごとに異なる。運用会社のブランドと、個別の投資先やトークンを同じものとして考えないことが重要である。

投資件数の計画と、一般投資家が買える商品を区別

VanEckの発表は25〜35件の投資を見込み、1件あたりの投資額を50万〜100万ドルとした。さらに、発表時点で4件の投資を実施済みだが、投資先はまだ公表していないと説明している。計画件数すべての投資が完了した、あるいは3,000万ドルを全額使い切ったという記載ではない。

これらの数字から個別の出資比率や企業価値を逆算することもできない。同じ金額を投じても、企業の成長段階や契約によって取得する権利は違う。ファンドの規模、各案件への出資額、投資先企業の評価額を混同すると、実際より大きな資金流入があったように見えてしまう。

案内では購入者をQualified Purchasersに限定しており、一般向けETFと同じ感覚で誰でも売買する商品ではなかった。旧記事はVanEckの既存商品にも触れていたが、新設ファンドの参加資格と流動性を、他の上場商品から推測するべきではない。

初期企業への投資では、上場株のような日々の市場価格や売却機会があるとは限らない。発表を読む際は「暗号資産に投資するファンド」という大きな分類だけでなく、企業に出資するのか、トークンを保有するのか、誰が参加できるのかを確かめる必要がある。このニュースの中心は、初期事業への投資方針の公表だった。

Animoca Brandsが示したのはPROS追加購入の意向

Animoca Brandsは同じ10月9日、公開市場でPROSを追加取得する意向を公表した。PROSはProsperのユーティリティトークンと説明されている。発表の表現は今後取得する意思を示すもので、具体的な注文や全量の購入完了を報告する文書ではない。

同発表には追加取得する枚数、投じる総額、平均取得価格、購入を終える日付が示されていなかった。したがって、発表を見て「すでにいくら買った」「その価格より下にはならない」と判断することはできない。市場での実行を確認するには、別の開示や取引の裏付けが必要になる。

会社はこの方針を、Prosperの新しい戦略とBitcoinエコシステムへの支持として位置付けた。支持の表明はプロジェクトにとって意味を持ち得るが、一般の保有者が同じ条件で利益を得る約束にはならない。購入計画の発表自体が、将来の流動性や価格を保証するものでもない。

企業によるトークン購入は、企業の株式取得とも違う。PROSを買うことから直ちにProsperの会社の議決権を得るとは、この発表には書かれていない。ニュースに登場する「投資」という言葉が、どの資産や権利を指すのかを確認することが、内容を理解する手掛かりになる。

Bitcoinの採掘能力とPROS保有は同じ権利ではない

当時のAnimoca Brandsの説明では、Prosperは機関向け水準のBitcoin採掘能力をオンチェーン化する方向へ再設計され、ハッシュレートとBitcoinの周辺分野への接点を提供することを目指していた。ハッシュレートとは採掘の計算能力を表すもので、BTCの保有枚数とは異なる指標である。

この短い購入方針の発表だけでは、PROS保有者への報酬計算、設備の所有、費用負担、償還といった条件までは分からない。採掘に関連するトークンだからといって、保有すれば必ず一定量のBTCが配られると補って説明することはできない。具体的な権利は、それを定めた当時の資料で確かめる必要がある。

採掘能力への接点と、市場で売買するトークンの価格は同じ値動きとも限らない。設備の運用条件や費用、ネットワークの状況に加え、トークン市場の需給も関係するためである。今回の発表から確認できるのは新戦略への支持と追加取得の方針であり、その事業の収益実績ではない。

10月10日分は、捜査のためのトークン、初期企業へ投資するファンド、企業のトークン購入計画を整理した。いずれも暗号資産の話題だが、目的も読者に関係する条件も違う。実行済みの出来事、今後の方針、訴追段階の主張を区別することで、見出しから過大な期待や断定を引き出さずに理解できる。

よくある質問

Q. NexFundAIはFBIが勧める投資商品ですか?

A. いいえ。法執行機関の指示により市場操作の捜査で用意された会社とトークンで、政府の推奨銘柄という意味ではありません。

Q. VanEckの3,000万ドルはすべてトークン購入に使われたのですか?

A. 初期企業向けファンドの規模として発表された数字です。全額の投資完了や、すべてをトークン購入に回したことは示していません。

Q. PROSの追加購入は発表日に完了していましたか?

A. 10月9日の資料は追加取得する意向を表明したもので、数量、総額、完了日を報告する内容ではありません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。