2024年10月14日分はEthenaとWorld Liberty Financialが中心だった。しかし旧記事にはUSDeの規模の桁違いや、利回り・安全性についての強い断定がある。本稿では当時の報道と公式資料を照合し、収益の仕組み、販売条件、配布日程を分けて説明する。
USDeの初期成長は30億ドル規模の報道と照合する
2024年10月14日分の旧記事は、EthenaのUSDeが数カ月で300億ドルに達したと記載していた。しかし、The Blockの2024年6月1日付記事が伝えたのは、公開から約4カ月で供給規模が30億ドルに達したという内容だった。30億ドルと300億ドルは10倍違うため、初期成長を説明する数値として旧記載を残すことはできない。
ただし、6月の数字は10月14日の残高を直接示すものではない。本稿では確認できた初期の節目として紹介し、その後も同額が維持されたとは扱わない。過去の到達額を掲載する際は、到達日と記事の日付を分ける必要がある。
同報道にある成長速度の評価も、創設者の説明に基づくものだった。「歴史上最も急速に成長したDeFi」と一般化するには、比較対象、開始点、指標をそろえなければならない。USDeの供給増加だけから、すべてのDeFi事業の中で最速だと独立に認定することはしない。
供給量は採用の広がりを見る一つの材料だが、事業利益やトークン保有者の収益とは異なる。USDeの規模が増えたことから、関連するすべての資産が割安であるという結論も導けない。旧記事の「今が投資の好機」という記述には評価方法が示されておらず、削除した。
USDeとsUSDeを分けると報酬の説明が変わる
EthenaはUSDeを合成ドルとして説明している。公式FAQによると、裏付け資産の値動きに対して反対方向のデリバティブポジションを組み合わせ、ドル換算した裏付けの変動を抑えることを目指す。銀行口座に現金を置くだけの構造と同じではない。
報酬を受け取る仕組みではUSDeとsUSDeの区別が重要になる。公式ガイドは、USDeをステーキングしてsUSDeを受け取り、プロトコルから配分された報酬がステーキング契約に蓄積する構造を説明している。USDeを保有するだけで、すべての利用者へ一定の利息が自動入金されるという意味ではない。
sUSDeでは枚数だけを見るより、USDeに対する交換価値を確認する必要がある。報酬が契約に加わることで、一単位のsUSDeが表すUSDeの量が変化するためだ。市場でsUSDeを売る価格と、仕組み上の交換価値も完全に同じとは限らない。
ここで参照する公式文書は更新される資料であり、商品構造の補足として使っている。現在の待機期間や裏付け構成を、そのまま2024年10月の条件として記載することは避けた。当時の数字と、現在確認できる基本的な仕組みの説明を分けて読む必要がある。
年利10〜13%を固定収益として案内できない理由
Ethenaの公式FAQは、収益源としてステーキング報酬、無期限先物の資金調達料や期限付き先物の価格差、流動性のあるステーブル資産からの報酬を挙げている。これらは市場や運用条件によって変化する。旧記事の年利10〜13%には観測時点と算定条件がなく、恒常的に得られる収益としては使えない。
資金調達料は、常にショート側が受け取るとは限らない。公式説明では、正のときはロング側からショート側へ支払われ、負のときは支払いの向きが逆になる。反対方向のポジションで価格変動を抑えても、そのポジションを維持する費用まで一定になるわけではない。
デルタニュートラルは値動きへの感応度を抑える考え方であり、すべての損失要因をなくす呼び名ではない。ヘッジ先や保管先、スマートコントラクト、市場で換金するときの流動性など、別の条件も関わる。旧記事の「高い利回りと安全性を兼ね備える」という一括した評価は、こうした違いを伝えていなかった。
米国の金利が下がることを、一律に追い風とする説明も単純すぎる。比較対象となる商品の利回りだけでなく、裏付け資産や取引の収益側も変わり得るためだ。どの収益源がどの条件で増減するかを示さずに、金利低下で必ず有利になるとは判断できない。
WLFIの10月15日販売予定には参加条件があった
World Liberty Financialについて、当時のCoinDeskは10月15日からWLFIを販売する計画を伝えた。記事はプロジェクトの告知を引用し、ホワイトリストで資格を満たした人が対象だと説明している。旧記事の「公募」という短い表現だけでは、誰でも無条件に購入できるように受け取られるおそれがある。
10月14日分の時点では翌日の予定として記載するのが適切であり、販売完了や目標額の調達実績ではない。告知に関心が集まること、参加資格を満たすこと、実際に購入することはそれぞれ違う。登録者数や著名人の知名度だけで、販売の成果や商品の価値を確定できない。
当時の報道は、WLFIをプロジェクトのガバナンスに用いるトークンとして紹介した。これは将来の提案や方針について投票する仕組みに関する説明であり、購入者に会社の利益が必ず配当されるというものではない。権利の内容を確認せずに、企業株式と同様の投資対象として比較しない方がよい。
トランプ氏や家族の支援・宣伝が報じられたことも、米国政府による保証や金融商品の公的認可を意味しない。この時点の米大統領選とプロジェクトの販売は別の出来事である。政治的な注目度と、購入者が契約上得る権利を分けて見る必要がある。
WLFIは当初、自由に移転できる設計ではなかった
World Liberty Financialの公式FAQは、WLFIが当初すべて移転不可だったと説明している。購入できることと、直後に取引所で売れることは同じではない。旧記事が新しい投資機会として紹介する際には、この流動性の制約を欠かすべきではなかった。
同FAQは後日の経過として、2025年7月に初期購入者の一部トークンを移転可能にする提案が承認されたことも記載している。これは2024年10月の販売告知より後の変更であり、販売時からすべての保有者が自由に売れたと読み替えることはできない。
さらに一部の移転解禁と全保有分の解禁は異なる。残りの配分、創設者や助言者などの枠には別の扱いや条件があり得る。過去の購入条件を検証する際には、誰のどの配分について、いつどの制限が変わったかを対応させて確認する必要がある。
本稿は現在の解禁対象や売買方法を網羅する案内ではない。初期の販売ニュースを読むために、当初は移転制限があり、後年の方針変更をさかのぼって適用できない点を整理した。注目を集めたという事実だけでは、必要なときに換金できるかという問題は解決しない。
Pufferの配布日は訂正し、未確認の利益額は外す
旧記事にはPuffer Financeのエアドロップを10月15日開始とする記載もあった。10月10日付のPuffer公式資料が示す請求期間は、2024年10月14日〜2025年1月14日である。このため本稿では15日開始という案内を訂正する。過去の告知日程の確認であり、現在も請求できると案内するものではない。
同資料ではシーズン1の対象判定に用いるスナップショットを10月5日とし、総供給の7.5%を同シーズンの配分に充てると説明した。判定日、請求開始、権利確定の条件は別々である。開始日になれば全員が同じ数量を受け取るという意味ではなかった。
一方、旧記事の個人によるトークン売却額を「利益」とした説明には、取得費用や手数料の根拠が示されていなかった。売却によって受け取った金額だけでは利益は計算できない。慈善団体へ寄付するかどうかも、以前の行動から自動的に決まることではなく、実際の送付先や本人の発表を確認する必要がある。
10月14日分では、USDeの桁違い、利回りの条件、WLFIの参加資格と移転制限、Pufferの日程を中心に修正した。プロジェクトの成長や販売予定を紹介する場合も、購入を勧める評価へ飛躍せず、数量、時点、権利、換金条件を具体的に示すことが重要である。
よくある質問
Q. USDeは公開から数カ月で300億ドルに達したのですか?
A. 確認した2024年6月の成長報道は30億ドルです。旧記事の300億ドルは桁が異なります。ただし6月の数値を10月の残高とすることもできません。
Q. USDeを持つだけで年利10〜13%が保証されますか?
A. 保証ではありません。USDeと、ステーキング報酬に関わるsUSDeは区別が必要で、報酬源も市場条件により変わります。
Q. 当初のWLFIは買ってすぐ売れるトークンでしたか?
A. 公式FAQは当初移転不可だったと説明しています。2025年の一部解禁方針は後日の変更であり、初期条件とは区別します。
この記事の出典
- The Block:USDeの30億ドル到達(2024年6月1日)
- Ethena:公式FAQ、ヘッジと報酬源
- Ethena:USDeステーキングとsUSDeの説明
- CoinDesk:WLFI販売予定とホワイトリスト条件
- World Liberty Financial:公式FAQ、初期の移転制限と後日の変更
- Puffer Finance:配分と請求期間
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




